ＭＡＲＡＭＩ　ＫＡ　ＰＡＮＧ　ＫＡＫＡＩＮＩＮＧ　ＢＩＧＡＳ
（お前はまだいっぱい米を食う＝お前はまだ新米だ）
　
94年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ジュン・アリストレナス
主演：エディー・ガルシア
　　　 ルストム・パディーリア
　　　 グロリア・ディアス
　　　 ミシェル・アルダナ
　　　 パキト・ディアス
　　　 ハイメ・ファブレガス
　　　 ジャニン・バレド
　　　 ルス・ヴァルデス
　　　 ジュン・アリストレナス
　　　 テレサ・ロイサガ
　ヴェテランと新米の刑事がコンビを組む作品は多い。新米のほうが学校を卒業してきて階級が上になり、ヴェテランが経験で、新米が理論で事件の解決にあたろうとする作品も多い。ここではエディー・ガルシアがヴェテランを、ルストム・パディーリアが新米を演じていて、一応、型どおりに同様の設定をつくっているものの、後半がイマイチ。
　監督のジュン・アリストレナス自ら演じる親友の相棒を殉職で失ったエディーは、パキト・ディアス演じる上司から、新人のルストムと組むように命じられる。ストレートな正義感のルストムはエディーの勤務態度に不満をおぼえるが、自分の教科書的な捜査が通用せず、エディーの裏のあるやり方を認めざるをえない。そんなとき、ダニー・ラブラなどが演じる麻薬の売人をつかまえてザンドロ・ザモラなどが演じるパトカーの警官に引き渡し、怪しい雰囲気を感じとってルストムがザンドロに質問したら、いきなりザンドロがダニーを撃ち殺す。エディーとルストムが逃げると犯人に仕立てあげられ、エディーの愛人宅やミシェル・アルダナ演じるルストムの恋人宅を泊まり歩くも、パキトがザンドロの仲間と気がつかないルストムが連絡を入れるため、二人の居場所が筒抜けになる。
　グロリア・ディアス演じるルストムの母の家へきてみれば、エディーとグロリアがかつて愛し合った間柄で、耳の穴をかく同じ癖をもつ伏線を張っていたが、エディーとルストムが実の親子とわかって話がそれる。ヴェテランと新米の対決と相互理解ではなく、父子の情愛の確認に焦点が移る。イマイチなのはこの部分。
　ロミー・ロムロ演じるオカマの情報屋をとっちめて黒幕の名をはかせ、ハイメ・ファブレガスとルス・ヴァルデス演じるミシェルの両親が医者で、傷ついたルストムやロミーをハイメが治療し、つかまったルストムをエディーとミシェルが救出に向かう。エディーが撃たれて、ルストムとミシェルが機転で助けるなどあるも、ウィットに乏しい内容といわざるをえない。
　もっともコメディーとしてはそこそこで、ウィルソン・ゴー転じる中華店のオーナーにエディーがカネを払わず、ルストムがわたしたり、デクスター・ドリアがオーナーを演じるエディーのなじみの売春宿に隠れ、客がホステスと次々にくるので、そのたびに部屋をかわったり、車椅子のエディーとグロリア、ルストムとミシェルのＷ結婚式になぜかロミーまで出席していたり、はずしているギャグも目立つながら、けっこうニヤニヤできる。警察署内で悪漢が暴れるとき、人質にとられた警官が、おそらく本物の警官によるエキストラだろうが、あまりに無演技でちゃんと指導してよと思わせるあたりや、銃撃戦でミシェルにピストルをわたしたあとの扱いに工夫が足らないなど、もう少し注意を払っていれば、いくぶん印象がよくなったはずなのが惜しい。
　女優陣は好みのメンバーがそろっているが、こちらもやや期待はずれ。ミシェルはルストムとデクスターの宿で客のカップルを装って敵の目をあざむくとき、背中をみせてくれるも、いささか大胆さを欠く。エディーが浮気のアドヴァイスを与えるシーンでルストムの相手になるホステスを演じるのはジャニン・バレドなのに、ベッドでの行為がまったくなし。エディーをつかまえようと考える愛人役はテレサ・ロイサガで、色っぽいシチュエーションへ進む前に銃をだしてくる。その中で容貌的にはじゃっかん落ちるながら、エディーに妊娠したといってコンドームに細工がないかをチェックさせる愛人役のシルヴィア・サンチェスが白いレオタードで現われ、ヒップラインくっきりがおいしそうだった。