ＭＡＲＡＨＡＳ　　ＷＡＬＡＮＧ　ＫＩＬＡＬＡＮＧ　ＢＡＴＡＳ
（攻撃的関係　親密さもなくなり…）
　
98年：オクト・アーツ・フィルムズ／ＧＭＡフィルムズ
監督：フランシス・“ジュン”・ポサダス
主演：レイマート・サンチャゴ
　　　 ベット・タマヨ
　　　 レーモンド・バガチング
　　　 バヤニ・アグバヤニ
　　　 パトリック・グスマン
　　　 ラモナ・リヴィーリア
　　　 レヴィー・イグナシオ
　　　 マンジョー・デル・ムンド
　　　 チャーリー・ダヴァオ
　　　 ダリア・ダミレス
　　　 アウグスト・ヴィクタ
　貧民街で少年時代をすごした四人の物語。レイマート・サンチャンゴ、バヤニ・アグバヤニ、パトリック・グスマン演じる三人は大きくなっても一緒で、友情をはぐくんでいる。苦しい生活から脱却のため、パトリックがシンジケートの裏金を奪う計画を立てて実行に移すも、三人のうちパトリックだけ射ち殺される。レイマートはダリア・ラミレス演じる母が服役中で、面会に訪れると冷たくあしらわれる。ロベルト・リヴェラ演じる悪徳警官がレイマートを絶えず仇のようにイジめ、アウグスト・ヴィクタ演じる祖父から、レイマートはロベルトたちによって若き日のダリアがレイプを受けてできた子だと教えられる。アウグストがキレてロベルトを襲うと、反対に命を奪われる。今度はロベルトがレイマートに夜討ちをかけ、レイマートが逆に「父だ」と開き直るロベルトを亡きものにする。一方、レーモンド・バガチング演じる残りの一人の幼なじみは弁護士になっていて、チャーリー・ダヴァオ演じる犯罪組織の顧問。レイマートの警察殺しをニュースで知り、かつての親友を救うための再会をはたすとのストーリー。レーモンドはレイマートを無罪に持ちこむだけでなく、レイプ犯仲間の殺害を問われて収監中のダリアの釈放にも尽力だが、アーチー・アダモス演じる銀行のマネージャーと組んでチャーリーの闇資金を横どろうとし、レイマートとバヤニに協力を頼む。すぐにチャーリーにバレて、レーモンドはしめあげられ、レイマートたちにも危険が迫る。ところが真相はレーモンドが…　との展開。
　とにかくレイマートをいいヤツに描きたい意図はわかるものの、いくら悪人のカネとはいえ、安易に泥棒に走るキャラクターには共感が起こらない。パトリックの作戦に乗るとき、銃をどうやって得たのとの疑問も生じ、いきなりどっちらけの内容がつらい。バヤニがコメディー・リリーフで、警察の追跡からべット・タマヨ演じるレイマートの恋人宅へ隠れて女装でごまかすなど、笑いをとろうとするながら、銀行で一千万ペソをおろした直後に、入れ違いできたレヴィー・イグナシオ演じるボブの部下とぶつかってケンカを売るといったノータリンを思わせる行動が目だつのもあきれる要素。レヴィーがラモナ・リヴィーリア演じるレーモンドの恋人宅へ押しこむ際、カネを届けたレイマートたちが引き返してラモナを逃すのだが、玄関のドアを開けっぱなしにしていて、マジでアホかとイヤになるばかり。リチャードとカネ、ベットとカネと人質交換を二度も置くのがアイディア不足のうえ、レイマートとリチャードが対決のドラマも盛りあがらない。一応、カー・アクションは頑張っていて、評価のポイント。でも死にぎわに友情を確認とのパターンや、マンジョー・デル・ムンド演じる正義の警官が、レイマートに同情を示しながらも公務を執行していたのに、証拠のヴィデオがみつかったとハデに殺人や破壊をおこなったレイマートの正当防衛を認めて逮捕しないご都合主義のアマさもサイテー。
　ホント、フランシス・“ジュン”・ポサダスらしいとは失礼かもしれないが、フランシスらしいレヴェルの低さ。
　それでも女優に魅力があり、ラモナがバス・タブにつかるシーンで乳首をスケさせるのが嬉しいじゃないか。セックスでは露出不足だし、下着姿のパンティーがお尻に貼りついていないといった不満は残すも、シー・スルーのスリップがウハウハ。またダリアの若いころをアイラ・マリーが演じ、レイプでスカートを破られるのに、中身をみせずじまいで残念。ベットは美人だがセクシーとは無縁なので、ジーンズがダブダブだったりとそそらない、などイマイチな面が多いとはいえ、ラモナの乳首が映画の価値をあげる。
　ほかにバイクから警察署に向かって撃つ女性ヒット・マン役（ヴァニー・ペレスとエンジェル・アイソン？）の黒いボディコン・ミニが視線を奪う。
　なお、四人の友情を表わす遊びが鉄橋から列車をギリギリに避けるものなのは『路傍の石』を連想させ、実際は『スタンド・バイ・ミー』の影響だろうか。周辺のスラムの暮らしぶりには社会的興味があった。