ＭＡＰＡＧＢＩＧＡＹ
（寛大な）
　
00年：セイコ・フィルムズ
監督：エマヌエル・Ｈ・ボルラサ
主演：ニニ・ハシント
　　　 ロデル・ヴェラヨ
　　　 ミヤ・ノラスコ
　　　 ソフィア・ヴァルデス
　　　 マチュー・メンドーサ
　パルパロ男の難病劇。とはヘンな説明だが、ようは三人の妻を持つ男がガンで亡くなるわけである。
　ロデル・ヴェラヨ演じる主人公は、アーチー・ヴェントサ演じる父が経営する会社で重役をつとめるボンボン。ニニ・ハシント演じる妻と何不自由のない幸福な家庭を築いているものの、ソフィア・ヴァルデス演じる秘書と不倫関係にある。しかもミヤ・ノラスコ演じる人気女優ともできていて…　といった複雑な状況。ニニがいわゆる普通の奥さんで、ミヤのファン。ソフィアがミヤとのイチャイチャを承知しているビジネス・ライクに割りきった女性。ミヤがスターらしく、わがままなタイプに性格分けされているのは、いかにもの構成といえる（脚本はジュン・ラナ）。
　ミヤのスクープ記事が載ってニニがロデルの浮気を知り、ショックから問いつめれば、「実はもう一人」との告白がおかしい。タカビーなミヤの嫌らしさをタバコのふかしポーズで表現するあたりは納得。ノルマ・グローリー演じる母に預けた隠し子がいるなんて、ショー・ビズ界にありがちな話。ソフィアのクリストファー・デ・カストロ演じるセックス・フレンドを持ち、ミヤに「ファンじゃない」というクールさからドライな面をうかがわせるあたりはまあまあかな。
　ロデルがガンの宣告を受け、三人を引き合わせると、いったんミヤが怒って帰る。ソフィアはクリストファーと別れ、ミヤも気が変わったとやってきて、奇妙な共同生活へ。抗ガン剤でロデルの毛が抜けるリアルさを含むも、同じ男を愛する女たちに連帯感が生まれていく後半は、はっきりいってつまらない。また憎しみの対象であるはずのライヴァル的な女性たちが仲よく最期をみとるなど、男サイドからの勝手な願望じゃないかとも思えてくる。はたして女の立場から共感できる内容なのか、教えてもらいたいところ。
　まあ同時に三名を愛するなんて、自分にすれば専売特許みたいなものだし、実際にもっと人数が多いときもあるから、この主人公を批判するわけにはいかない。もっとも不治の病に侵されたとして、自分の場合は相手の国籍が異なるから、一堂に集めるわけにはいかないが…
　なんて話はさておき、ラストはお涙頂戴の盛りあげが、通俗的演出からみてイマイチだったようだと判断する。
　ニニ、ミヤ、ソフィアのセクシー競演は、なんといってもニニに軍配。同居しているチャンダ・ロメロ演じる叔母がよもぎを焚く健康法を実践する登場シーンからして、ニニはいきなりのオッパイ丸だし。チャンダがサウナ状態で汗をかくニニの身体をふくとき、肌の艶がエロっぽくてなまめかしい。ロデルが帰宅して全裸でボディーを洗い合うと、またもオッパイの惜しげもないミセミセのうえ、ベッドでの愛撫になって驚愕。うつ伏せに寝ころぶニニのお尻から背中へとロデルの指先がスーッと軽く触れていき、いかにも快感が走りそう。セックスではロデルの激しい腰の動きに応じて、ニニのオッパイが揺れる。ロデルの誕生日に、やっと帰宅したロデルがソフィアとミヤを相手に二発やったあとだから勃起せず、途中で眠るベッドでは、もんでみたい質感まで伝わってくるニニのオッパイがアップでウヒャーッ。ピンクのスリップといった下着姿もそそる。
　もちろんミヤも堂々たるもので、脚のみを使って表わすもったいぶったカー・セックスに続き、部屋でシャンパンを開けると、ロデルが全裸のミヤのオッパイにかける。まったく『ＲＥＰＵＴＡＳＹＯＮ』や『ＵＮＡＮＧ　ＴＩＢＯＫ』のときはういういしさが魅力の乙女タイプで、水着姿や下着姿から中身を想像させると、燃えるまでに追いこんでくれたのに、中身である乳首をこんなにも大胆に披露するとは…　いやいや、光沢さを伴ってピンクに輝く乳輪がほどよい大きさで、チュッチュッと吸ってみたい乳首を持つ、脂肪の張りも適度な弾力っぽいオッパイだったのね…　と天国の恍惚へ。ところが右の乳房だけでなく、いつの間にかヘソのまわりにも刺青を彫っていてげっそり。ミヤへのファンの気持ちがほぼ皆無になってしまうじゃないか。返す返すも残念だが、黒い紐ビキニ下着を脱いでいき、ブラからオッパイをポロリとモロみせにして、素っ裸で抱き合う座位のセックス・シーンでは、相変わらずゾクゾクを誘発。あわててロデルが帰る際の起きあがったポーズでの正面から撮ったオッパイにもウハウハ興奮で唖然もの。いったんロデルを捨てて、マチュー・メンドーサ演じる共演俳優を誘惑するカー・セックスにおいてもパンティーをおろすポーズに降参だから、さすがじゃないか。
　ソフィアはクリストファーとビーチでデートするとき、パレオを巻いたビキニで現れ、仰角アングルのアップでパレオをとったパンティーがスゲーッ。でもセックスを始めるとクリストファーが上にいて、ソフィアがパンツをズリおろしてクリストファーのお尻をむきだしにするも、肝心のソフィアのほうがボディーを隠したままだからアレレ。ロデルと誕生パーティーのあとオフィスで抱き合うシーンでは、電気を消して真っ暗な中で服を脱ぐ音だけが聞こえて期待感を高めると、懐中電灯を照らしながら全裸のソフィアがチラチラと映される。もっとはっきりみせてほしかった気もするが、とりあえずはビンビンを呼ぶのが嬉しい。
　これらのサーヴィス・シチュエーションはすべてロデルが個別につき合っている前半に盛りこまれていて、三人が一緒になってからはスリップなどの下着姿や、ニニとソフィアのオッパイがでないバスト上ショットのシャワーくらいしか色っぽさが描かれず、ホント不満。
　尻すぼみの作品だ。
　あとニニの従姉妹を演じるアンジェラ・ポーニンがそこそこかわいく、短パンで寝ころんでミヤについてのゴシップを伝えるＴＶの芸能ニュースをニニとみるかっこうがキュート。ロデルの母を演じたモーリン・マウリシオは、ほんの小さな扱いの役だった。