（尊敬をこめて目上のひたいに手をあてる挨拶 第六部 母の愛）
09年：リーガル・エンターテインメント／リーガル・マルティメディア
監督：ジョエル・Ｃ・ラマンガン
主演：シャーロン・コネータ
クリストファー・デ・レオン
シャシャ・パディーリア
ブーツ・アンソン・ロア
ハート・エヴァンゲリスタ
デニス・トリーリオ
シアラ・ソット
クリス・アキノ
リッキー・ダヴァオ
ゾーレン・レガスピ
ＪＣ・デ・ヴェラ
グライサ・デ・カストロ
ニーニャ・ホセ
ライアン・アイゲンマン
さすがに『ＭＡＮＯ ＰＯ』も六作と続けば飽きがくる。第四作は番外編にして、第二作を除き、すべてをジョエル・Ｃ・ラマンガンが監督で、よくも同じような話を繰り返すものよとあきれるが、今回もたくみにまとめる内容。実に達者な職人芸ながら、ついにシャーロン・コネータを主役に起用も、ちょっとうんざりを逃れない。
リリー・モンテヴェルデとロイ・イグレシアスのストーリーによるロイ・イグレシアスの脚本は、いつもどおりのパターンのうまさ。
最初に１９５７年の動乱の中華人民共和国から難民が逃れ、海賊に襲われる中、母親（ジョアンヌ・メンコ）が幼い娘のジンフェン（サブリナ・マン）とはぐれる。２００９年のマニラで高層ビルのジンフェン・タワーのオープニング・パーティーが開かれ、財を築いたジンフェン（ブーツ・アンソン・ロア）の一代記かと思いきや、娘のメリンダの物語。
１９６０年、１９６９年、１９８１年、１９９３年、１９９８年、２０００年の出来事が現在と交差で語られる。
フィリピンで孤児となったジンフェンに中華系の育ての親（ガーウィン・ボルハ、ビア・サイ）がつき、里子を探す夫婦が教会で選ぶ際、尼僧が子どもたちを並ばせるのが、どこか愛情の乏しさをうかがわせる。年頃に育ったジンフェン（エダ・ノラン）は駆け落ちし、夫（ドミニク・ロコ）と屑屋を開く。電気部品店を営む両親をあっさり捨てるあたり、実際に愛情が少なかったのだろう。娘のメリンダができて、親のことでイジメをうける。
今度は年頃のメリンダ（グライサ・デ・カストロ）が恋に落ちるが、相手のアルフォンソ（ＪＣ・デ・ヴェラ）が中華系で、メリンダが中華系じゃないと、アルフォンソの「彼女の母親は中国人だ」を聞かずに両親（サムエル・タン、エリザベト・チュア）が猛反対。これを無視で結婚のアルフォンソが独立で自転車店を始める。いかに中国系が血統にこだわるかを示す。
時間が流れ、三人の娘とひとりの息子をもうけたアルフォンソ（クリストファー・デ・レオン）とメリンダ（シャーロン・コネータ）は友人のアルバート（ゾーレン・レガスピ）と製麺工場をつくるも、たくみにアルフォンソの妹のオリーヴ（シャシャ・パディーリア）が次女のステファニー（ニッキ・サモンテ）をとりあげる。アルフォンソとメリンダの家が火事に、あやしい出火は放火らしく、ショックでアルフォンソが死亡。メリンダにカネがないのを軽蔑のアルフォンソの両親とオリーヴが三女のオーブリー（アレクサンドラ・ボラ）と長男のウォルデン（ミゲル・チュア）も手元におき、メリンダを小間使い同然にあつかう。
ようはメリンダが長女のカロル（シアラ・ソット）だけを残し、ステファニー（ハート・エヴァンゲリスタ）、オーブリー（ニコル・ウイシウセン）、ウォルデン（ジュン・マナロ）をオリーヴに奪われる。まだオーブリーとウォルデンはオリーヴが友人たち（エルサ・アン、ジュリエット・カントル、マーリン・タイ）と麻雀のすきにメリンダの誕生日に現われ、愛情があるも、マインド・コントロールでステファニーがメリンダを嫌う。いかにメリンダがステファニーの気持ちをとり戻すかの展開。
考えかたの根底を家族が占める構図が中華系とフィリピン人で共通なため、このシリーズは人気を集めるのかもしれない。
まあ、単細胞。
カロルはヤクザっぽいジーノ（ライアン・アイゲンマン）とつき合い、こんな腕に刺青だらけのわかりやすいワルとどうよと思わせる。ステファニーにも恋人のダニエル（デニス・トリーリオ）がいるが、二枚目のダニエルはエリカ（ニーニャ・ホセ）と二股のようす。しかもジーノとダニエルともにドラッグの販売と人身売買に関与し、ジーノはシンジケートに口封じで殺される。エリカが潜入捜査員だったため、ダニエルの事件は危ういところで阻止、と拳銃がらみの血なまぐさい暴力の盛りこみがフィリピン映画。オリーヴの家を去ったステファニーに暗殺者が向かう情報をメリンダがつかみ、とっさに身代わりで撃たれるヴァイオレンスも入る。
とにかくダニエルがオリーヴの下でマネー・ロンダリングに雇われ、ステファニーに近づいたのはそのためで、ステファニーがダニエルの逮捕によってオリーヴが自分と妹や弟を陰でビジネス目的に利用と知り、あっさりオリーヴを捨て、あれほど恨んでいたメリンダと和解。
ホント、単細胞。
警察に迫られたオリーヴの自殺もきれいごとに思える。デル・ロサリオ弁護士（リッキー・ダヴァオ）はうなずけるタイプだし、裁判のもようも難なしながら、現実は警察も裁判官も、刑務所の中の刑務員も買収が実態だろう。
メリンダが富豪に登りつめる過程が曖昧なうえ、当然のごとく政治家への賄賂などの面をごまかし、それって重要なポイントでしょ、と突っこみたくなる。いささかご都合主義の範ちゅうをでない。人間ドックのＣＴスキャンでガンが発覚のメリンダがすべてを相談できる親友のヴィヴィアーヌ（クリス・アキノ）と悩むも、あっさり悪性でないと判明や、ステファニーをかばって銃弾が当たったメリンダが助かるあたり、ドラマティックにしようとの無理なこけおどしの押しつけに感じる。また、女性ばかりの役員（シルヴィア・チョンソン、マルー・クルース、パオラ・ムーニョス）や秘書（リラ・サンチャゴ）を従えてステファニーが出版社を経営は、あまりにもビジネス・ウーマンのイメージに遠い。
メリンダが四人の子どもと紫禁城や万里の長城の八達嶺、ジンフェンの故郷と設定の村を訪ねて熱烈歓迎をうける中華人民共和国でロケのラストまで、テンポよく語るジョエル・ラマンガンの演出力は買うが、そろそろ『ＭＡＮＯ ＰＯ』は終わりにしようよとマンネリがもたげる。
シャーロン・コネータは肥満が目だち、ウルトラ・リッチの現在はまだしも、回想の貧乏な過去にデブじゃ、著しく説得力をさげる。大スターに申し訳ないが、正直なところ、もはや醜い。とくに夫役のクリストファー・デ・レオンが太っていないため、余計にブタ。
女優陣ではシャシャ・パディーリアがプロポーションを維持に、メリンダだけを連れていかないピクニックで車に乗るときのジーンズや、ステファニーたちと口論でのベージュのパンツ、メリンダにビンタをくらう際のドレスで中年の色気を放つ。
十代のオリーヴ役のエリカ・ティーは顔がよくわからない。
オリーヴの秘書役にヴィルマ・サントスとあるも、同姓同名の別人だろう。
とにかく若手が視線を奪い、シアラ・ソットがメリンダとアルフォンソの屋敷ふうの大きな墓にもうでるシーンで下半身にピタピタのジーンズをはき、ヒップにキュッと貼りつくうえ、前にかがんでお尻をつきだす礼拝を背後から撮るショットにドキドキ。ジーノとベッドはボディーにタオルを巻いたままの露出でも、ディスコでシースルーのシャツごしに黒いブラがみえるし、ダニエルにステファニーのことを説明されるときも黒いブラのうかがえるシャツ。ビーチでボトムはジーンズの短パンだが、水着のブラがまぶしい。
少女時代のカロルを演じるニコル・ヤップ、パメラ・フアン、プレシャス・ララのうち、幼いプレシャスはセクシーなプレシャス・ララ・キガマンと別人。
カロルの友人役のロギリン・カスティーリオとアンジェリン・ソリアはイマイチかな。
ハート・エヴァンゲリスタは経営会議でのミニスカがよいも、ダニエルとカロルが交通事故を起こして病院へ駆けつけるときのジーンズが、これまた下半身へタイトにフィットの型で、よだれがこぼれそう。卒業式のダンスはまあまあなレヴェル。
少女時代のステファニーを演じるニッキ・サモンテとサイリエル・マナブットのうち、ニッキは将来が楽しみ。
グライサ・デ・カストロとエダ・ノランは、ほとんど見せ場を欠く。
個人的に注目はニコル・ウイシウセンで、キスの誘惑にかられるかわいさだし、バスタオルをかぶっているながら、プールサイドの水着にときめく。もっともっと長くお願い、とすっかり魅了される。
少女時代のオーブリーを演じるアレクサンドラ・ボラとマリー・クノル・パスンバルは女性としてどうの以前で、子役だと、少女時代のジンフェン役のサブリナ・マンが演技的に光る。
グサッととどめが刺さるほどの強烈さで悩殺を送ってくるのはニーニャ・ホセに尽きて、絶世の美貌はすでにいくつかの作品で指摘ずみだが、今回はボキボキの興奮をくれる。ステファニーに会うダニエルと別れるモールのエントランスで下半身がくっきりのタイツのパンツで歩き、お尻に食いこんでいる。ダニエルとベッドはピュピュピュものの挑発で、バストの谷間に燃えるのみならず、ピンクの下着で鼻血寸前に追いこまれる。これほどの美女の下着姿は、ほぼ天国の至福。ダニエルを逮捕の捕り物騒動で白いピタパンをはき、歩いたり走ったりでヒップの形が明らかに揺れるラインにイキはてる。
ただしベッドでタバコを吸い、ダニエルやジーノがタバコは人間がＣ級との表現なので納得も、喫煙というノータリンにしか似合わない行為を美女にさせちゃダメ、と怒鳴りたくなる。
いずれにせよ、ニーナに拍手！
