ＭＡＮＯ　ＭＡＮＯ　３　　ＡＲＮＩＳ　ＴＨＥ　ＬＯＳＴ　ＡＲＴ
（一対一　３　アルニス・失われたワザ）
　
04年：ロケッツ・プロダクションズ
監督：ロン・リック
主演：ロニー・リケッツ
　　　 マンディー・オチョア
　　　 リカルド・セペダ
　　　 グウェン・ガルシ
　　　 レイラ・クスマ
　　　 レス・コルテス
　　　 ディック・イズラエル
　　　 レヴィー・イグナシオ
　　　 ディンキー・ドゥー
　　　 エドガー・マンデ
　　　 ジムウェル・スティーヴン
　　　 モンソール・デル・ロサリオ
　アルニスという拳法を題材におくアクション映画。アルニスは競技者がいなくなって忘れられた格闘技との説明があり、試合の場面をみればスポーツ・チャンバラのようなものかと思ったが、ワザの披露で棒術の一種とわかる。一メートル弱の棍棒を両手でもってクン・フーのごとき動作の型に、剣道とはまったく別ものと認識する。
　まず冒頭、ロニー・リケッツ演じる達人がアルニスの大会で優勝をかざるのに、ゲスト出演のモンソール・デル・ロサリオ演じる潜入捜査官が、マンディー・オチョア演じるシンジケートのボスに殺されるシーンが重なる。ロニーがモンソールの弟で、リカルド・セペダ演じる警察に協力してマンディー一味をやっつける内容。
　レヴィー・イグナシオ演じるマンディーの部下が日本人との設定で「もしもし」なんてぎごちない日本語を話すのがお笑いだが、日本刀を振りかざし、いったんロニーを圧倒する。表向きスポーツ文化への貢献者をよそおうマンディーがアルニスのトーナメントを企画。自信喪失に陥ったロニーがトレーニングに励んで復活をとげ、ジムウェル・スティーヴン演じるライヴァルを決勝で破るとともに、警官隊対シンジケートがぶつかるクライマックスでジムウェルとレヴィーを退治する。
　いたって単純な物語の中に、ブルース・リケッツ演じるモンソールの息子の少年へロニーがアルニスを教え、ブルースがマンディーをしとめるなど、一応のドラマを盛りこんでいるから、普通程度のできか。レス・コルテス演じるリカルドの上司のあつかいは納得なものの、ディック・イズラエル演じるマンディーの弁護士のキャラがマンガだったり、フィリピン映画っぽい誇張表現がけっこうマイナス。マンディーがアルニスをギャンブルにしていて、大金を賭ける相手がアラブ人なのは、じゃっかんの興味がわきあがる。
　まあ、グウェン・ガルシ演じるマンディーの愛人がもう一人の潜入だったとのオチは、モンソール殺害のときの表情や葬式をのぞきみる行為などの伏線でバレバレだし、そんなミステリー趣味ははなから意図にないようす。マンディーが入る風呂にビキニで現われ、体をクネクネと踊ったあとに混浴。マンディーをマッサージする際の極小ビキニに浮かぶバストの谷間や、トレーニングで自転車をこぐランニング・パンツのお尻のドアップといったセクシーさ全開が、なにより嬉しいところ。好みの顔じゃないし、ヘソにピアスをつけるボディーも減点ながら、グウェンの挑発的なプロポーションの動きに下半身が元気になる。
　この手のストーリーに不可欠なロマンス要素を加えるのはレイラ・クスマ演じるスポーツ・チャンネルのキャスターで、インタビュー取材を嫌うロニーへ強引に接近で第一印象が悪いのは、出会いのパターンとしておなじみ。たまたま居あわせた街での乱闘騒ぎにおいて黒いピタパンのファッションで脚をあげてのキックが色っぽいものの、雑誌にセミ・ヌード写真を発表したことのあるモデル出身だけに、マンディーたちにら致されるところで服を破られるくらいのサーヴィスがほしかった感じ。
　あとスポーツ・ジムの受付嬢、リカルドの助手の警官、レイラのアシスタント・スタッフの女性が三人ともかわいく、タメラ・マリー・スハルト（二〇〇四年度ミス・フィリピン）、デイジー・ヒバレル、リザ・タルデシリアのうちの誰がどれか特定できないのだが、いずれもそそるシチュエーションを欠くのが残念。
　女優の魅力という角度からは、グウェン以外、もの足りなかったようだ。