ＭＡＮＩＬＡ　ＧＩＲＬ　　ＩＫＡＷ　ＡＮＧ　ＡＫＩＮＧ　ＰＡＮＡＧＩＮＩＰ
（マニラ・ガール　あなたは私の夢）
　
95年：プライム・ピクチャーズ
監督：マイク・レロン・マキリン
主演：オギー・アルカシド
　　　 ヴァネッサ・フィドラー
　　　 パトリック・グスマン
　　 　ジゼル・サンチェス
　　 　エミリオ・ガルシア
　　 　チャド・ボルハ
　　 　ヴィクトリア
　　 　アール・イグナシオ
　　 　リー・ロビン
　　 　ミヤ・ノラスコ
　ギャグが冴えないとコメディーが生きないのは当然で、もう少しアイディアを練ってくれよと悲しくなる作品である。
　オギー・アルカシド演じる夢想癖があり、ヴァネッサ・フィドラー演じるモデルに恋しているドジ男が主人公。西部劇の酒場、ホラー（フランケンシュタイン）、アラディンと魔法のランプなどの設定をイメージしては、夢の中でさえヴァネッサを口説けないといったシーンを繰り広げる。
　会社ではジゼル・サンチェス演じる女性オーナーにアクシデントでケチャップを顔にぶちゃけたりで怒らせ、パトリック・グスマン演じるジゼルに気に入られている同僚に迷惑ばかりかける。
　これにエミリオ・ガルシア演じる『トイ・ストーリー』のウッディー風の実物キャラクターや『ダーティハリー４』のパロディー、日の丸ハチマキで「なんだこれ」なんていったり、軍艦旗ハチマキで「バッキャロー」と刀を振りまわす日本人など、理解不能の人物が登場に、ホントさむい内容。
　ただし中盤から舞台がずっとビーチ・リゾートになるから、笑い以外の個人的な趣味の部分で楽しませてくれる。
　コメディエンヌでもあるジゼルは、リゾートのオーナーで性格ブスのミスを楽しそうに演じるが、マック・セネットを連想させるような時代風の水着がおかしい。それになぜか顔が瓜二つというリゾートのスタッフと二役で、こちらはひょうきんなギャル。フラダンスしたり、花柄ワンピースの水着でリング・ガールのような動きをみせたり、溺れたフリをするシーンで黒いワンピース水着にヒップラインを浮きあがらせたり、セクシーさ十分とはいかないものの、そこそこ堪能を招く。
　これに歌手のヴィクトリア（ラストでオギーが歌うラヴ・テーマの作詞・作曲も担当している＝作詞はオギーと共同）がスパッツのボトムという露出は少ないものの、一応水着になるし、黒いパンツ・ルックで銃をかまえるポーズがあり、まずまず色気をだしている。
　本格的なデビュー作にあたるノラ・ミヤスコは、水玉模様のワンピース水着でヒップラインをくねらせ、嬉しいキュートさ。
　中でも悩殺ものなのがヴァネッサで、ジャニン・バレドを都会ふうに洗練したような容貌と、おそらく１８０センチはあろうかと思われる大柄なボディーのうえ、バツグンのプロポーションときている。あこがれの女性にまさか出会えたオギーの役どころでなくても、うっとりのパーは当然。クルーザーに横たわったり、海岸で水の中から浮かびあがってくる際の大胆なビキニ姿など、ただただ圧巻。そのうえ背中にローションをぬってもらうシーンでは、ブラの紐をはずすから、ウワー、もう我慢できない。
　ときたまヴァネッサのような手のとどきそうにない美女と遭遇できるので、フィリピン映画はヤミツキになる。
　映画は最後にヴァネッサの誘拐でドタバタ救出騒ぎに発展だが、ジョン・ウィリアムズの『スーパーマン』のテーマが流れるとオギーがヘンテコな超人風に変身。他のメンバーもチェンジして、パトリックなど柔道着の忍者なのがコミカルなものの、いささか格闘部分の展開を長く感じる。やはりマイク・レロン・マキリンの演出がうまくないのだろう。ただヴァネッサがエナメル・ホット・パンツのスーパー・ウーマンに変わると、ながーーい脚を振りあげてのキックは、ひたすら視線を奪うばかり。
　あまりにハイ・レヴェルなヴァネッサの魅力の前に、作品の評価なんてどうでもよくなってしまった。