ＭＡＮＡＹ　ＰＯ　２　　ＯＶＥＲＬＯＡＤ
（オカマ言葉の母への尊敬　第二部　過剰負担）
　
08年：リーガル・エンターテインメント／リーガル・マルティメディア
監督：ジョエル・Ｃ・ラマンガン
主演：ルーファ・メエ・キント
　　　 チェリー・パイ・ピカチェ
　　　 ジョン・プラッツ
　　 　ポロ・ラヴァレス
　　 　ジロ・マニオ
　　　 クリスチャン・ヴァスケス
　　 　シド・ルセロ
　　　 マイク・タン
　ジョエル・Ｃ・ラマンガンが得意の同性愛を主題にとるコメディーで、軽いタッチの作品。リリー・Ｙ・モンテヴェルデとディンノ・エレセのストーリーにもとづくディンノ・エレセの脚本による人物のキャラクターは前作を引きつぐ。
　三文役者のジェリー（クリステャン・ヴァスケス）と何度目かの再婚をした中年女性のルス（チェリー・パイ・ピカチェ）と三人のホモの息子の物語になり、色っぽい家政婦のマリテス（ジゼル・サンチェス）のいるのが同様。今回は建築家の長男のオスカー（ポロ・ラヴァレス）が同性のパートナーのエドリアン（シド・ルセロ）と子どもがほしいと思い、「まだおばあちゃんはイヤよ」というルスをよそに新聞へ受胎契約の女性をつのる記事をだして巻き起こるドタバタ劇。これに次男のオルソン（ジョン・プラッツ）は相変わらずハンサムなマーキー（マイク・タン）にホレるも、状況に進展がなく、友人のフリーダ（ＩＣ・メンドーサ）と三名でミス・ゲイ・ユニヴァーシティーに出場した仲間のチェル（チャールズ・クリスチャン）といさかいで対立なうえ、たまたま強盗に襲われたレイナー（アレックス・カストロ）を救い、記憶喪失のレイナーを病院で熱心に看護でホモの愛をうけいれるようにと願う。三男のオルウェル（ジロ・マニロ）はカミング・アウトがまだだが、高校ではホモのダフニ（ＥＪ・ハロリナ）と親友で、女子生徒のアイダ（アンドレア・トレス）とつき合うながら、水泳部のホープと自分に期待を向けるコーチのパディーリア（パオロ・リヴェロ）にときめく。ルス自身は知り合いのサンマー（ルビルビ）が妊娠っぽいのに相手がジェリーじゃないかとの疑惑で浮気を探る、との群像がからむ。オスカーの友人のロウェル（ジム・ペバンコ）も少しでてくる。
　冒頭でルスとジェリーがスーパー・マーケットの店内で強盗に遭遇し、いつものごとくジェリーが気絶。ルスが色気で脱出を試みるギャグで、犯人がモキシー（マルコ・アルカラス）とベット（ルーファ・メエ・キント）のコンビ。出産契約の女性募集の記事をモキシーが読み、ベットに応募させる。アグリー・ベティーと名のるベットがルス宅に同居でシチュエーションができあがる。応募者と面接のときにマダム・アウリンが扮する老女やマリリン・アポリナルが扮する大人子どもみたいなのがきて、日本風の部屋がおもしろい。ベットが髪の毛にカールをかける安化粧のイメージを与えつつ、強盗のときが銀のボディコンで、オルソンやオルウェルが女性のランジェリーを着るのをからかう。ルスがいつもカラフルな羽根の扇子であおぐ、などのファッションやインテリアや小道具でみせて、花柄の枠の画面で女装の息子たちが歌うミュージカル的な要素を加える。看護婦（アリア・チュア、パウリン・ゴメス）がもってきた病院の食事が臓物なのをレイナーが食えないといった食べもののネタも含まれる。新聞の尋ね人の広告でレイナーの名前を知ったオルソンがお互いの名前の数を計算し、フィリピンにもこんな占いがあるとわかる。パディーリアの海パンの股間にときめいたオルウェルがおぼれたふりでマウス・トゥ・マウスの人口呼吸を画策がバレ、期待が嫌悪に変わったパディーリアが学校に訴えてルスが呼ばれるとき、学校の理事（アントニー・ロケル）がホモっぽかったり、オルソンがレイナーを恋人という病院の医師もホモふうなのや、ベットの出産に女医（ベット・マフサイ）が父親を聞いてオスカーとエドリアンの二人がいる同性愛のギャグの散りばめが、さすがにオカマのジョエル・ラマンガンらしいゆえん。オルウェルのホモが発覚で水泳部の着がえ室で生徒たちが警戒し、パディーリアへ見返しにオルウェルが勝つ水泳大会での泳ぎがヘタなのがご愛嬌。ホラー映画の撮影でジェリーがパンツ一丁でとる合成画面用のポーズをルスがセックス・シーンと勘違いのズッコケで監督役のアル・クルースがジョエル自身に似ていたり、チェルのボクシングの練習をオルソンとフリーダが「マニー・パッキアオか」とからかい、全編にやたらジュディー・アン・サントスなどのスターの名前をだすあたりが芸能ネタのお笑い。ミス・ゲイ・ユニヴァーシティーの会場前でチェルを辱めるのにオルソンとフリーダがスーパー・ヒーローみたいな動きをみせるし、仲直りのオルソンとフリーダとチェルがモキシーの一味の退治で三人がチャーリーズ・エンジェルふうになる。ミス・ゲイ・ユニヴァーシティーの出場者はマリアン・リヴェラ、アンヘラ・ロクシンと名のっている、なんて構成で進める。
　クライマックスはふたつつくられ、まずはミス・ゲイ・ユニヴァーシティーの参加者募集のポスターが高校に貼られ、注目のオルウェルが迷ったすえに出場。女装でなくてバロン・タガログでステージに立ち、堂々と「ゲイなのを誇りに思う」と述べて拍手を浴びるエピソード。もうひとつはベットが男の赤ちゃんを出産で病院にあらわれたモキシーにジェリーがいつかの強盗だと気がつき、モキシーが身代金目当てで赤ん坊をもって逃げるが、母性本能に目ざめたベットが寝返り、モキシー一味をやっつけるエピソード。イカツイ猛者どもをオカマたちがのしてハダカにむくバカバカしさもだが、猛者たちを前にすごんだようで、すぐにバタッとジェリーがお約束の気絶がマジで愉快。
　個人的にルファ・メエ・キントの出演でセクシーさをプラスが嬉しくなる。女性とのセックスを怖れるオスカーに種つけさせるため、セパレーツの水着で襲いかかる。オスカーとエドリアンのベッドにスリップで潜んでいる。ビーチではビキニの水着を披露する。ジゼル・サンチェスが前にも増して挑発的で、家事の際のミニスカ、面接の際のバストを強調のシャツとミニスカのみならず、黒いブラとフリルのパンティーの下着がそそる。チェリー・パイ・ピカチェまでが太めのボディーにミニスカとブーツで迫ってジェリーを気絶に追いこみ、バルサにジェリーとサンマーが一緒だと目撃のビーチの浅瀬で大きなお尻にパンティーが貼りつく水着をみせる。ブスのルビルビが短パンに網タイツの太腿をのぞかすのは余計。高校の水泳の授業で水着の女生徒が数名いて、かわいいアンドレア・トレスが青いワンピースながら、ボトムに布を巻き、座ったままが惜しいかな。
　まあ、前作よりも落ちるが評価でも、ルーファ・メエ・キントのコミカルなコメディエンヌぶりとジョン・プラッツのアクの強い過剰なホモ演技や、ポロ・ラヴァレスとジロ・マニオのホモぶりを肯定するなら、けっこう楽しめる印象だった。