ＭＡＮＡ−ＭＡＮＡ　ＴＩＢＡ−ＴＩＢＡ
（すごい遺産金だ　多く得ようぜ）
　
00年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：アル・タンタイ
主演：アンドルー・Ｅ
　　　 バヤニ・アグバヤニ
　　　 レオ・マルティネス
　　　 ルーファ・メエ・キント
　　　 チャック・ペレス
　　　 オニョク・ヴェラスコ
　　　 トレーシー・ヴェルヘル
　　　 モーリン・ララザバル
　　　 カロイ・アルデ
　　　 マリッサ・サンチェス
　アンドルー・Ｅとバヤニ・アグバヤニの顔合わせに、レオ・マルティネスをプラスしたナンセンス喜劇。遺産相続をめぐるドタバタ騒動を描くのだが…
　レオ演じる強欲だった金持ちが今わのきわに誰も自分の葬式にこないだろうと危惧し、オフィシャル・ゲスト・ブックへ最初にサインした二名に財産を譲るとの遺言を残すのが発端。チャック・ペレスとオニョク・ヴェラスコ演じる甥がカネ目当てでやってきて、モーリン・ララザバル演じるオニョクの妻はさらに強欲。チャックはろれつのまわらない話しかたで不自然さをアピールしながら、あとで実はモーリンとできていて、のけ者にされたオニョクが改心する人間関係になっている。
　アンドルー演じるのはいつものドジ・キャラで、映画の看板描きをクビになり、病院の掃除夫になるも、重体患者の点滴を倒して、尿の管を間違って刺す。今度は葬儀屋になってみれば、依頼された死体が病院で処置を誤ったときの男だった…　と相変わらず人の不幸をネタにしたアクの強いギャグをみせる。バヤニは山岳少数民族の酋長の息子で、居留地区に開発計画が持ちあがって先祖伝来の土地を守るために大金が必要になり、マニラへと向かう。
　偶然からアンドルーとバヤニが出会い、オフィシャル・ゲスト・ブックへサインするまでの持って行きかたが巧みなシチュエーションを想定してあるものの、いささかテンポがたるく、イライラを誘う印象。遺産相続の資格を得た者には三つの項目の実行が課せられ、それをクリアできなかった場合は三、四番目にサインした者に遺産がまわるとの条件がついている。そうなればアンドルーとバヤニがレオの望みをはたすのをチャックたちがジャマする構成と予想が成り立つも、途中の過程でチャックたちが意外とおとなしく、ハチャメチャを招かないあたりがパワー不足。レオがいっぱい恨みを買っていて、ライヴ・ハウスを再建するためにアンドルーたちが住民交渉する際に、レオの名前をだしただけで追い返されるのに、二回目で簡単にまとまるあたりも説得力を欠く。
　またレオの幽霊が何度も現れ、誰かに乗り移っては自分の意見を述べたり、アンドルーたちを手助けするあたりは、もっと奇想天外さを盛りこめたはずと肩すかし。
　レオの愛人だったマリッサ・サンチェス演じる女性を訪ねてみれば、やはりレオの名前を聞くや銃で撃ってくる展開がきて、太ったマリッサにカロイ・アルデ演じるオカマの同居人がいるなど、それなりにコメディーらしいムードをつくってくる。トレーシー・ヴェルヘル演じるレオとマリッサの娘が盲目の美女で、オーヴァーなズッコケ演技を繰り広げるあたりは、けっこうクスクスできる点。バヤニとトレーシーが恋仲になり、やさしさの要素をさり気なく加味するバランス感覚は、アル・タンタイ監督のうまさじゃないか。
　ルーファ・メエ・キントがレオの弁護士を演じていて、ずっとアンドルーたちへ協力していたのだが、ルーファとアンドルーにもロマンスが芽ばえてほのぼの感がにじむあたりも買える。アンドルーがバヤニのお守りを黙って拝借し、怒ったバヤニがヴードゥーの儀式で人形を使ってアンドルーをこらしめるのはギャグとしてイマイチなものの、アンドルーとバヤニがかえって友情で結ばれるきっかけの扱いとしてまずまず。
　まあ、チャックたちがトレーシーを誘拐し、アンドルーたちが取り戻して一件落着という単純な話ながら、いいところもあったと評価できるようだ。
　もともとは大ファンのルーファをはじめ、女優陣の魅力に引かれてみたのが本当のところ。ルーファは意味なくプール・サイドで青いハイレグのビキニになっているシーンがあるから、嬉しいサーヴィスにドキドキ。胸元からバストがこぼれそうなドレスで登場したり、閑散としたライヴ・ハウスを満員にするためにアンドルーやバヤニと歌のパフォーマンスも披露し、そこそこ実力を発揮したといえる。
　モーリンはボディコン衣装やオッパイの谷間を強調したタンク・トップ、チャックと浮気するときの紐なしブラと白いミニスカ、クライマックスでの黒いブラと半ケツになる寸前の黒いピタパンなど、お色気爆発なものの、お子さまも対象の内容だからオッパイのモロだしがないのはしょうがないか。
　トレーシーはかわいいだけで、セクシーさとは無縁。
　あとバヤニがヒッチ・ハイクのはずなのに、なぜか車の横を走って移動するギャグで、オープン・カーを運転している女性が美人でびっくり。バヤニの村ではミス・コンテストの真っ最中で、遺産を手にして帰ってみればまだ続いているのだが、ビキニの女性たちにうっとり。とくにハニー、ラヴ、ソー・スウィートと名のる三名のうち、すごいハイレグが一人いてウハウハと視線を奪ってくれた。