ＭＡＩＮＩＴ　ＮＡ　ＢＡＬＡ
（熱い弾丸）
　
98年：グッド・ハーヴェスト・プロダクションズ
監督：リカルド・Ｂ・デ・グスマン
主演：リタ・マグダレナ
　　　 マイク・マガット
　　　 マーク・ヒル
　　　 ラファエル・“ベンボル”・ロコ・ジュニア
　　　 レーモンド・キアヌー
　　　 パキト・ディアス
　リタ・マグダレナが女性市長とは、ちょっと驚きの設定。
　まあ、それだけのことで、どうってことないＣ級アクションといえる。
　小さな町のヘッドから知事の座を狙う政治家がリタの役で、マーク・ヒル演じる現職の知事が警戒し、刺客を送りこんでくる。リタの兄が心配からボディー・ガードを雇うと、マイク・マガット演じるリタの別れた恋人だった、とはいかにも。
　マイクは気に入らない皮肉をいうヤツにケンカを売ったり、未練たらしく酔うとリタの家の窓まできて叫んだり、車の中でリタが嫌がるタバコを吸ったり、ロクなヤツじゃない。前半は意図的にマイクを頼りなくみせようとの狙いなのだろう。どうもうまく効果があがっていないのは、脚本のフミルデ・“ミーク”・ロハスより、監督のリカルド・Ｂ・デ・グスマンのわざとらしい人間の動かしかたに責任があると感じる。ただしリタがガードマンに「マイクを放りだせ」と命じるとボコボコにし始め、リタが「もういい」と制してもやめず、ついには「どういうつもりなんだ」と怒りにくるあたりは、なんとなく苦笑い。
　いよいよマークの部下たちの本格的な襲撃をきっかけに、後半のかなりの部分を占める見せ場へと突入する。ベンボル・ロコ演じるすご腕そうな悪党が意外と簡単に負けたり、パキト・ディアス演じる暗殺グループの首領やレーモンド・キアヌー演じるマークの右腕が多角的に攻撃しないから、アラララ、マイク一人にやられちゃって、とあきれもしようぞ。リタが反動の強そうな自動小銃を撃ってちゃんと敵に当たるのも、本当なら無理でしょ、とのご都合主義にシラける。マイクとリタ、レーモンドの双方が車を奪ってのカー・チェイスでは芝居がらみのショットのとき、実際に運転していないのが丸わかりで、思わず「ヘタクソ」と声がでそう。
　アクションの途中でリタがマイクに語る家族のグチなども、いつまでウダウダいってるの、といささか長い。
　ほとんど最初のほうで、選挙がらみの殺人を繰り広げるのにマスコミが報道しないのはなぜとの疑問や、選挙のためのイメージをやたら気にする発言のわりには、政策公約的な要素が皆無じゃないかとのあきれを生じさせ、説得力を持つドラマをつくろうとの意図はゼロなのだろう。マークの悪事がバレて警察が逮捕に乗りだし、自殺の結末まで、ホントひどい内容だ。
　カス映画と切り捨ててもいいものの、さすがにリタが下着で川を逃げる一連のシーンは楽しませてくれる。森の中の小屋までたどり着いたリタとマイクはかつてのときめきを取り戻し、パンティー姿になったリタが挑発的。セックスの最中にパキト一味が襲撃してくると、あわてて服を着る瞬間、オッと、リタの乳首がみえたか、みえないか…　いったん振りきって休むとき、流れの強い小川でリタが体を洗うのだが、ビキニ下着のブラがヌレヌレなのに素材が厚いのかアップでも乳首がスケないぞ、とイライラしていると、マイクが入ってきてブラをハズし、今度はチラッと乳首が…　小川からでたあとにイマイチ、パンティーがピタッと貼りついてないじゃないか、との不満が残るも、マイクとパキトが大きめの川で対決になって、その横をずぶずぶになりながら走るリタはビキニの上にスリップの二重下着なのにピタピタ状態で、ラインくっきり。マイクと滝のある沼へ飛びこむショットもなかなかの見せ場。これでザバッと水からあがるポーズも欲しかったところ。
　ほかにも冒頭の警告レイプ未遂シーンでミニスカからパンティーがのぞいたり、ベッドで寝ころぶかっこうでのランジェリーから胸元があやうかったり、けっこうチラリズムを盛りこむうえに、酔ったマイクが家の外でからむ声を聞いて「さっさと帰れ」と二階の窓から追いかえすシーンで、たまたまシャワー中。カーテンの扉をバサッと開くと全裸のリタが…　腕がジャマしてオッパイがみえないものの、ゾクゾクとそそる。
　リタの魅力が映画全体を救ってあまりあるようだ。