ＭＡＧＫＡＰＡＴＩＤ
（二人姉妹）
　
02年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ジョエル・Ｃ・ラマンガン
主演：シャーロン・コネータ
　　　 ジュディー・アン・サントス
　　　 クリストファー・デ・レオン
　　　 ディンドン・ダンテス
　　　 ローズマリー・ヒル
　　　 ピンキー・アマドール
　　　 トニー・マベサ
　シャーロン・コネータとジュディー・アン・サントスが共演のドラマ。メル・メンドーサ・デル・ロサリオの脚本のもと、ジョエル・ラマンガンが手堅い演出でみせる。
　産科医のシタ（シャーロン）には血がつながらないが、実の姉妹以上に仲のよい妹のリサ（ジュダイ）がいる。それぞれシタは夫のボビー（クリストファー・デ・レオン）との間に息子のジュスティン（マーク・ウィルソン）を、リサは夫のマイク（ディンドン・ダンテス）との間に二人の息子のミゲル（サイルス・ヴァルデス）とマルコ（アルフレッド・ラバトス）をもうけている。一緒に食事でピザを食べたあと、シタがリサにお小遣いをあげるのや、スクール・バスのトラブルをシタがジュスティンの誘拐と勘違いで大騒ぎや、ジュスティンが優勝の水泳大会をシタがボビーとリタとともにヴィデオ・カメラと一眼レフで撮影が伏線。リタ夫婦の家計をシタが支援と、ジュスティンをシタが溺愛と、ジュスティンの水泳上手を示す。たまたま急患でシタがいけず、リタがつきそったハイキングの川で事故が起こり、ジュスティンとマルコが水死で状況が変わる。泳げないマルコをジュスティンが助けるための犠牲になったと感じたリタがリサを恨み、冷たい態度に転じる。人生の宝を失ったシタは仕事に力が入らず、手術を途中で同僚の女医のスーザン（ジゼッテ・レイエス）にまかせれば、ボビーの夜の求めを拒む。一方のリサは妊娠中なのにロック・バンドのメンバーのマイクがクビになり、せっかくシタのとなりに引っ越した新居を家賃が払えずにあけわたす。バンド仲間のジェー（マイケル・コナン）の家や、伯父のネストル（ジム・ペバンコ）の家に居候を頼むも、肩身がせまい。しかも心臓の悪いミゲルが入院で医者（ガミー・ヴィライ）に放置不可を告げられ、困りはてたとき、シタがミゲルの引きとりを申しでる。子どものためにと承諾のリサをマイクが怒り、ボビーも「何してるんだ」とシタに忠告。ほとんどジュスティンの身代わりのごとくミゲルをあつかうシタにあきれ、ボビーが家をでていく。
　いくつか気になる点が指摘できて、川でカヤックにジュスティンとマルコがライフ・ジャケットをつけていないのに、事故へ発展が事前に読めるなら、シタが医者なのにタバコをプカプカで、アボじゃないのと思わせる。マイクのグループのライヴをシタとボビーが内心で苦笑いはよいも、シタとボビーが聴くソプラノの演奏会で『カルメン』の“ハバネラ”を歌う歌手（アグネス・バレド）がふきかえ丸わかり。
　でもジョエル・ラマンガンらしいうまさもあって、新居でリサとマイクのキスをとなりでながめたシタが冷やかしの電話を入れるのがほのぼのムードをかもせば、リサとマイクが粗末な食事でも、新しく生まれる生命に期待を持てば、リサが豪華な食事をミゲルに与えつつ、いつまでも過去にこだわる対比が、はたしてどちらが幸せかの問いかけをつくる。
　水泳大会でジュスティンがフライングみたいなのはご愛嬌。
　ジュスティンの部屋に『ドラゴンボールＺ』のシーツが敷かれて日本のアニメーションの人気を反映や、シタがベンツを運転に上流がにじみ、バタンガスでマイクが父（トニー・マベサ）と営む厩舎に顧客（メンゲー・コバルビアス）が息子と馬を買いにくるなど、カルチャー的な要素もうかがえる。
　まあ、シタがミゲルをとりあげ状態でリサに会わせず、妊娠のリサの診察すらスーザンまかせだったシタがリサの出産手術をおこない、生まれた男の子にリサがジュスティンと名づける元の鞘への流れにおいて、シタの反省に無理がなく、自然と納得の語り口が評価の最大ポイントかもしれない。
　世代の違う人気女優の顔合わせでは、どうしても役柄のキャラクター的にシャーロンのほうに分があり、企画自体がシャーロンのためと思わせる。ジュダイはサブの印象が残る。またクリストファー・デ・レオンやディンドン・ダンテスの男優陣は添えものに感じられる。ほかに女優ではシタの友人役にピンキー・アマドール、ボビーの母親役にローズマリー・ヒル、葬式にくるシタの親戚役にジレット・サンディコ、出産の患者役にアンジー・カストレンスなどが出演し、ピンキーの赤いドレスの胸元がそそる。
　なお、シャーロンの歌う主題歌は『青春の光と影』の“ボース・サイズ・ナウ”で、全編のスコアーにも編曲で使われ、あまりにも有名曲なので、いささかシラける。