ＭＡＧＡＧＡＮＤＡＮＧ　ＨＡＹＯＰ
（ともに美しいケダモノ）
　
(98)年：グッド・ハーヴェスト・プロダクションズ
監督：クリス・Ｔ・ミチェレナ
主演：サンシャイン・クルース
　　　 イネス・ヴェネラション
　　 　トフィー・カルマ
　　　 ジャッキー・カスティリエホ
　　　 ルイ・マナンサラ
　　　 テス・ドゥンピット・ミチェレナ
　　　 エド・アキノ
　　　 ＲＪ・アンソン
　　　 ジェリー・ヴェルガラ
　　　 エリック・メロ
　　　 マーク・コリアンテス
　何をやりたいのかよくわからない筋立てで、そこが意外な面白さを持っている作品である。これでクリス・Ｔ・ミチェレナ監督にサンペンスをつくる演出力があれば、ちょっとした拾いものだったかもしれず、惜しい気がしないでもない。
　サンシャイン・クルースとイネス・ヴェネラションがライヴァル関係にある女性を演じていて、カレッジの学生代表の選挙を争っている。どちらが当選するかにグイグイ興味を持たせ、逆転をまじえながら描いていくあたりはかなり引きつけるものの、ここから後半のストーリーがまったく発展しないのにアレッ？
　イネスは議員の娘だったのだが、エド・アキノとテス・ドゥンピット・ミチェレナ演じる両親が暗殺され、どうして起こったかの原因や、それからどうなったかかがはっきりしないままで、このエピソードもぶつ切れ状態に。
　サンシャインはジャッキー・カスティリエホとルイ・マサンサラ演じる二人の叔母のすすめでアメリカへ留学し、四年後に帰国するとルイのほうが亡くなっていて、遺灰を川に流す感傷的な部分があるものの、ここもとってつけたような印象。
　某会社の人事に勤務するようになったサンシャインのところへ、何も知らずにイネスが就職試験を受けにきて再会すると、またドラマが動きだす。相変わらずケンカがちなものの、実はお互い引かれ合う感情を秘めていた二人は、やがて一緒に住むようになる。そしてレズ関係を結び、禁断の同性愛ものへと発展するのかと思いきや、学生時代、ともにあこがれたトフィー・カルマ演じる同級生とイネスがばったり出会って三角関係へ。トフィーのことを嫉妬したサンシャンが嫌がらせを始め、ついにはトフィーを誘惑。
　なるほど、陰湿な愛憎劇をねちっこくみせようという意図なのかと期待するも、サンシャインがトフィーにレイプされたと訴え、またまた意外な方向へ。トフィーが弁護士を訪ねるあたりから法廷闘争のドラマを予感させるも、警備員の銃を奪ったサンシャインがイネスを殺しにやってくる。
　結局は犯罪スリラーとしてのクライマックスを迎え、はたしてイネスとトフィーの運命やいかに…　なのだが、ハラハラドキドキのシャープな盛りあげを欠き、残念な印象となったわけである。
　ところが実は…　というエピローグも、それほどエッとは驚かせてくれない。
　ただサンシャインとイネスのセクシー対決は満足のいく内容で、相当にビンビンもの。何度か黒いピタパンで登場するイネスは、うっとりするようなプロポーションなうえ、サンシャインからの意地悪電話を受けるシーンがお尻を丸みえにしてのシャワー中なのが嬉しいサーヴィス。採用を伝えにサンシャインが家へ訪ねてくるときもシャワー中で、今度はスリップを着たまま、乳首がスケている。トフィーとのセックスでは、ベッドにガバッと寝転んで、オッパイを堂々露出の全裸。
　サンシャインのほうはイネスにレズ感情を抱きながら、ムラムラを抑えてシャワーを浴びる際、濡れたＴシャツになって乳房を浮かびあがらせるのにムズムズとそそるものの、トフィーを誘惑するポーズで上半身裸なのに、うしろからでオッパイをみせないままが不満だから、この勝負はイネスの勝ち。
　レズ・シーンはパンティー一枚になって横チチをプラプラさせるイネスから始まり、丸だしになったオッパイの、画面が暗くて顔がよくみえないから、どっちがどっちの胸なのかはっきりしない構図なのに、形、大きさ、乳首だけで区別がつく自分のスケベさはさすがだな（！）とバカな感心をするも、サンシャインにパンティーをはぎとられるイネスにイキそうになるから、ここでもイネスの勝ち。
　というわけで、イネスの魅力だけは文句のつけようがない、本物の輝きだったといえそうだ。
　ほかにサンシャインが行くディスコ・パブのダンサーが妙に色っぽくて気になったが、これはオマケ。