ＬＵＭＡＢＡＮ　ＫＡ　ＳＡＧＯＴ　ＫＩＴＡ
（戦え、があなたに対する私の答え）
　
90年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ウィリー・ミラン
主演：フリオ・ディアス
　　　 ティミー・クルース
　　　 チェリー・パイ・ピカチェ
　　　 クリスティナ・ゴンザレス
　　　 フアン・ロドリゴ
　　　 トミー・アブエル
　　　 ガブリエル・ロムロ
　無理のある小型アクション。
　フリオ・ディアスとガブリエル・ロムロが兄弟を演じ、兄のフリオはマジメな修理工で、弟のガブリエルは組織に雇われる殺し屋。レオポルド・サルセド演じる買収に乗らない警察の将軍をズバス・ヘレロ演じるボスの依頼で始末すると、ズバスの裏切りでボンバー・モラン演じる仲間に撃たれる。家族へ秘密にしていた正体がバレるも、フリオがかくまい、クリスティナ・ゴンザレス演じる恋人に会わせる。でもカネとシャブにつられたクリスティナが隠れ家を教え、ガブリエルが殺され、クリスティナも消える。しかもチャーリー・ダヴァオ演じる悪徳警察士官がズバスとグルになってアニータ・リンダ演じるフリオとガブリエルの祖母まで命を奪ったので、ついにフリオが復讐を決意する。これにデモをおこなったりのチェリー・パイ・ピカチェ演じる正義感の強いガール・フレンドに新聞記者の知人がいて、ガブリエルの証言でズバスが犯罪者との記事を載せる。新聞記者が襲撃で亡くなり、チェリー・パイが行方不明に。ティミー・クルース演じるフリオにホレるバーのホステスがボンバーのお気に入りでいつも指名をうけ、店で聞いた情報をフリオに伝える、などのサブ要素がからむ。フリオとガブリエルの兄弟の仲がよく、近所の子どもたちをかわいがるといった殺し屋の反面、ガブリエルがイイ奴。その死体がゴミの山からあがり、クズ拾いの少年少女がみつけるあたりに環境的な興味が盛りあがる。ハイレグのビキニ・ダンサーがブラをはずした瞬間に摘発を始め、違法カジノへ踏みこむ警察の行動にもおもしろを含む。町にはトミー・アブエル演じる判事と呼ばれるお調子者がうろつくのだが、フリオがズバスをら致してきてみんなでトミーを中心に私設裁判を開き、死刑を宣告するのがアイディアの部分。ただし陪審員には子どもまでいるのに目の前でフリオがズバスを射殺は、ショックが強すぎるんじゃないのと思ったりして。
　まあ、ティミーとチェリー・パイとの三角関係に対し、ティミーが死ぬことで決着をつけるのではと予想したが、そうならないのはまあまあなものの、ピストルを持ったことのないはずのフリオが射撃の名手のごとく活躍するのは単純にあきれが生じる。たった一人で大勢をやっつけるご都合主義は相変わらずのレヴェルだけに、ウィルフレッド・ミランの演出は決してほめられた内容ではない。
　それでも期待は女優陣の魅力がどうかで、バス・タオルを巻いたかっこうでトミーを誘惑ふうにからかったあと、フリオが入ってきて色っぽく迫るティミーがけっこうぞくぞくとそそる。玄関を開けっぱなしなのが、いかにもフィリピンの貧民街。フリオとのセックスは暗くてよくみえないながら、ボディコン、青パン、白パンからうかがうプロポーションが素晴らしく、一応、ティミーにガーンと悩殺される。クリスティナはバーで踊るのをボブがみるときのセパレーツ水着がそれほど大胆じゃないし、ガブリエルとのデートや、絞殺になるベッドでボディーにシーツを巻いていて、いま一歩の露出不足。チェリー・パイにはとくにセクシーなシチュエーションをおかず、いずれも満足に達しない。三人とも、それなりに好みのタイプだから許すものの…
　パッとしない印象だ。
　なお、冒頭で悪徳刑事が日本のヤクザと「カンパイ」と会っているところをガブリエルが撃ち殺すエピソードで、店が“コリアン・トーキョー・スシ・バー”なのは、なんじゃそれと笑ってしまった。
　紙資料では題名が『ＬＵＭＡＢＡＮ　ＫＡ　ＳＡＧＯＴ　ＫＩＴＡ　ＳＡ　ＤＩＹＯＳ』とあり、エンド・クレジットには『ＬＵＭＡＢＡＮ　ＫＡ！　ＳＡＧＯＴ　ＫＩＴＡ』となっているのは、フィリピン映画らしい適当さ。