ＬＯＶＩＮＧ　ＹＯＵ
　
08年：リーガル・エンターテインメント／スタジオマックス
監督：ドン・Ｍ・クアレスマ
主演：ＪＣ・デ・ヴェラ
　　　 ヤスミン・クルディ
　　 　ジーン・ガルシア
　　　 ジョン・プラッツ
　　 　ポロ・ラヴァレス
　　 　エーラ・マドリガル
　　 　クリス・ベルナル
　　 　アルジュール・アブレニカ
　　 　ブレント・ハヴィエール
　　 　エリ・ネーマン
　仲よし五人の恋愛ドラマ。
　いつも一緒に行動するジェポイ（ＪＣ・デ・ヴェラ）、トム（ポロ・ラヴァレス）の男二人、レーン（ヤスミン・クルディ）、ブライ（エーラ・マドリガル）、トニー（クリス・ベルナル）の女三人は、ジェポイとレーンがとなり同士で、ジェポイが二階のベランダづたいにレーンの部屋へしのびこむのに、レーンがロマンスを期待しているにもかかわらず、ジェポイが気づいていない。コール・センターに勤務のジェポイは新人のキム（アンドレア・トレス）を紹介され、交際をはじめる。やきもきのレーンだが、就職先に同年代の上司のケーレブ（ブレント・ハヴィエール）がいて、おつき合いの申しこみをうける。コール・センターをやめてプロのモデルをめざすブライは、ヒモのようなウィージ（エリ・ネーマン）とラヴラヴのはずが、ウィージの浮気で荒れる。タクシー運転手のアクセル（ジョン・プラッツ）に送迎してもらっていて、アクセルの気持ちを知らずにいる。母親（カルラ・エストラダ）と二人の妹を養うアクセルは、カネもちっぽい父親のヴィルジリオ（トントン・グチェレス）がやってきても、前に家族を裏切ったことを許さず、追いかえしている。コール・センターの新人研修のトレーナーであるトムは、親子ほど年齢のはなれた広告代理店勤務のサイリル（ジーン・ガルシア）と愛し合い、結婚前提なのに、サイリルが知人の恩師にボーイフレンドじゃなく「フレンド」といったことで傷つき、別れを決める。コール・センターの研修をうけるトニーは、同じく研修にきたミュージシャン志望のライアン（アルジュール・アブレニカ）にときめくが、ライアンのほうも意識しているのに奥手で積極的になれず、ライアンを狙うピンキー（シーラ・ハリリ）の横槍に悩まされる。
　ライアンの父親のエリック（ジョン・ラプス）がオカマで、サイリルの同僚。エリックとサイリルの上司にあたる代理店の社長がヴィルジリオとの人間関係において、トニーの母のアレリ（ピンキー・アマドール）がレズで同性の恋人のジャッキー（ラヴリー・リヴェロ）と暮らし、ピンキーに「レズでしょ」といわれたのにキレたトニーが殴りかかれば、クンフーの心得のあるピンキーにのされる。トニーがライアンを「ボーイフレンドよ」と母に紹介すると、アレリとジャッキーが「ボーイフレンドだって。娘は女だったのよ」とハシャいで喜ぶ。デートの送りだしにアレリがライアンへ「処女だからね」といってトニーが恥ずかしがる。ライアンがエリックのキスをうけるのを目撃で、トニーがライアンをホモと勘違い、なんてフィリピンっぽいバクラとトンボイのギャグを含み、ジェポイとトムが体育館でバスケット・ボールにきょうじ、レーンとブライとトニーがジムでトレーニングにはげみ、ジェポイとキムが画廊へいき、全員でベイ・ウォークをジョギングと新興のミドル・クラスのライフ・スタイルをかいまみさせる。ケーレブがレーンを誘うのがヴァイオリンの生演奏のある店なのに上流がうかがえる。ウィージを忘れられないブライが実家を訪ねてみれば、下層の庶民ぶりにウィージの立場を思いやるところで生活の対比をつくる。会社のおばさんからジェポイが手づくりの服を買ってレーンにプレゼントや、ライアンがトニーにオリジナルの曲を歌うのに、フィリピン流の愛がにじみ、興味深い要素をいろいろと感じとる。
　レーンとケーレブの初対面がエレヴェーターの故障のときなのをフィリピンらしいと察するのは失礼ながら、トムのサイリルへのプロポーズがプレゼンテーションの最中で、この公私混同はアメリカ合衆国につうじるバカっぽさ。オーディションでブライが「ヒーローを演じてみて」でダルナをひとり芝居のおマヌケや、今度は「踊ってみて」に審査のスタッフやディレクターまで一緒にダンスのノリというか、軽薄なあたりが個人的にフィリピンの好きな部分。
　フェアレーン・レームンドとのストーリーをもとに、フェアレーンの脚本によるドン・クアレスマの演出は、とくにやさしさに焦点を当てて好印象をつくる。失恋で飲んで泥酔のレーンをケーレブが自宅に寝かせ、同じく失恋で泥酔のブライをアクセルが部屋まで送って寝かせ、ケーレブがレーンのゲロをふくのが男のまごころで、アクセルの誕生日にブライがアクセルの家へいけば、自分と違って家族のいる幸せを知り、アクセルがヴィルジリオを追い返すのを「違うのよ」とさとす。アクセルがブライの写真をもってヴィルジリオの会社を訪れ、ヴィルジリオがブライをモデルに抜擢との展開が、いかにもフィクションとはいえ、ハート・ウォーミングなドラマの典型をなす。結婚のサイリルとトムが赤ん坊をもうけている三年後に再会のジェポイとレーンの前にケーレブがあらわれるシチュエーションは不自然ながら、ケーレブに妻のいることでジェポイとレーンにハッピー・エンドをプレゼントの手法が、あと味をにごさない狙いになる。
　とくにどうってことのない作品だけれど、大衆に夢を与えるとの娯楽作の役わりをはたしたようだ、との評価に落ちつく。
　また語り口は、けっこうテンポがよい。
　ヤスミン・クルディは太めが明らかになったが、ジェポイが窓から入ってくる朝に着がえ中で、黒いブラをつけている。ジュポイがマッサージを頼む部屋では、光沢のキャミソール型のインナーだが、目隠しで相手の顔に手でふれてパートナーを判断するゲーム大会のビーチでジェポイじゃなくケーレブを選ぶとき、ボトムが短パンでも、黒いビキニのブラで視線を引きつける。エーラ・マドリガル、クリス・ベルナル、シーナ・ハリリも水着のブラだけみせる。ジェポイと愛を確認のベイ・ウォークの夜には雨が降ってきて、シャツが濡れる。グラビア・モデル出身だけにエーラ・マドリガルがさすがに色っぽく、でかける前の朝にピタパンをはいて準備したのに、ウィージに迫られて黒い下着になり、パンティーが大きいようでいて、ローライズぎみなのがそそる。あとのピタパンも下半身のスタイルをうかがわせるし、ベイ・ウォークのジョギングではシャツにバストの谷間をのぞかせる。ただしモデルに抜擢の撮影は水着でないし、タンドゥアイのカレンダー・ガールと記者会見していて、タンドゥアイのカレンダーはいつも極小ビキニのセクシー・スターなので、そのメイキングを入れなきゃとの不満が残る。クリス・ベルナルはライアンとのデートでビーチへいき、白い短パンのタイプのセパレーツ水着を披露のうえ、赤いブラがキュートといえる。シーラ・ハリリはトニーをクンフーで粉砕のとき、鶴のポーズをとるなどで、太腿に貼りつくピタピタのジーンズがオッと思わせる。アンドレア・トレスはなかなかチャーミングだけに、ウハウハのシチュエーションを欠くのが惜しい。ウィージが別の女性と寝ているのにブライが遭遇のシーンは、別の女性役のチャリス・ソロモンがブラとパンティーのボディーで誘惑をくれる。
　もちろんヤスミン、エーラ、クリス、アンドレア、シーナ、チャリスの若い子が魅力的で、とくにエーラが好みと気がついたものの、バツグンに美しいのはジーン・ガルシアにつきる。トムといたオモチャ屋で店員に「息子さんですか」といわれてムッとするシーンがあるが、そんな年齢にみえるわけがなく、トニーが浴びるシャワーへ入ったり、超ミニスカをはいていたり、キラキラのドレスを着たりのルックスにうっとり。赤いミニのドレスでトニーに抱きあげられるのに刺激が頂点に達し、大きく背中のあいたデザインは、もうお尻の割れはじめが露出寸前。トニーに脱がされ、ハダカでイチャついていると帰宅の母（ピンキー・マルケス）にみられて、とっさにクッションで隠すかっこうが鼻血を招く。
　カルラ・エストラダ、ピンキー・アマドール、ラヴリー・リヴェロの美人ぶりも相変わらずで、ピンキーとラヴリーはジーンズにプロポーションの維持がわかる。熟女のパワーに、かなりビンビン・クラクラ。
　よくをいえば三年後のパーティーがプールをのぞむ庭になり、奥にビキニの女性たちがうつるので、主人公たちも水着になってほしかった。