ＬＩＢＥＲＡＴＥＤ
　
03年：セイコ・フィルムズ
監督：マック・Ｃ・アレハンドレ
主演：ダイアナ・スビリ
　　　 フランシン・プリエト
　　　 ロデル・ヴェラヨ
　　　 クリスチャン・ヴァスケス
　　　 ウィンストン・エリザルデ
　　　 チューズデー・ヴァルガス
　　　 レジー・カーリー
　衝動的な性格の女性が自殺にいたる過程を描くも、心理のうわずみをなぞっているだけの印象。自殺を決意する背景にある孤独をえぐったルイ・マルの『鬼火』はインテリっぽすぎるし、あのレヴェルにおよばないのは当然なうえ、自殺という行為が愛を昇華させるフランソワ・トリュフォーの『突然炎のごとく』を比較にだすのは酷だろうが、どうも食い足りない。欲望に忠実で自分勝手なうえ、思い通りにならないと部屋で暴れて母親からなぐさめを受ける人物を設定し、いかにも破滅型をうかがわせるものの、どこか違う。自ら命を絶つタイプの本質について、こんな感じだろうとの想像のみで、実例を調べるなどの努力を怠ったのではないか。
　とにかくメル・デル・ロサリオ、ベネディクト・ミケ、レーモンド・リーの脚本に不満を感じる。
　またロクに仕事をせず、やっとコピーをとる店に勤めたら残業の連続で、友人たちが遊んでいるのにと顧客に悪態をついて投げだすのだから、共感のかけらも呼ばない人物。さっさと死んじまえと思うばかりで、むしろ亡くなってせいせいする。
　実にしょーもないドラマだ。
　でもダイアナ・スビリが主人公を演じていて、セクシーさを前面に押しだした構成がウハウハ。好みの内容でもある。
　ダイアナはいきなり洗車場で行きずりの男とセックスするのが冒頭で、泡まみれの身体を車にスリつけながら、オッパイがプラプラのトップレス。友人たちと常連のディスコにいるときウィンストン・エリザルデ演じるマッチョな男にナンパされ、その場でディープ・キスのあと、後日、ウィンストンの家へ。Ｔバック・パンツでダンスするウィンストンに応じて自分も踊り、シャツを脱ぎ捨ててオッパイ全開のあと、ミニスカをおろされれば、なんとノー・パンで一糸まとわぬ素っ裸。うっとりするくらい美的なプロポーションがバッチリなうえ、もちろんオッパイのアップも挿入。ウィンストンとの二度目は、シャツからのぞきでたオッパイをタプンタプンともまれ、うーん、弾力がよさそう、と全編に魅力を爆発させる。
　物語はフランシン・プリエト演じるＢＭＷの販売レディー、チューズデー・ヴァルガス演じる一児の母、ロデル・ヴェラヨ演じるオカマとの四人グループによる友人関係を軸に進み、各人のプライヴェートも描写。フランシンに恋人ができてみれば、偶然にもダイアナの浮気がきっかけで別れたクリスチャン・ヴァスケス演じる前のカレで、当然、ダイアナは気持ちが再燃してくる。クリスチャン相手にも座位のセックスで理想的なお尻のカーヴとかわいい乳首をあらわにもだえまくるなど、色っぽさ満開。良心の呵責で逃げるクリスチャンをヘロヘロに追いこむ二度目のセックスも座位で、ダイアナのお尻にあるエクボがなんとキュートなことか。ついにフランシンにみつかってしまうセックスでは、ミニスカだけのトップレスになって、クリスチャンにオッパイをもませるあたりが生つばゴクリ。ドアップでカメラがオッパイをとらえるのみならず、プルプルと揺れる質感がたまらない。
　他にもクリスチャンと別れる原因になった浮気のセックスにおける立位での全裸や、オナニーのシーンもあって、いやはや、すさまじいパワー。セックス以外でも自宅へ帰って就寝する前、ハダカになるのだが、オッパイはモロだし、寝ころんでパンティーを脱ぐポーズが挑発的。まさにエロスの女神のごときダイアナ、スプレンディット。
　ただし、二度ある浴室で母に頭から水をかけながらあやされるシーンで下着がスケてないのと、適当な男を挑発してみれば、三こすり半で終わるセックスでオッパイが隠れているのは、ちょっと残念かな。
　一方、共演のフランシンはアナ・マリー・ファルコンより改名し、ボールド女優に転じた最初の作品で、こちらもハデにヌードの披露が狂喜を呼ぶところ。クリスチャンに黒い紐パンティーをおろされそうにもなるも、ヴァージンとの設定だから手で拒むベッドにおいて、オッパイが完全露出のドバーッ。シャワーを浴びているとクリスチャンが入ってくるシーンでは、みごとなフランシンの全裸に圧倒される。腰のくびれとお尻の形はほぼ完璧といってよいもの。愛撫を受けながら正面の位置でオッパイのアップも迫ってきて、こりゃ、ただただ唖然。ダイアナがオナニーの肴にイメージする中でもクリスチャンに抱かれ、上向きオッパイのフェロモンが大胆なんて表現を通りこす。
　もっとも店で車の説明をしながら前かがみの姿勢で胸の谷間を強調して客を刺激するショットがでてくるも、このオッパイは本物かなあ、との疑惑がわくのは事実。ちょっと不自然に巨乳だし、アナ・マリー当時はほどほどの盛りあがりだっただけに…　容貌はダイアナより明らかに美人だし、すっかりファンになったフランシンだが…
　チューズデーはレジー・カーリー演じるディスコのバーテンと交際を始め、酔っぱらってレジーに送ってもらったとき、まさか、チューズデーがヌードになるのかと期待させるも、ジーンズのまま朝まで寝ていて残念。
　フランシンの母親役を演じるモーリン・マウリシオも、若い頃は好きな女優だったから、下着ぐらいのシチュエーションがほしかった。
　などの注文はあるも、エロティックな面では相当に高い評価を与えたい作品といえる。
　なお、エドウィン・レイエスとデクスター・ドリア演じるダイアナの両親が雀荘を経営していたり、ロデルが映画館でゲイのナンパを繰り返したり、ウィンストンがお香をたいて中国趣味を持っていたり、四人がエステへ行ったり、クリスチャンが前衛芸術家だったりといったあたりに興味をくすぐる要素がうかがえて、けっこう好奇心を満たしてくれる。ディスコのテーブルでみんながバロットを食べるシーンは、実際にバーで同じことをしたものにすれば、ニヤニヤ笑いが起きる。
　マック・Ｃ・アレハンドレ監督がうまさをみせたのは葬式の描写で、友人たち全員がショックを受けるも、ジメーッと落ちこむように暗くならず、冥福を祈ったあとに「食事しましょ」なんて雰囲気が、確かにこの通りよ、との納得を与える。
　細かい部分にほめるポイントを含むようだ。