ＬＡ　ＶＩＤＡ　ＲＯＳＡ
（ロサ《バラ》の人生）
　
01年：スター・シネマ・プロダクションズ
監督：チト・Ｓ・ローニョ
主演：ロサンナ・ローセス
　　　 ディーテル・オカンポ
　　　 リザ・ロレナ
　　　 エンジェル・アキノ
　　　 ジロ・マニオ
　　　 ヴィク・ディアス
　　　 ペン・メディナ
　　　 ジョング・ヒラリオ
　　　 ノニ・ブエンカミノ
　　　 アルベルト・マルティネス
　世の中をなめたような男女を主人公にされると、まったく困るのひと言。どうして共感が得られるというのか。
　こんなヤツらは死のうが生きようがどうでもいいわけで、勝手にしやがれ、という印象。いくらチト・Ｓ・ローニョが丁寧な映像で手抜きせずに描こうとも、最低の作品に変わりない。
　ゲスト出演のアルベルト・マルティネス演じるエンジニアを誘惑し、ロサンナ・ローセス演じる女が車を乗り逃げするのが冒頭。この車がモティーフになっていて、ディーテル・オカンポ演じる恋人にロサンナがタクシー・ドライヴァーをさせる。
　といっても堅気ではなく根っからのワルで、かつての顧客だった金持ちオヤジが結婚すると知るや、ロサンナは式場へ恐喝に行く。たくみに脅してもうまくいかないわかると、祝いの品をすべてかっぱらって帰り、近所に売ったりする。
　実にしょうもない奴ら。
　ロサンナにはリザ・ロレナ演じる盲目の母がいて、その手術代を工面したいと思っているのだが、だからといって犯罪が許されるとの論理にはつながらないはず。ジロ・マニオ演じる息子もいて、これほどまでのバカ女に育てられるとは、なんと不幸であることか。
　あきれてものがいえない。
　ペン・メディナ演じる兄貴分がアンティーク店強盗の計画を持ってくるも、ヴィク・ディアス演じるボスとカネのことでもめ、ヴィクの命令でペンが車を取りあげる。それでディーテルがヴィクを殺し、さてどうなるかと引っぱりながら、跡目を狙っていたペンが黙認して再び誘拐の仲間に加える展開は、いかにも仁義のないヤクザらしい。
　また妹（姉？）が住んでいるカナダからの手紙をロサンナが燃やしたり、バカっぽくカラオケに興じたり、誕生日でウェイターが歌ってくれるレストランでパーティーを開いたり、生活描写や風俗の盛りこみかたにうまさがあるものの、だからどうしたと感じるのみ。
　ロサンナの軽薄さに比べれば、ディーテルのキャラクターはややましになっている。クリス・ミチェレナ演じる父が亡くなって帰郷し、葬式のときに暴力的だった父を思いだすシーンなど、まずまずの情感。イルマ・マラシガン演じる母やミア・グチェレス演じる妹の苦労もたくみに暗示のうえ、故郷のビコールへ向かう指定席での電車の旅がフィリピン映画にはめずらしい描写で、ちょっと興味を引く。回想の中ではＪ・Ｒ・レガスピ演じる少年時代のディーテル、テレサ・ペロン演じる少女時代の妹とともにアンジェリカ・レイエス演じる幼なじみが登場していて、これが事件の鍵を握る存在。前のほうでエンジェル・アキノ演じる大きくなったアンジェリカをたまたまディーテルがタクシーに乗せているのだが、妊娠したことで泣いているようすへの好奇心から愛情が再燃。カトリナ・ナサリオ演じるエンジェルの娘を自分の子じゃないかと推測のあたりからも、人なみのやさしさを持っているとうかがわせる。
　入院したエンジェルを隠れてディーテルが見舞ったとき、大きな電気店の商店主の妻におさまっているエンジェルが感情的にディーテルを追いだし、心に傷を受けたディーテルが車を取りあげたボス殺しへと走る構成は、なかなかのもの。ペンと一緒に誘拐へ加わり、返してもらった車で運転手として仕事するも、簡単にペンが人質を殺害したために驚愕。今度はペンにナイショで、ジョング・ヒラリオ演じる仲間とロサンナとだけでディーテルがカトリナを誘拐する展開もけっこううまい。
　とはいえ、ディーテルらの犯行に感づいたペンが、イーマン・エストゥルコ演じる悪徳警官とともにロサンナとディーテルを追いつめるラストは、しょせん死んでいい人たちだから、まったくハラハラしない。むしろ、やられてせいせいするくらい。ディーテルの故郷へ送っていて助かったリザとジロのようすを描いてセンティメンタルさをだそうとするラストなど、セコー、とバカにもしたくなる。
　ホント、くだらない作品。
　こんな人物たちを疑問もなく主人公にできるということは、ひょっとしてフィリピン人に働くという美徳がマジで欠落しているのか、根本的な部分で泥棒体質なのか、と疑りたくなるほど。
　サイテー！
　ところでロサンナのセクシーさだけは、みごとな見どころをつくっている。ディーテルがイーマンに取り調べで殴られて、痛さからセックスできないシーンで、ロサンナは乳首が浮きでたシャツと、ヒップに食いこんだ白いレースのパンティーがキュート。故郷から戻ったディーテルとセックスのときは、乳首がチラッとのぞくうえ、翌朝のやはり乳首がスケたスリップが色っぽい。カトリナの身代金を手にすると、高級ホテルに宿泊でディーセルと風呂に入るシーンでは、オッパイがお湯の中から丸みえで、ウワーッ、吸いつきたい。誘拐事件を実行の最中での下半身にフィットした白いピタパンもセクシーで、脱いでなくてもイカされそう。
　とりあえずはむかっ腹の立つ内容ながらも、ロサンナのボディーの迫力で平均点に底上げ評価したい。