ＬＡＲＧＡＤＯ　　ＩＢＡＢＡＬＩＫ　ＫＩＴＡ　ＳＡ　ＰＩＮＡＮＧＧＡＬＩＮＧＡＮ　ＭＯ！
（ラルガド　私はあなたを私の元へ連れ戻しに行く）
　
99年：クラシック・フィルムズ
監督：ヘソス・ホセ、ロヘリオ・サルヴァドル
主演：リト・ラピッド
　　　 ロイ・ヴィンゾン
　　　 アヤ・メデル
　　　 アンジェラ・ヴェレス
　　　 シーラ・イズラエル
　　　 パトリック・デラ・ロサ
　　　 チャーリー・ダヴァオ
　　　 マイキー・マカパガル・アロヨ
　　　 マーク・ラピッド
　犯罪組織の情報を収めたマイクロ・チップをめぐって繰り広げられるハード・アクションである。全編にこれでもかとのドンパチ・シーンが展開する。クレーンで走ってくる車をつき刺して持ちあげたり、大型トラックでバズーカ砲をかわしてつっこんだりと、とくに新しいアイディアはないものの、とにかくハデである。もっともヘリコプターの爆破シーンだけは、実際にできないので、演出でごまかしているが…
　まず冒頭の取り引きのシーンで特殊捜査隊が乗りこんできて銃撃戦になる。このときとっさにチップを飲みこんだ犯人の一人が撃たれる。それで病院にシンジケートの連中が乗りこんできたりするのだが、捜査チームが腹の中にチップがあると気がつくまでに時間がかかりすぎるのは、シナリオ上どんなものか。また捜査員たちが冗談で手錠をはずせるかという遊びをしているシーンがあるが、リト・ラピッド扮する主人公の捜査員がこのとき簡単に手錠はずしてみせる。この特技があとで役立つシチュエーションが登場するのは、作劇的に『リーサル・ウェポン２』あたりの影響だろう。
　ヘソス・ホセ、ロヘリオ・サルヴァドルの共同監督がどのように分担したかはわからないが、演出的に大きな注目点はないものの、Ｂ級アクションの水準レヴェルには達している。
　役者としては、リトがアクション・スターらしくきびきびした動きをしているものの、本作では敵対する犯罪グループのボスを演じたロイ・ヴィンゾンが出色である。冷血無比な表情で殺人をするあたりにすごみがあるだけでなく、人を小ばかにしたような雰囲気が異様さを漂わせている。なんといっても不敵な顔つきがよい。アンジェラ・ヴェレス扮する捜査員の一人の妻を裸にし、タバコを肌に押しつけて消すシーンなど、性的異常者の怖さまでにじみだしている。赤ん坊を人質にして上から落とすところでも、これほどの悪役像はそうないものであり、主役のリトを完全に食っているばかりか、強烈なイメージを残す。
　女優はアヤ・メデルとアンジェラ・ヴェレスのセクシー競演だが、ともに全裸になっての熱演。個人的にはファニー・フェイスのアヤが好きなものの、平目顔の美女アンジェラの魅力もかなりのパワー。バス・タオルをはぎ取られてベッドに投げだされると、電灯の下で濡れたお尻のまわりの肌が光ってみえるあたり、ハッと息をのむような興奮である。回想シーンでのハイレグ・ビキニ姿もあり、本作ではアンジェラのほうに軍配をあげる。アヤがオッパイを丸だしにして殴られるところはよだれダラダラものだが、全裸でお尻もあらわに縛られているシーンは吹きかえによる別人のように思えることもあるし。
　なお捜査会議のシーンで、「電子動力」と書くべきところを「雷子動力」、それも雷という漢字を間違えているのには笑ってしまった。