ＬＡＮＧＩＴ　ＭＯ　　ＫＡＬＩＧＡＹＡＨＡＮ　ＫＯ
（あなたの空は私の幸せ）
　
04年：ヴィンセント・フィルムズ
監督：ヴィンセント・ニーニョ
主演：ラジャ・モンテロ
　　　 アレン・ディゾン
　　　 フランシス・エンリケス
　　　 ヤニ・ガルシア
　　　 マーク・ディオニショ
　　　 アリヤ・マルテル
　主にセザール・ＳＢ・アベーリアが監督していたエル・ニーニョ・フィルムズだが、ここではヴィンセント・フィルムズとプロダクション名を変えている。それにしてもヴィンセント・ニーニョという監督は、いったい何者なんだ？　といぶかるながら、さして映画の内容はセザールがつくったセックス劇と同じようなもの。
　脱穀機をつかった稲の刈りいれシーンから始まり、わりと極貧ではない農民たちのドラマとわかる。アレン・ディゾン、フランシス・エンリケス、マーク・ディオニショ演じる男三人と、ラジャ・モンテロ、ヤニ・ガルシア演じる女二人が幼なじみ。フランシスは地主のカネ持ちで、ラジャのことが好き。テス・オリアス演じるラジャの祖母はフランシスとラジャが結婚すればいいと願っているのだが、ラジャとアレンは相愛の仲で、夫婦の契りをかわす。フランシスはアリヤ・マリテル演じる秘書を連れてきて愛人にするも、アリヤは財産目的のだらしない性格だったため、ラジャのことが忘れられない。そんなときアレンがガンで三年の命と宣告され、わざとアリヤと浮気したようにみせかけ、自分の子を宿したラジャをフランシスのもとで幸せにしようとする話。これにヤニがフランシスを誘惑したり、ラジャに嫉妬したアリヤがマークに迫るエピソードが加わる。
　とにかく低レヴェルなストーリーより、周辺の風俗的要素に興味が満ちる。アレンが窓辺で歌ってラジャに求愛するのは、フィリピンのプロポーズのパターン。フランシスがラジャにチョコレートをプレゼントして「アメリカからの輸入品だ」といっているのは、マズそうって感じるながら、フィリピン人の嗜好をうかがわせる。ヤニがバー勤めを決め、ヤニの「ママさんが…」の言葉にアレンが「ママさんって何」とたずねているのが、純情さを示すためのわざとらしさと思うも、妙におかしい。ラジャとの結婚でフランシスがアレンにからみ、いったん大ゲンカのあと、あっさり謝って仲直りの単純さもフィリピン気質。テスが亡くなり、フランシスが葬儀代をだしてあげる構図はフィリピンのパキキサマというか、主従関係を暗示する。アレンが米を農協のようなところへおさめていて、フィリピンにも生産者の組織があることを教えてくれる。
　また、ラジャ、ヤニ、アリヤのヌード・シーンは、十分に期待どおり。アレンとの初夜でラジャはスリップを脱いで赤いパンティー一枚。乳輪が大きめの乳首を全開に、上向きのオッパイがアップで迫ってくる。フランシスとのベッドでは黒い紐Ｔバック一枚。ブラをはずしてオッパイがドバーッとモロだしのとき、むしろブラに包まれて谷間を強調していたほうがセクシーだなあとマイナス思考を呼ぶのは、乳房の張りがイマイチで、乳首がタイプじゃないから。でも紐パンティーをおろされるお尻のアップや、乳首がフランシスの胸をこする愛撫など、かなり興奮を招く。女性上位のセックスで明らかに挿入していないとバレバレなのがヘタな撮りかたとはいえ、セザールのように画面をダブらせないあたりが納得なだけに、ヴィンセントのほうがうまい表現で肉体をとらえている。
　ヤニは川で水浴び中にフランシスへモーションをかけ、白いシャツが濡れて貼りつき、完全にオッパイがスケスケ。そのシャツを脱ぎ捨ててオッパイが丸だしになると、ちっちゃな乳首がやはり好みじゃないとやや落胆。ホント、乳首の形にうるさい自分の趣味を痛感するばかり。でもラジャから相談をうけるとき、乳首がバッチリに浮きあがったシー・スルーのピチピチ・シャツを着ているのが鼻血ものだし、最後にマークと結ばれ、黒い紐Ｔバック一枚から全裸になってオッパイを露出のうえ、マークにお尻の割れ目へ指をかけられてのモミモミがスゴすぎるパワーを放つ。
　新人のアリヤはタブロイド紙のグラビアでみたほど動く映像では美人じゃないものの、フランシスとのセックスで下向きのオッパイが揺れ、乳首はけっこうそそる魅力をもつとわかる。マークと酔ってのセックスで服を着たままなのと、米の倉庫でアレンに立位でしゃぶりつく際の画面がいささか暗いのが残念だった。
　なお、非常にテンポが悪くて進行を遅く感じるから、ヴィンセントの今後に改善を求めたい。