ＬＡＬＡＫＷＥ
（おと子）
　
85年：エセックス・フィルムズ
監督：ダニー・Ｌ・シアルシタ
主演：ロナルド・ヴァルデス
　　　 グロリア・ディアス
　　　 トミー・アブエル
　　　 リオ・ロクシン
　　　 ライカ・ウガルテ
　　　 エルサ・アガナ
　　　 チャンダ・ロメロ
　　　 マイケル・デ・メサ
　雨に濡れながらエルサ・アガナ演じる女子学生のアンナが帰宅し、ブラをつけてないのでシャツから乳首がスケてみえるうれしいでだし。アンナはトミー・アブエル演じる兄のマーティンとオデット・カーン演じる叔母のカンデンの三人で住み、マーティンがうるさく怒るのに妹を溺愛しているのがわかる。ロナルド・ヴァルデス演じるビジネスマンのエリックの浮気シーンに続き、チャンダ・ロメロ演じるお相手の女性が黒いパンティー一枚の上にガウンをはおる。エリックは相当な女好きのようで、デクスター・ドリア演じる会社の秘書のサラにもスカートまくってなんて頼むスケベ野郎。グロリア・ディアス演じる妻のビビアンが異常に嫉妬深い。エリックの会社へアンナが就職させてほしいと面接へきたためにドラマが生まれる。
　ルーベン・マルセリーノのフィリピノ・コミクスの原作をダニー・シアルシタが自ら脚色で映画化した、いかにもフィリピンっぽい愛欲劇に思える。
　独身だとウソをついてアンナをデートに誘うエリックへアンナが処女を捧げる。ここはテニス・ルックのエルサがそそり、ホテルへ入るとテニス・ルックを脱いで白い下着が視線を引きつけたうえ、紐なしブラの胸元やパンティーのラインが誘惑光線を放ってくる。エリックを紹介の新聞記事をみて妻帯者とわかったアンナは絶望で首吊り自殺。それをエリックが新聞記事で知るも、フィリピンでは一般者の自殺がダブロイド紙の一面になるのかと作劇上の作意を感じる。アンナの残した日記と新聞の切り抜きでマーティンが妹の自殺の原因をエリックと疑る。
　ニュー・ハーフを家でアンナとカンデンにマーティンが紹介していたのが伏線で、マーティンは性転換手術の医者。助手（ジョニー・ヴィカール）をつかってマーティンがエリックをつかまえ、復讐にチンポ除去手術をおこなう。それからというもの、ビビアンがセックスを迫るや、チンポがないのを隠すためにエリックが逃げる。グロリアがバス・タオルを巻いたボディーで色気をかもす。チンポをさわろうとするビビアンをエリックがかわす二回目のベッドでは、スリップのようなナイト・ドレスのバストの切れ目から一瞬、グロリアの乳輪が半分だけチラつく。
　たまたま外で倒れていたエリックをスザンヌ・ゴンザレス演じる画廊のオーナーが助け、自宅へ連れ帰ると、ちょうどリオ・ロクシン演じる画家のデイシーがきている。美術を理解するエリックにデイシーが好意を抱き、エリックもデイシーの知性に引かれる。芸術家っぽい雰囲気をだすためか、リオがメガネをかけるも、キュートな容貌はそのままで、浮世絵のＴシャツを着たりに小道具の活用をうかがわせる。ちょっとかわいいスザンヌに色っぽいシチュエーションがないのが惜しく、画廊でえらそうな態度をとる中流の夫人役にルシタ・ソリアノが出演している。
　マーティンがビビアンを呼びだし、エリックにチンポがないと教えて話は第二幕へ進む。二人が誰もいない闘鶏場で会っていて、視覚的なおもしろさをつくる。ロナルドがシャワーを浴びるのをビビアンが天井からのぞき、チンポがないのに驚く。フローラ・ガセル演じる家政婦とはしごを立てると、天井へのぼるときにカメラがグロリアのスカートの中をのぞくアングルにくるも、下着はうつらないまま。
　屋敷を追いだされたエリックがデイシーの家に住まわせてもらうことになり、ライカ・ウガルテ演じるデーシーの妹のビンが、いきなりエリックにお熱をあげ、アタックをかけるのをデイシーが抑える。このあたりはライカの魅力が爆発し、最初にジーンズの短パンで登場のあと、食事に赤いワンピース水着で現われ、キュッと細いウェストとお尻のお肉がハミでるハイレグのヒップがみごとなボディー。ランジェリーで寝ているときは乳首がスケているうえ、短パンとシャツのまま体を洗う水浴びでもスケチチが興奮を呼ぶ。
　ビビアンとマーティンができてしまい、シーツにくるまっていたベッドから起きあがるグロリアのトップレスの背中には、斜め横からオッパイがチラチラ。
　エリックがデイシーの目がねをはずし、ロマンスが高まったのを示すと、ほてって眠れないデイシーのベッドで、リオがロングのＴシャツにパンティーをのぞかせる。
　ついにビンがエリックの部屋へ忍びこみ、寝ているエリックを脱がせようとしてチンポがないのに気がつき、飛びだしてきて吐く。赤い短パンのライカは、さしてハミケツじゃないのが残念。
　デイシーの昔の恋人らしいマイケル・デ・メサ演じるアルフレッドが押しかけてくるエピソードは、もっともまずい表現の部分といえる。ビンを殴ったあと、デイシーにアルフレッドが暴行を加える。ビンがアルフレッドをナイフで刺し、瀕死のアルフレッドにビンもピストルで撃たれる。ビンをなくすための人間の整理方法として安易のみならず、ビンが亡くなったことへのエリックの反応が描かれない。アルフレッドからボコボコにふりまわされるとき、リオはロング・Ｔシャツにパンティーをモロだしにみせ、撃たれて転ぶアクションでライカがジーンズの短パンを股間に食いこませるのにドキドキながら…
　ビビアンがエリックに妊娠を告げ、マーティンと別れを考えるも、もはやビビアンのとりこのマーティンは嫌がり、ビビアンに襲いかかる。ワンピースを乱し、グロリアが水色のパンティーをモロにだす。
　最終的にエリックがマーティンの家へ押し入ると、マーティンを縛り、チンポを切るクライマックスにつながる。
　デイシーに化粧してもらい、女装のエリックが夜の風俗街を歩くのがラスト。明かに愛し合っているながら、エリックとデイシーが結ばれないエンディングが大人のイメージを与える。複雑な内面をにじませるリオの演技が説得力をおびる。当時のマビニの風景が興味深い。
　適度にお色気を盛りこんでの展開は、スターのグロリア・ディアスとリオ・ロクシンよりも脇のエリサ・アガナとライカ・ウガルテのほうに軍配があがり、まずまずな興奮をくれるかな。大胆なヌードを欠いて不満だが、もっと身体にピタッとフィットするなど、撮りかたしだいでは下着でもイケたのにと文句をいいたくなる。
　またチン切りのアイディアがポイントをなすも、チンポを失ったことへの悩みが描かれず、薄っぺらな内容なのは、かえってフィリピンらしいとも思える。オカマとして生きる決心なんてのもおざなり。
　まあ、浮気で妻に切られたなんてのが現実にある国の映画とはいえ、性犯罪の常習者なんかには、日本でもチン切り刑を導入すれば、なんて考えがわいてきた。