ＬＡＧＬＡＧ・ＢＡＲＹＡ　ＧＡＮＧ
（小銭を落とすギャング）
　
94年：ＡＴＢ−４フィルムズ
監督：レオナルド・“ディン”・パスクアル
主演：リチャード・レイノソ
　　　 シャーリー・フエンテス
　　　 マイキー・ヴィリアヌエヴァ
　　　 ジョエド・セラーノ
　　　 ジョジョ・アベリアーナ
　　　 ジェーソン・ロマン
　　　 アイク・ロサダ
　　　 ダニー・ラブラ
　　　 ラニローズ・オテイサ
　　　 ジェニファー・ディムラ
　　　 トニー・ベルナル
　　　 ロベルト・タルビー
　　　 レオ・ラサロ
　ストリート・チルドレンたちを養う施設の経営者が、その費用をスリでまかなっているとの発想を買うも、とにかくレオナルド・“ディン”・パスクアルの演出がヘタで、後半になるほど失速するでき。
　まずはアイク・ロサダ演じる経営者が、アクの強い個性で存在感を示す。
　スリ集団にはシャーリー・フエンテス、マイキー・ヴィリアヌエヴァ、ラニローズ・オテイサ、ジェニファー・ディムラ演じる女性がいて、ミニスカから太腿をチラつかせ、野郎どもが視線を奪われている間に抜きとる手口。セクシー・スターのシャーリーとマイキーがわざと小銭をまき、拾うポーズで色気を放つのが見せ場になっている。
　マイキーがたまたまリチャード・レイノソ演じる刑事と知り合い、リチャードがシャーリーにホレたから話はヘンな方向へ。リチャードがシャーリーをスリと悩み…　なんて『足にさわった女』のような設定を予想するも、あっさり屋台のビジネスを始め、スリをやめるからアレレ。ジョエド・セラーノとジョジョ・アベリアーナ演じるジョンとレノンとの名前の仲間など、いつも条件反射のように財布へ手が伸びていて、こんなに習慣化したらあとへ尾を引くでしょ、となるのが普通のはず。
　リチャードの役名がジェームズで、００７のテーマが流れてくるパロディもイマイチ。ロベルト・タルビー演じるＭような上司にマネペニーの如き秘書がいるし、ノノン・タルヴォ演じるＱらしき人物が登場するとはいえ、やるならもっと本気で練ってほしい。Ｑの新兵器を使うシチュエーションの安易さは、しょせん思いつき程度なのねと落胆させる。
　オカマの空手教官や忍者がでてくるのも同様。忍者など「ナニ」「ハイ」「バッキャロー」なんて妙な日本語をしゃべり、しゅりけんを投げたり、女性剣士まで活躍するながら、突然『燃えよドラゴン』の音楽を使う適当さ。対決するリチャードが怪鳥音を発し、だったらもっとブルース・リーになりきれば、とあきれる。
　とくに感心しないのは、リチャードにフラれたマイキーがジェーソン・ロマン演じる二枚目とつき合うと、実はジェーソンが悪の一味。外国人に子どもたちを売りつけるべく、アイクの施設から誘拐するクライマックス。買う側のめんつがアメリカ人、インド人、アラブ人っぽいのは興味深いかな。アイクが撃たれて亡くなるなど、涙の要素をプラスした狙いなのだろうが、どうしてドタバタ喜劇に殺人を持ちこむの、と最低の印象に。全員で救出へ駆けつけるドンパチは、無理に笑いをとろうとする貧弱なギャグが目立ち、ただチンタラ長い。そのくせマイキーがジェーソンをしとめるドラマを盛りこんだり、全体が中途半端すぎて、いい加減にしてくれー。
　ひと言で表して、駄作。
　ただしシャーリーが魅力を発揮し、まずまず満足感を与えてくれるのが救い。小銭を拾うときにパンティーがみえないのはサーヴィス不足だが、リチャードとのデートを夢みるイメージがウハウハ。『ゴールドフィンガー』をＢＧＭにワンピース水着で現れ、キュッと腰のくびれたプロポーションが素敵。ハイパー・ミックス・ダンサーズ演じる男どもにからまれ、踊りながらのアクションのあと、リチャードが助けて『ロシアより愛をこめて』でフォーマル・ダンスはドレスだが、再び水着に戻ってキス。リチャードのバースデーにみんなで海へ行くシーンは、さらにセクシーなピンクのワンピース水着になり、やはりくびれが圧倒的。うしろ姿やお尻を突きだして座るときにヒップラインが浮きあがり、お尻の割れかたくっきりで、シャーリーって、こんなにそそるタイプだった、と認識をあらたにする。
　マイキーはワンピース水着にパレオを巻いているのが減点。小銭を拾うショットから脚が太いぞとも思わせ、いつになくチャーミングさを欠く。
　ジェニファーまで花柄のワンピース水着を披露するのは嬉しくなるも、オマケ程度だった。