ＬＡＧＡＢＬＡＢ　ＳＡ　ＰＡＲＡＩＳＯ
（天国からの大きな炎）
　
(97)年：タウルス・フィルムズ
監督：ロヘリオ・“ジエ”・バルエロ
主演：マイキー・ヴィリアヌエヴァ
　　　 ローレンス・デーヴィッド
　　 　キエール・レガスピ
　　 　エルウィン・モンテス
　　　 ジョナー・アルダマ
　　　 アイリーン・アンヘレス
　　　 ベア（ライラ）・ロレナ
　　　 ヴィク・サントス
　難破ものである。『ロビンソン・クルーソー』のように単独での苦闘を描くのではなく、『流されて』のように男女の関係逆転を皮肉るのでもなく、複数の男女によるサヴァイヴァル劇だから、セクシーがらみのアドヴェンチャーを期待する。
　それに孤島が舞台ということは、海と自然があればよいはずで、制作費もそれほどかからず、フィリピン映画向きと感じる。
　なのだが、最初の遭難シーンからして、相当な不安を抱かせる展開…　天候が荒れるわけでなく、船内に火災が発生するわけでもなく、いきなり『トラブルです』との連絡があってパニックに…
　なんと雑な描きかた。
　海岸に漂着した男女が、まったくお互いを探り合う過程がなく、いきなり自分たちの身の上話をする構成も、ちゃんとドラマをつくる気があるのかとあきれが先行。しかも中の二人は、逮捕された強盗犯と、ケンカから偶然ナイフで相手を刺した殺人犯ではないか。
　ディスコ・パブのダンサーだって、あんなに自分の素性を告白するだろうかと疑問を抱くのみ。このダンサー役のベア・ロレナはライラ・ロレナのことで、どうして彼女が名前を変えているのかは不明。事情を知っている人がいたら教えてほしい。回想でダンス・シーンが挿入される部分は、光るビキニが色っぽいが、もっとボディーにフィットしていてほしかった。
　とにかくマイキー・ヴィリアヌエヴァ以外は役者も二線級なので、ベア・ロレナのほかは女優の名前と顔すら一致するだけの知識がない。
　まあ、マイキーのヌードを期待してみた映画だから、女性たちが下着姿になって浅瀬で水浴びするシーンが何度もあるのは大歓迎。マイキーの妹役と、エルウィン・モンテスの妻役の女優の、どっちがジョナー・アルダマでどっちがアイリーン・アンヘレスかはっきりしないのだが、二人ともそこそこかわいくて、とくに妹役のほうは濡れてスリップが貼りつき、乳首がペタッと浮かびあがっている姿にうっとり。ああ、吸いつきたいなあ。もっとも露出が多いのはベアになっていて、ほとんど乳首がスケスケ状態でバッチリ。もう中年のオバサンだし、ブスだなあとも感じるのながら、妙にそそる要素がある。
　肝心のマイキーもスケてはいるものの、ポッチがチラッチラッと浮かぶくらいで、全神経を集中してながめるのだが、イマイチよくみえない。黒いパンティーごしのヒップラインが悩殺ものとはいえ、そりゃ、ないでしょ。
　女たちが無防備にセミ・ヌードを披露しっぱなしだから、よくトラブルにならないものだと疑ってみていると、当然レイプ未遂が起きてきて、映画のみごとなくらいにパターンでしか人間を描けない構成は、バカバカしさを通り越している。
　このあとマイキーは殺人犯だった、キエール・レガスピ演じる実は正義感のある男と恋仲に陥るのだが、彼との波打ち際でのキス・シーンで、ついに念願をはたしてくれる。スリップの白い薄布は乳房にペッタリと貼りついて、夢にまでみた乳首がはっきりと全貌をあらわに…
　やったー、やったー、ママママ、マイキーの乳首だ。
　こんなことで感動できるのだから、映画の内容の低レヴェルさに負けず、自分のおつむのほうがもっと低レヴェルだ、と我ながらイヤになる。
　島にはネグリト族が住んでいて、彼らが民族音楽で踊る光景は、唯一風俗的な興味を抱かせるシーン。彼らのところへ海賊がやってきてアジトにする後半は、無視していいかもしれない。ローレンス・デーヴィッド演じる強盗犯だった男が罠にはまって亡くなり、エルウィンら夫婦はつかまってしまう。妻がレイプされるシーンは、ちゃんと現場をみせてよ、と不満タラタラ。結局、銃撃戦になって、都合よくみんなが順番に死んでいき、マイキーとキエールだけが助かって終わり。
　駄作の見本、といっても間違いない作品だろう。
　マイキーの乳首だけを脳裏に刻んで、あとはさっさと忘れてしまおう。