ＬＡＢ　ＫＩＴＡ…　ＢＩＬＩＢ　ＫＡ　ＢＡ？
（愛してます…　信じる？）
　
94年：ムーヴィー・アーツ・フィルムズ／アリエス・ヴィジョン・プロダクションズ
監督：ジーン・“ボー”・パロモ
主演：ルッファ・グチェレス
　　　 ロビン・パディーリア
　　　 チャリト・ソリス
　　　 ジェス・ラピッド・ジュニア
　　　 ジャクリン・ホセ
　　　 ダン・アルヴァロ
　　　 ガブリエル・ロムロ
　　　 ラモン・クリストファー
　　　 デリク・ヒバリレル
　Ｂ級アクションの拾いものかもしれない。
　ロビン・パディーリアが主人公を演じ、ロック・バンドのドラマー。コンサート会場でラモン・クリストファーがリーダーを演じる不良グループにケンカを売られ、殴り合いからバイクと車のチェイス、倉庫での銃撃戦に発展する。警察がロビンをつかまえるとトラックで逃げ、またも追跡ドンパチのあと、女だと思ってヒッチ・ハイカーを乗せる。これがオカマの強盗だったため、ハデに取っ組み合う。やっと落ちついてたまたまきた町の食堂に入るや、ビリーという名のロビンに対し、みんなが「カルロスだ」と驚く。ジェス・ラピッド演じる有力者の息子のもとに「カルロスが現われた」と伝令が飛んで、訳のわからないままにジェスの一味が襲ってくる。トラックとジープがぶつかり合って、屋根にしがみつく男を振り落とすと、ロケット弾で荷台が爆発する。ここまで40分ちょいのノン・ストップ・アクション。
　軽いノリのふざけたロビンの演技が不愉快ながら、これは彼の個性だし、これで人気を得ているのだからしょうがない。
　撃たれたロビンを森でアウグスト・ヴィクタとジャクリン・ホセ演じる父娘が助け、叔父と従兄妹だという。一方、アマド・コルテス演じる有力者宅では、ルッファ・グチェレス演じる娘のバースディー・パーティーが開かれている。メリー・タガサ演じる乳母からロビンの出現を聞くと、こっそり抜けだしてバイクでジャクリンの家へ向かい、いきなりロビンに「生きてたのね」と抱きつく。「俺はカルロスじゃなくビリーだ」を繰り返すロビンには、さっぱり事情がつかめない。とにかくジェスからの追っ手を避けて山に入り、簡素な小屋へやってくる。ジェスはルッファの行方を問いつめてメリーを事故死させ、アウグストとジャクリンを拉致する。ルッファの説明で状況が明らかになる。
　ロビンとルッファは幼なじみで、好き合っていた。アマドの指示でルッファはアメリカへやられるが、年ごろの乙女になって帰国すれば、まだロビンの愛が冷めていなかった。ジェスのほか、ダン・アルヴァロとガブリエル・ロムロ演じる三人の兄は住民の権利を主張するロビンの一家がジャマでことごとくいじめ、ロビンへボコボコの暴行を加えたとき、抗議したチャリト・ソリス演じるロビンの母を殺す。しかも車で引きずってロビンを重傷にしたうえ、川へ投げ捨てる。弱々しいロビンの演技は、けっこう違いの表現に頑張っている。
　はたしてロビンはカルロスなのか、ビリーなのかの疑問には、いきなりジェスの発砲をうけた際にチャリトが撃たれる回想のフラッシュが挿入され、ほとんど先に答えを教えているようなものなのに、最後まではっきり描かないのがヘン。脚本のフミルデ・“ミーク”・ロハスと監督のジーン・“ボー”・パロモは、このまずい構成に気がついているのだろうか。半裸のルッファをみてロビンが「美しい。でも俺はカルロスじゃない。ビリーだ」と悩むあたりはけっこうおかしい。
　たれこみで居場所をつかんだジェスたちが襲撃をかけ、ルッファと一緒に動くロビンへ銃弾をバリバリ放つのは、それじゃルッファに命中しちゃうよとの図式だけに、いくらなんでも不自然すぎると指摘したくなる。
　町の住民たちが教会へ集まり、クリス・ダルス演じる神父と訴えるも、警察がジェスのいいなりで動かない。ルッファがつかまって、アウグストとジャクリンとともに変態の兄だったジェスによってはりつけにされる。救出に現われたロビンを警察が囲むところからクライマックスを迎える。ロビンが警察署長に「カネ、カネ、カネとみんなカネばかりだ。でも神さまはカネで動かない」と説得する。ロビンの嘆きの演技はけっこう観客までもを引きつける魅力を漂わせ、さすがスターだなあとうなずく。
　いったん署長がジェスのもとへロビンを突きだすが、正義に目覚めてジェスへ銃を向ける。住民たちも全員が抵抗を始め、そのバック・アップの中、ロビンがジェスをやっつける。何十台ものトライシクルが駆けつける光景が迫力を生むうえ、外の乱闘を尻目にジェスがルッファに迫っているのは無理のある展開ながら、そこそこハラハラする。終わってみれば、二時間ちょいを退屈抜きにみせたジーンのテンポのよい語り口に感心。
　そこそこじゃないか。
　大ファンのルッファは、ちゃんと池で泳ぐシーンでセクシーさを披露してくれる。溺れたフリでロビンに抱きあげられ、マウス・トゥ・マウスの人口呼吸を誘うとき、濡れたＴシャツの下にパットをはめているのか、乳首のスケないのが残念だが、パンティーのギリギリまであらわになった太腿と、長いおみ脚がそそる。ルッファの魅惑のボディーもあって、一応は納得の作品なようだ。