（いつでも一緒がもしもう終わっていたら）
90年：セイコ・フィルムズ
監督：リノ・ブロッカ
主演：ガーリー・ヴァレンシアノ
グレッチェン・バレート
プリンセス・プンザラン
リッキー・ベルモンテ
エディー・ガルシア
ジーナ・パレニョ
ヘレン・ヴェラ
オーロラ・サルヴェ
マイケル・ロクシン
ティナ・ゴディネス
ガーリー・ヴァレンシアノを主演にスター誕生と芸能界の裏をのぞくドラマで、メリッサ・ガブラルのアリワン・コミクスによる原作をジーナ・マリッサ・タガサが脚色。ノリのよいロックを主体にコンサートなど音楽シーンを盛りこみながら、ガーリーの大ヒット曲であるセンティメンタルなバラードの“ＮＡＲＩＴＯ”を効果的に使って、リノ・ブロッカが通俗娯楽作にうまさを示す。別段どうってことない作品だが、ガーリー・ファンには楽しめる内容といえる。
プロの歌手を目指す若者がガーリーの役で、オーディションをうける日々。バーでフォーク・ソングの歌手の募集に応じるも、ホステスが多いとプリンセス・プンザラン演じる恋人が心配する。でもリッキー・ベルモンテ演じる兄の家族と暮らすガーリーは、兄が結核とわかり、治療費の必要から仕事を始める。そこでグレッチェン・バレート演じるレコード会社のオーナーの娘に注目を浴び、メンゲー・コバルビアス演じるマネージャーを紹介される。グレッチェンの母であるオーロラ・サルヴェ演じるオーナーも気に入り、レコード・デビューと同時にスター・ダムへのしあがる。一方でプリンセスとの交際に対してメンゲーが釘を刺し、グレッチェンにやや嫉妬を感じたプリンセスだが、愛は変わらなかったものの、ヘレン・ヴェラ演じるプリンセスの母もガーリーを嫌う。新しい家や車を与えてオーロラが若いガーリーの気を引けば、グレッチェンがガーリーに迫る。誘惑からガーリーが逃げてビンタをくらわすと、いったんプレゼントで和解するも、ガーリーがオーロラと寝たと知ってみるみるグレッチェンに憎しみがこみあげる。いよいよ住む世界が違ってきたプリンセスは、偶然に心臓発作で倒れたエディー・ガルシア演じる中年男を救う。コンサートのチケットをもってきたガーリーをヘレンが追い返し、かたくなな拒絶にキレたプリンセスが反抗して一人でコンサートへ行き、その間にヘレンが亡くなる。ガーリーの家に電話を入れればジーナ・パレニョ演じるリッキーの妻がとりつがず、エディーがオーナーの会社に就職をえたプリンセスは、社長のエディーの親切をうけつつ、プロポーズの承諾を決める。いつしか親しかったマイケル・ロクシン演じるプリンセスの弟やティナ・ゴディネス演じるプリンセスの妹もガーリーに心を閉ざし、冷たくふるまう。オーロラと激しい親子ゲンカを繰り広げたグレッチェンはガーリーを罠にはめ、レイプ未遂の芝居を仕組む。セックス・スキャンダルにガーリーが人気を失い、リッキーだけがなぐさめる。結婚後もプリンセスがガーリーへの思いを断ち切れないでいるとわかったエディーは、再びバーのしがない歌手に落ちたガーリーをカムバックさせるべく、ポチョロ・モンテス演じるマネージャーを雇う。瀕死で入院のエディーをプリンセスが看病しながら、ふとしたことでガーリーとはち合わせ、ポチョロがエディーの要望で尽力したのを二人が知る。人気をとり戻したガーリーがコンサートでエディーとプリンセスの夫妻に感謝の言葉を述べ、そのＴＶ中継を病身のエディーとともにプリンセスがみる。今ではしっかりとエディーへの愛情をプリンセスが確認している。
ドラマティックなシチュエーションをつくるべく、フィクションが目立つ展開だが、ストレートなヘレンのほかはけっこう人物の描けた点に納得。オーロラの中年女の弱さや、グレッチェンのカネもちらしいワガママぶり。ジーナが新居に移ってからカネにうるさくなり、ガーリーのスキャンダルで家を追われることを心配など、実際にありがちなキャラクターといえる。中でもエディーが妻の本心を悟って責めるのではなく、こっそり相手の男を支えてやろうと動き、そのやさしさに妻のプリンセスが深い愛を実感するくだりは、ちょっとした共鳴を呼ぶ。まさに男ならこうありたいという姿だが、現実は女性に裏切られるもので、もう慣れた… とは個人的な与太話。
肝心のガーリーがでくの坊的好青年なのは、ファンにイメージよく描くためだろう。
こちらはグレッチェンのファンだけにセクシーな要素を期待したが、色っぽいシーンがなくて残念。でもガーリーを平手で打つとき、ヘレンととっ組み合うときのジーンズがキュートで、とくに後者は下半身のラインを浮かばせるフィット感がそそる。グレッチェンはホント、ジーンズ姿で勃起をくれた。
※ のちにマリア・イサドラ・カルサドの名でイサ・カルサドの出演を知った。このとき８歳なので、子役になる。
