“ＫＯＳＡ”
（ムショ友）
　
80年：Ｃ．Ｇ．フィルムズ・インターナショナル
監督：ジュン・ガリアールド
主演：ルディー・フェルナンデス
　　　 ダンテ・ヴァローナ
　　　 アセニト・ブリオネス
　　　 ヴェロニカ・ジョーンズ
　　　 パキト・ディアス
　　　 リンナ・ルイス
　　　 ジョエコ・ディアス（ジョコ・ディアス）
　ルディー・フェルナンデスとダンテ・ヴァローナの共演による脱獄のアクション。
　孤島にある刑務所にマルシャル（ルディー）、ヴィクトル（ダンテ）、オメン（マリオ・エスクデロ）の三名が送られてくる。マルシャルはヤクザのルマン（パキト・ディアス）の命令で両親などの家族をルマンの部下のゴレム（アルトゥーロ・モラン＝ボンバー・モラン）に惨殺され、ルマンの殺害に向かって仕とめ損じるも、ゴレムの手下を殺した罪で入所。ヴィクトルは恋人のカロル（ヴェロニカ・ジョーンズ）と交際をカロルの父（トニー・カレオン）がこころよく思わず、ヤクザの父の策略で入所。囚人にはゴレムがいて、マルシャルを狙ってくる。ハングライダーが趣味だったヴィクトルは部品の調達にオメンの協力をえて、ひそかにマルシャルとグライダーを組み立てる。ついにゴレムの襲撃で、反対にマルシャルがゴレムを刺殺のとき、ヴィクトルとマルシャルが空を飛んで逃げる。
　古参の牢名主が内部を仕切り、ケンカが頻繁な刑務所の描写が定番で、必要以上に所長や看守がサディスティックでない表現が買える。でもゴレム殺しで拘束のマルシャルとヴィクトルの脱出が簡単すぎて、看守のマヌケさが説得力を弱める。ハングライダーを使うアイディアは、おそらくダグラス・ヒコックスの『スカイ・ライダーズ』あたりが元だろう。
　後半は鎖の手錠でつながれたままのマルシャルとヴィクトルが鉄橋にぶらさがって列車で鎖を切ったり、洗濯ものの服を盗んで囚人服を着がえるなどのあと、バスに乗るが、料金はどうしたのとの疑問が残る。脱獄を知ってルマンがマルシャルの妻のマルシア（アセニト・ブリオニス）と幼い息子をら致し、マルシアを犯す。カロルは父の監視下におかれるも、友人のマージの協力で尾行を巻いてヴィクトルに会う。いったんは別行動のマルシャルとヴィクトルだが、すぐに合流。マージを脅してヴィクトルの隠れ家を聞きだし、カロルの父の一味が攻めてくるや、二人で応戦で、誤まってヴィクトルを狙った父の弾丸が娘のカロルに当たる。父が警察につかまり、今度は二人でマルシャルの妻と息子の救出に向かい、ルマンと妻のキスを目撃でマルシャルがショックをうける。スキをうかがう策略だったと妻の説明に納得でマルシャルが妻と息子を逃がすが、銃撃戦の中でヴィクトルが撃たれ、マルシャルもルマンと相撃ちになる。
　ルマンが馬主の設定で競馬場がでてきたり、マルシャルの妻と息子の監禁場所が厩舎を併設の屋敷なのが興味深い。
　マルシャルが妻をぶつ女々しさは、どこかサム・ペキンパーの『ゲッタウェイ』を連想したが、あれほどムードのあふれるドラマにはほど遠い。エドガー・レイエスの脚本が筋書きレヴェルにとどまる。ただし、お互いを「コサ」と呼び合う刑務所で生まれた友情は、それなりに伝わったかもしれない。
　ジュン・ガリアールドは単純な話で二時間近い展開を、とりあえず退屈を招かずに語るが、ウソっぽい殴り合いに迫力を欠き、ドンパチも冴えずに評価以前の内容かな。
　女優だとアセット・ブリオニスがルマンに二度うけるレイプで着衣のままなうえ、セックスを作戦に利用で寝るベッドでうつ伏せも、背中のみの露出で腰まわりにタオルがかかる。ルマンとランジェリーでキスでは、ブラの部分の谷間すら隠れる。しかもベッドを抜けでてルマンのピストルを奪うとき、シーツからワンピースで登場の不自然さに不満が盛りあがるばかり。ヴェロニカ・ジョーンズはモーテルでヴィクトルと会ったあと、ボディーにシーツを巻いて座るだけ。刑務所内でヴィクトルがマルシャルにカロルの水着の写真をみせ、それを撮った際の回想が入るかの期待を無視で下半身がしぼむ。マージ役とルマンの愛人役は、どちらがリンナ・ルイズでどちらがカテリン・サントスかわからないが、マージ役はとびきりの美人で、短パン姿はあるものの、肌のあやういシチューションがほしかったところ。愛人役はマルシャルのルマンを襲撃がビーチで、ゴレムたちのそばに短パンの女性が二名遊び、ルマンと浅瀬で戯れて浮き輪に乗るも、ワンピース水着がおとなしめで残念かな。ナイト・ドレスなど色っぽく、やはりそこそこの容貌なので、大胆なセクシー・シーンを望んだのに。
　脱ぎの興奮は落第点に終わる。
　なお、プロダクション・マネージャーのクレジットにテディー・チウの名前が読める。