ＫＩＲＯＴ　ＳＡ　ＤＩＢＤＩＢ
（胸の痛み）
　
04年：ハラン・フィルムズ
監督：ジェット・Ｃ・エスピリツ
主演：マルカ・エドラリン
　　　 ハリーナ・ペレス
　　　 ジェフリー・サントス
　　　 レイ・ＰＪ・アベリアーナ
　　　 ロミー・ディアス
　　　 ラフィー・アニド
　　　 ボビー・ベニテス
　交通事故で亡くなったハリーナ・ペレスの遺作。
　新人のマルカ・エドラリンを主役に、はなればなれの状態にある母子の運命劇を繰り広げる。過疎地の小島を舞台にとり、海草採りの海女だったマルカは、かわいさのためにデルフィンガー演じる酔っぱらいから犯されそうなめにあう。カルラ・モラン演じる母が亡くなると、実はカルラが育ての親で、本当の母が別にいると知らされる。同じく海女だったハリーナ演じる母は、ラフィー・アニド演じる恋人がいたものの、ロミー・ディアス演じる中年とセックス。ハリーナへ横恋慕するポチョロ・オカンポ演じる男と三つどもえのケンカに発展し、ポチョロがラフィーを殺すとハリーナがポチョロを刺して倒れ、ロミーがとどめを入れたため、ハリーナとロミーが一緒に逃げる。マルカがハリーナを探そうと決めると、ジェフリー・サントス、レイ・ＰＪ・アベリアーナ、ボビー・ベニテス演じる野郎どもと船でマニラへ向かう。途中でレイがマルカのレイプにおよび、ジェフリーが助ける。
　映画はカネのためにメイ・デ・ヘスス演じるおばさんがオーナーの売春宿へロミーがハリーナを売り、ブディー・ヴァルデス演じる醜男へ抱かせたあとブディーを殺すのに、マルカのハリーナ捜索を並行して描く。ジプニー強盗に合うと、被害者なのにジェフリーが逮捕される。保釈金の必要からマルカがメイのところで売春。ジェフリーの受けだしの際にたまたま同じ留置場にいたハリーナにメイが気づき、マルカが再会をはたす。ハリーナがブディー殺しの容疑を押しつけられていたと聞いて、マルカがロミーの客になり、疑惑をはらす。
　とのストーリーで、とにかく同じような年齢のハリーナとマルカを親子に設定した無理からか、時間の流れのいい加減さが致命的。十数年の差があるはずなのに、ハリーナが島にいるときにデルフィンガーが同じように安酒を飲んでいるのがお笑いなら、ロミーがハリーナを売るまでの空白期間を無視するため、数ヶ月の話にしか思えない。
　語り口もヘタを通りこし、ハリーナの首についた傷あとが捜査の伏線と感じるも、いっさい生かされず、マルカがハリーナの写真をもっていたのに、留置場で最初にみたタイミングでカンが働かないのがヘン。マルカがロミーのチンポを切りつけて一方的に正体をバラすと、張っていた警察がロミーを逮捕するのは、まったくロミーの有罪証明になっていないじゃないか。
　売春宿のオカマのママがマルカに「日本人の客がいる」といっているにもかかわらず、フィリピン人の客しか登場しない適当さもマイナス。
　冒頭、クレジットが終わったあともえんえんと主題歌を流すのがダサいなら、マルカとジェフリーがハリーナと一緒に島へ帰るしめで、待っていたようにレイとボビーがいて殺し合いになる余計な見せ場をつくり、またも主題歌を流したままのアクションがあきれるばかり。
　サイレント映画の伴奏のごとき音楽のつかいかたなど、センスの皆無がジェット・Ｃ・エスピリツの無能ぶりを露呈する。
　技術的な手抜きも追いうちをかけ、おそらくレフの光をあてていないのだろうが、顔の表情すら陰になった撮影にあ然。
　これでボディーが炸裂してくれれば文句もないものを…
　海岸からザバッと海女たちがあがってきて、濡れた白い布の衣装がマルカのほか、スター・ソベル、オリヴィア・スワック、マリチュー・エドラリンのオッパイをスケスケに。スター、オリヴィア、マリチューはエピローグでも乳首がシー・スルーながら、いささかブスっぽい。マルカはデルフィンガーにオマンコをパンティーの上からさわられるシーンでムズムズを誘い、レイに船で興奮剤を飲まされてもだえ、シャツをまくって乳首をチラつかせる。レイとのセックスでは、ついにオッパイ丸だし。とまではよいも、ジェフリーにワンピースからパンティーで挑発や、ロミーへの罠を反対するジェフリーへ実行の気持ちを訴えるときのパンティーが半分みえた衣装など、かえって魅力薄がバレるばかり。しかもジェフリーとハンモックで二回目のセックスは脱がないし、先にのべた撮影の手抜きから、一回目は暗くてほとんどよくみえない。ようやく最初の客とのセックスで深夜のごとき画面にオッパイが浮かびあがると、乳首が黒くてうんざり。ホント、好みからはずれると感じざるをえない。でもジプニーをおりるショットでの白いピタパンがおいしそうなうえ、二人目の客とプールの中でのキスは薄い衣装がピタピタに全身へ貼りつき、ジェフリーとプールでのキスは全裸だから、バッチリのオッパイが視線を奪う。ロミーを誘惑で乳首がこぼれる寸前の前開きシャツのエロエロさや、ロミーとのセックスがうしろ向きの騎乗位というポーズでそそりまくり、素っ裸のパワーが圧倒的な刺激を盛りあげるから、一応はイカせてくれる。
　売春宿の女たちを演じるライカ・オカンポ、シャイ・ガリアールド、ナンシー・ドゥーリアスのうち、二人がプールでビキニをおがませるのはオマケ。
　ブディーとプールにいるワンピース水着の女役で、アリオーナ・アモールがカメオ出演している。
　それで本当にラスト・ヌードとなったハリーナはどうかだが、海女で海から登場のスケスケ・オッパイによだれもの。ロミーとのセックスで乳首が半分までのぞいたところでポチョロの侵入に中止のじらしがワクワクなのに、やはり撮影の手抜きによって、ラフィーとのセックスが真っ暗でさっぱり闇の中。腰にシーツを巻いた騎乗位によるブディーとのセックスも光量不足でイライラを残す。
　ちょっと、観客をバカにしている。
　すべてはジェットのダメ演出の責任。
　ハリーナにすれば、最後にして最低、といった感じ。