ＫＩＲＯＴ
（痛み）
　
83年：セイコ・フィルムズ
監督：アルセニオ・“ブーツ”・バウティスタ
配役：ロサ／ステラ・ストラダ
　　　 アンドン／デニス・ロルダン
　　　 オベット／エドガー・マンデ
　　　 ロサの母／ペルラ・バウティスタ
　　　 カ・ベントン／ジュニー・ガンボア
　　　 マグダ／
　　　 ディヴィーナ／デクスター・ドリア
　　　 ピート／
　　　 司祭／ルーベン・ルスティア
　　　 スシン／
　　　 カリート／
　　　 ペドリン／
　　　 ジプニーの客ひき／
　ステラ・ストラダのセクシーさを前面に打ちだした愛憎劇。たまたま魅力的だったために周囲の男たちからもてあそばれ、悲運をかさねる若い女性の物語になる。
　田舎に暮らすロサは教会の見習いのオベットと恋仲ながら、母の恩人にあたるカ・ベントンの申しこみをうけ、母のために親子ほど年齢のはなれたこの初老の男と結婚する。ショックでオベットは村をでていく。カ・ベントンはインポが解消せず、処女のままの花嫁状態が続く。ちょうどカ・ベントンの姪のディヴィーナが夫のピートを伴って帰り、ピートがロサに欲望を抱いたため、犯されて処女を失う。二人のセックスをディヴィーナが知ってケンカのうえ、ピートと去っていく。今度は連絡船の操縦士であるアンドンがずっとロサを狙っていたが、ついに船上で犯す。いったんはアンドンに傾いたものの、すぐにロサが後悔で拒否。暴力をふるうアンドンに対し、頭が弱くて純朴な中年のスシンがアンドンの助手で、やはりロサにあこがれていて、ロサからの助けの要請にアンドンへはむかい、二人ともが刺し違えて亡くなる。親友のマグダがアンドンの恋人だったのでロサともめるも、平穏に和解。オベットのもとへいこうとするロサにカ・ベントンが理解を示し、司祭から不倫になると批判されたオベットがロサへの思いを抑える。実は本当にカ・ベントンが自分を深く愛していると気がついたので、ロサが妻として尽くそうと決めたとき、喜びが高じてカ・ベントンが心臓発作をおこす。その葬式にオベットが現われるが、挨拶せずに消える。自立しようとロサが村をでる途中の道筋で偶然にオベットと再会する。
　マウロ・ジア・サモンテの脚本がたくみに人物を整理し、小品らしいまとまりながら、殺人まで含むドラマティックさの安売りがイマイチ。
　中学生くらいのカリートと小学校高学年くらいのペドリンがロサを慕っていて、初めて性欲をくすぐられたお姉さんのようにあがめている。ロサの旅立ちで別れをかわすときのセンティメンタルさや、カ・ベントンがロサと結婚して自分と同じくらいの年齢にあたるロサの母にわざと「おかあさん」と呼ぶおかしさ。ピートが裸をのぞいているのに気がついたロサが隠そうとせず、含み笑いを浮かべる欲求不満の心境や、やや知恵遅れのうえに脚が悪いも、ピートがロサへ迫るのを精一杯にじゃまするスシンの純情さ。はめていない結婚指輪をながめてカ・ベントンがオロオロと泣き、ロサがそっと指へはめてあげる愛の表現などが意外と納得で、全体的に凡庸でも、部分的にアルセニオ・“ブーツ”・バウティスタの演出がまずまずになる。
　アヒルを飼う農村にはじまり、えりを張った湖の風景や、街の教会でのミサに結婚式と葬式、乾燥植物で編んだカゴの倉庫や、そこでのわらをかけ合うケンカ、客集めのいるジプニー乗り場といった生活描写の活用が興味を集める。
　ステラ・ストラダの脱ぎっぷりはどうかだが、まず寝ているかっこうのワンピースからパンティーがのぞき、朝に起床のあとの厠でパンティーをおろしてオシッコし、水をかけて手で洗う。けっこうリアルな日常描写が色気をそぐも、薄い布のワンピースをパンティーのみのノー・ブラではおっただけの普段着で柵をまたいだり、カ・ベントンに太腿をさわられたりでパンチラをみせる。オベットとボートで海へいき、飛びこんで濡れると水上の小屋にあがってワンピースを脱ぎ、オッパイをだして抱き合う。このパンティー一枚にトップレスが何度か興奮をくれて、ベッドでの甘い回想にふけるオナニーは露出が控え目だし、カ・ベントンとの初夜はスリップまでだが、ピートにのぞかれる水あびはパンティーが濡れてお尻に貼りつき、トップレスの乳首が誘惑光線を放つ。カリートと海へ入って貝をとるシーンはハイライトになり、白いワンピースをめくって太腿をだすと、濡れたワンピースにスケポチが浮かぶ。だんだんとカリートが目のやり場に困るや、ついにロサがワンピースを脱いだため、我慢できなくて逃げだす。ロサはパンティーがお尻に食いこみ、割れかたそのままにピタピタなうえ、トップレスの乳首が視線を引きつける。カ・ベントンのベットへ入るショットもトップレスのみならず、白ではなく黒のパンティーが刺激度を高める。ピートとの小屋でのセックスは乳首をみせないも、母に体を洗ってもらうときに、またもパンティー一枚のトップレスで濡れる。また夜中に月光やライトによってワンピースがシルエット状態になって、脚のラインがスケるのや、家をでるラストのピタピタなジーンズもイケる。
　題名を含めてすべてのクレジット・タイトルが欠落しているし、紙資料も不十分なため、スタッフ・キャストの大半が不明なので、マグダを演じている女優が誰かわからないが、そこそこの美人。こちらはボートの中でアンドンと抱き合っていたり、水浴びで体を洗ったりのショットがでてくるも、乳首をみせないままだった。