01年：ケイエスエス／フェイスフル
監督：中田信一郎
主演：小沢仁志
ＫＣ・カスティーリオ
ユートピアぴーす
松田ケンジ
島田洋八
フィリピン・ロケによる日本のオリジナル・ビデオで、ここに紹介の必然性はないものの、ＫＣ・カスティーリオがヒロインを演じる点を記したくてとりあげる。
内容については、よくある安易なヤクザがらみの犯罪アクション。多くの日本のＢ級作がフィリピンを舞台にとると、どうしても銃撃戦のドンパチになるようだ。まったくゴミの山で生きる少年たちを題材に薄っぺらなヒューマニズムの押し売り作品とともに、フィリピンの多様な面を無視し、単純に貧困と危険という、大多数のフィリピン人にすれば実に歓迎すべき（？）イメージを日本人に植えつける“ありがたい”（！）存在に思える。
また本作は、いっけん練ったごときフィリピン人と日本人の裏切りと友情もどきを盛りこみ、日本人へのメッセージみたいな台詞を吐かせるうえ、フィリピンの家族偏重主義を知ってか、知らずか、ラストで少年に『シェーン』のパロディーを叫ばせる始末。いったい監督の中田信一郎、脚本の青池雄太など、どこまでフィリピンやフィリピン人と、それも日本へ働きにきたフィリピン人でなく、本国で日本人を商売対象にする一部のエリアのフィリピン人でもなく、ごく一般のフィリピン人とふれあった経験があるのかを問いただしたくなる。ちなみに小沢仁志が演じるチンピラから殺し屋に変貌の主人公にからむフィリピンの相棒の男と少年をアブラハム・“ラリー”・オカンポとマーク・ブライアン・ホミシーリオが演じる。
とにかく表面的なスラムの描写を含め、ひどい、ひどい、ひどい。
ネグロスでのセット・アップのあつかいや幼児買春の強引な暗示にくわえ、日本人の刺青の展示にいたっては、まさにお笑いのレヴェル。
なんてことはさておき、嬉しくもヒロインの女優がＫＣ・カスティーリオだし、ちゃんと主人公を相手に、お申し訳程度のオッパイをはだける愛慾シーンを入れる。さらに主人公を誘惑の女性役にもうひとり、ロサリンダ・ロサルが顔をだすうえ、やはりお申し訳程度にオッパイをさらす。
ＫＣ・カスティーリオが準主役だとは、日本のどの解説にも書いていなかったじゃないか。配役には数名の日本人の名前が並んでいるのみ。だからこそ、これまでほとんど興味を抱かずにすごしたわけで、本当にたまたま偶然に鑑賞の機会をもてば、ＫＣ・カスティーリオの登場にびっくり。
いかん、いかん、ＫＣ・カスティーリオの出演をどこかに記述しておかないと資料での記録が皆無になる、との使命感から駄文を載せてしまった次第です。それ以上の意味はありません、ハイ。
