ＫＥＲＩＤＡ
（情婦）
　
02/03年：アンゴラ・フィルムズ
監督：フランシス・“ジュン”・ポサダス
主演：アレック・ボヴィック
　　　 ガルド・ヴェルソザ
　　　 エリザベト・オロペサ
　　　 マーク・ヒル
　　　 マリカル・フェルナンデス
　　　 ジョン・アパシーブレ
　　　 ヴィア・ヴェロソ
　　　 リカルド・セペダ
　　　 アルベルト・デ・エステバン
　　　 エルニー・サラテ
　　　 レンズ・デ・ヴェラ
　フランシス・“ジュン”・ポサダスが監督した２００２年制作のクレジットが入っている作品は『ＫＡＵＬＡＹＡＷ』『ＩＴＬＯＧ』『ＴＡＭＰＩＳＡＷ』『ＢＡＫＡＴ』『ＭＡＳＡＲＡＰ　ＮＡ　ＰＵＧＡＤ』『ＫＥＲＩＤＡ』『ＢＡＬＡＴ−ＳＩＢＵＹＡＳ』の七本。このうち『ＫＥＲＩＤＡ』『ＢＡＬＡＴ−ＳＩＢＵＹＡＳ』の二つは翌２００３年の１月と２月公開だから、２００２年２月公開の『ＫＡＵＬＡＹＡＷ』は２００１年の撮影と推測され、おそらく実質六本だろうが、よくもつくったものよとあきれるのみ。でもアレック・ボヴィックという女優を『ＫＡＵＬＡＹＡＷ』で脇役起用し、『ＴＡＭＰＩＳＡＷ』で主役に抜擢してボールド・スターにもかかわらずフィリピノ・アカデミー・オブ・ムーヴィー・アーツ・アンド・サイエンスの 主演女優賞へと導き、『ＭＡＳＡＲＡＰ　ＮＡ　ＰＵＧＡＤ』、そして本作『ＫＥＲＩＤＡ』と魅力を開花させ続けたコンビぶりは十分に評価できる。とにかく今回もアレックのために捧げたような内容で、ファンとして嬉しくなる。
　また意外と（とは失礼ないいかただが）ストーリーを練ってあって、ワクワクする展開がサスペンス劇の楽しみを伝えてくれる。
　ガルド・ヴェルソザとマリカル・フェルナンデス演じる兄妹がアパート（日本で呼ぶところのマンション）へ引っ越してくるのが冒頭。レンズ・デ・ヴェラ演じる子どもとぶつかってケガさせるも、誠意ある対応でかえってアレック演じるレンズの母親と親しくなるきっかけからドラマが始まる。ガルドがカメラマンの設定で、壁に芸術的なヌード写真がいくつも飾られ、あとでアレックの裸を被写体にするシーンがあるかなと期待したものの、残念ながらそれはなかった。
　レンズにはジョセリン・ロメロ演じる子守りがいて、ややコメディー・リリーフの軽いキャラクター。でも電話の伏線などを張りながら次第に判明するのだが、ちゃんと話にからんでいる存在なのは、うまい扱いじゃないか。
　バスケット・ボールを通してガルドとレンズが親子のように仲よくなっていく過程からは、ガルドとアレックの恋愛を示唆するも、なにやらガルドに目的があってレンズに近づいているのではないかとの暗示をたくみに表現。ガルドとマリカルにはそれぞれヴィア・ヴェロソとジョン・アパシーブレ演じる恋人がいるくせに、本当の兄妹じゃないようだし、肉体関係を持っていそうな雰囲気があやしさを盛りあげる。リカルド・セペダ演じるカルドの雇い主はいかにもうさんくさく、さらにエリザベト・オロペサ演じる上流の中年女性がガルドにアレックの調査を依頼。アレックはマーク・ヒル演じる政治家の愛人で、レンズはマークの子との人間関係が明らかになる。私立探偵だったガルドが密かにアレックとガルドの熱愛現場を撮影すると、またそれをヴィアが横からうかがっている。
　なんて前半はぞくぞくする面白さに満ちている。
　まあ、ヴィアがただの嫉妬だったのははずし要素ながら、エリザベトがエルニー・サラテ演じる知事の娘で、マークがその夫。エルニーのあとを受けてマークが知事の地位を目指しているシチュエーションを示したうえで、エリザベトがリカルドに会うと夫の愛人について相談し、カネを渡すあたりに陰謀をにおわせる。選挙が近づいて、スキャンダルを恐れるマークがアレックに対して冷たくなり…　アレックが自分の身の上をマリカルに打ち明け…　
　と意味深な描写を重ねながら、ついにアレックとガルドがセックス。リカルドがガルドへピストルとアメリカのヴィザ取得済み偽パスポートを渡す…
　なんて単純にアレックのセクシーさを目的にみただけだったのに、グイグイとドラマへと引きずりこんでくれる。アレックの手をとって逃げるガルドに、マークの一味が上下からはさみうちにしようとする階段のチェイスや、まさかという人物が撃たれるクライマックスなど、正直、手に汗握るとまではいかないが、かなりの緊迫感。マークの行動に単細胞な感情的部分を含んで説得力を欠いたのは残念なものの、エリザベトが悪じゃなかったとの予想外な要素もプラスで、納得のできだと評価したい。
　フランシスとアレックの組んだ作品の中では、一番いいんじゃないか。
　もちろんアレックのお色気もたっぷりで、相当に嬉しいところ。マークとの立ち愛撫からベッドへ行くショット、マークに殴られたあとのセックスでシーツをボディーに巻きながら寝ている姿といったチラみせもそそるが、ガルドと結ばれるときに暗い中で全裸になり、ソファでの正常位を横からとらえた身体のラインや、それにダブるオッパイを丸だしでバス・タブにつかっている挑発的ポーズにウハウハ。マリカルとプールでのピンク・ビキニ、ラストのガルドとハッピー・エンドにいたり、レンズと三人で海岸を戯れる際の黄色いビキニなど、水着の誘惑も堪能させてくれる。紫のボディコンでガルドに抱きつき、くっきりとヒップラインを浮かばせたうえ、オッパイをポロリとさせる着衣のフェロモンも驚くべきレヴェル。とくに大胆なのはジャグジーのサイドから噴きつける水に濡れながらガルドと素っ裸のちちくり合いで、シャワー室のガラスにアレックのボディーを押しつけると、オッパイがムギュッムギュッと迫ってくるではないか。スリルとの同居ではガルドがダヴァオ行きの航空券を渡したときにセックスとなるシーンで、スーツのアレックを脱がせ、真うしろからスカートがまくれてＴバックのパンティーがのぞく。座位で抱き合ってオッパイのモロだしにウヒャーッ。いつの間にか気がつかないうちにマークが部屋へ入ってきて、大あわてで挿入したまま移動。ガルドが洗面所に隠れたところから、マークがオシッコするといいだし、アレックがうまくフォローするまでをワン・ショットでとらえるカメラ・ワークは、みごとなテクニックとうならされる。　
　アレック、素敵よーん。
　マリカルも頑張っていて、バス・タブから脚をあげながら入浴するショットで、今にもオマンコがみえそう。ジョンが手前に現れるから、思わずマリカルに立ちあがれ、立ちあがれと念じてしまうが、つかったままなものの、石鹸まみれの乳首があらわになって、うーん、つまんでみたい。プール・サイドに座った青いビキニから浮かぶヒップラインもキュートなフォーム。ただジョンへ指輪を返すケンカに発展するベッドで、せっかく全裸なのに、シーツで押さえながら露出をもったいぶるのが惜しい。
　ヴィアはヴェテランらしく、ガルドとのセックスで正常位のオッパイをプルンプルン揺らすほか、挿入をうかがわせるお股のアップまではさんでくれる。
　ハラハラ・ドキドキだけでなく、ビンビンにイケる完成度といえそうだ。