ＴＨＥ　ＳＥＣＲＥＴＳ　ＯＦ　ＫＡＴＲＩＮＡ　ＳＡＬＡＺＡＲ
　
(97)年：タウルス・フィルムズ
監督：カルロ・モンテロ
主演：リタ・マグダレナ
　 　　ロマノ・ヴァスケス
　　　 フィリップ・ヘンソン
　　　 シーラ・サンチェス
　　　 ヴィクトル・ヴァルガス
　　　 ロベルト・マルティン
　　　 アリエル・レイエス
　　　 ジミー・コンセプション
　　　 エミール・クリストバル
　　　 ソフィア・サントス
　　　 アンナ・ラモス
　　　 レーチェル・サンドヴァル
　セブ島とマクタン島をつなぐ橋、セブ島側にあるマンダウエ市の街並み、教会、パレード。こんなものが延々10分近くも映しだされる。観光映画じゃないんだからと思わせる出だしである。
　山の中にあるマイナー・リゾートの俯瞰から、そこのバンガローでバースディー・パーティーを行う六人の男女が登場。ここでやっとリタ・マグダレナの姿がみえる。乾杯したあと、リタとシーラ・サンチェスらは海へ泳ぎに入る。リタはオレンジのビキニ、シーラは青いワンピースで、それぞれパートナーであるフィリップ・ヘンソン、ヴィクトル・ヴァルガスとふざけ合う。二人の女性の水着が濡れてピタッと肌に貼りつき、みごとなプロポーションを浮きあがらせてくれる。さらにバンガローで音楽に合わせて六人が踊りまくる。それも丸ごと二曲も。さすがにダンサー役の多いリタがセクシーに腰をくねらせて魅了してくれるが、容貌はイマイチなものの、一方のシーラの食いこんだヒップラインも捨てがたい。二曲目になるとカメラはリタのボディーをなめるように撮影し、生唾ゴックンである。小さなビキニ海パンのフィリップやヴィクトルの股間モッコリも撮るから、やめてくれという感じだが、女性ファンへのサーヴィスだろう。それにしても丸ごと二曲は長すぎないか。
　このあとシーラとヴィクトルは屋外セックスをするのだが、もういい加減にドラマが始まってくれよと思わせる。のぞき趣味的な興味を起こさせる撮りかたをしていないことも加わり、イライラばかりで蛇足である。シーラがそれほど美人でないのもつらい。ここまで30分弱。オープニングで飽きさせてしまっては、どうしょうもないと思うのだが…
　ドラマは海岸シーンで水着姿を披露してくれなかったソフィア・サントスがシルエットでスルスル全裸になると、シャワーを浴びながらポロッとオッパイをみせて殺されるところから始まる。海岸シーンでもこっそり六人をのぞいていたアヤシイ男の存在が描かれていたが、その男がリタとロマノ・ヴァスケスとのセックスをのぞくシーンが挿入され、いかにも変質者の存在として強調される。
　でもまあ、この手の犯罪サスペンスでアヤシく登場する人物は大体がシロと相場が決まっているもので、この場合もご多分にもれない。結論からいえば、あまりにも最初から犯人のわかりきった幼稚なドラマなので、ストーリー的には落第である。カルロ・モンテロ監督の語り口も決してうまくない。続いてシーラもあっさり殺され、恋人のヴィクトルがアヤシイ男を疑って、怒りから殺そうとする展開も常とう手段である。
　リタの役柄は学校の教師で、メガネをかけてスーツ姿で子どもたちに授業するシーンが案外と知的で魅力的。彼女を争ってロマノとフィリップの二人が取っ組みあいのケンカをするのを、皮肉な笑いを浮かべながらみているシーンになって、いつもながら男を虜にする小悪魔性のようなものがでてくる。実際、シャワー・シーンやベッド・シーンでのほどよい盛りあがりに小さな乳首の乳房といい、とくに美人というほどでもないが、彼女のためには身を捧げたくなる男の気持ちが伝わってくる。ロマノとのセックス・シーンでは、ロマノのお尻に両脚をはさんで喘ぎ声をあげる彼女に、こちらも感嘆の声をだしそうになってしまう。
　もっとも裏で何を考えているのかわからないという雰囲気はあるものの、あくまで肉体美の女優であり、リタから現実離れした魔性の妖艶さが感じられなかったことが、この作品にもっとも不満を残した要素ではないだろうか。