“ＫＡＴＡＷＡＮＧ　ＡＬＡＢＯＫ”
（埃まみれの肉体）
　
79年：アグリックス・フィルムズ・プロダクション
監督：エマニエル・Ｈ・ボルラサ
主演：ロルナ・トレンティノ
　　　 ロベルト・アレヴァロ
　　　 デイジー・ロムアルデス
　　　 オレステス・オヘダ
　　　 ジャネット・ボードン
　　　 ヴィク・シラヤン
　　　 マニー・ルナ
　　　 ミア・モンテメーヤー
　若きロルナ・トレンティノが主演するセクシー・ドラマ。
　ストリップ・ダンサーだったカトリナ（ロルナ）がカネ持ちの老人のシムヨン（ヴィク・シラヤン）にみそめられて結婚となる。屋敷には女医のミネルヴァ（デイジー・ロムアルデス）が同居している。実はシムヨンには妻のマルタ（ルシタ・ソリアノ）が生きていて、精神病院に入院中。一方、シムヨンの息子のディンド（ ロベルト・アレヴァロ）は映画監督で、いつも人気スターのアレクサンダー（オレステス・オヘダ）ともめている。カトリナを新人女優に抜擢と思うも、カトリナのほうがうけつけない。マルタが自殺でシムヨンがショックから意識喪失状態に陥り、ミネルヴァがカトリナを使用人のごとくあつかうようになる。怒ったカトリナが家をでて、ディンドに女優の申し入れを承諾する。主演映画が公開になるや、それまでのアレクサンダーの相手役だったヒルダ（ジャネット・ボードン）の評判を吹き飛ばすばかりでなく、カトリナはアレクサンダーの人気をも圧倒する。新しいスター誕生の新戦略に対し、カトリナはディンドやアレクサンダーとの仕事を今後いっさい拒む。
　そもそもカネ持ちがダンサーを妾に囲うことはあれ、結婚はありえないわけで、フィクションだなあと感じていたら、実は本妻じゃないとの図式が基本線を崩さず、まあまあの出だし。芸能界への成りあがりは相手役に起用を嫌がったアレクサンダーを挑発し、ヒルダから奪い、記者会見の会場へヒルダが現われてカトリナの貧しい過去をバラすと、カトリナが自らの境遇を語って同情をかい、かえって拍手を集めるパターンがいかにも。いざ撮影で自分よりもカトリナのほうが目だつのにアレクサンダーが不満でディンドと対立をくり返せば、カトリナが芸能記者のロリータ（アンジー・フェロ）をたくみに味方につけるなどの、ありきたりゆえに一般的な方法論になっている。アレクサンダーがワガママのみならず、ディンドがカトリナを商品としてみれば、ミネルヴァにもちょっかいをだすゲスなのが当然の人間関係。女優としての成功をはたしたカトリナが屋敷へやってきて、ミネルヴァが笑顔で迎えているのがヘンなら、車椅子のシムヨンへカトリナが話しかけるシーンで『昼顔』を連想したが、無表情をとおすのではなく、やさしく頭をなぜるのに甘さを感じる。劇中劇の映画撮影ではダンスがほとんど『サタデー・ナイト・フィーバー』なのに、時代ねとの笑いがおきる。完成披露試写会でアイク・ロサダなど、当時のスターがぞろぞろとやってきてのカメオ出演は、おそらくエマニエル・Ｈ・ボルラサのコネクションだろう。
　とにかくカトリナが海岸で盲目の青年のガルド（マニー・ルナ）と知り合い、親族らしき女性（アニータ・リンダ）から虐待をうけているようなエピソードが中途半端なままで後半へつながらないのが不自然な印象を残し、本来はサクセス・ストーリーではなく、ディンドに「ウタン・ナ・ローブはないのか」と叫ばせる、貧民階級出身のものの華やかな上流階級やショー・ビス界への復讐の物語ととれば、そこにガルドの存在がからまない理由がわからない。ラストでタクシー運転手に行き先を問われ、カトリナが「どこでも」と答える象徴的な台詞のあとに貝の飾りものをだしてくる行動に、ガルドとのからみが全体から抜け落ちたようなイメージを与える。
　それはさておき、満足度のほとんどはロルナ・トレンティノのセクシーさにつきるといえる。冒頭のステージは六名のダンサーとともに踊るが、楽屋を含めて厚めの衣装で露出イマイチ。初夜のパンティーがほんのりスケたスリップも捨てがたいが、ヴィクと出会った回想のステージがいける。ビキニのお尻がドアップになって、さほど食いこんでなくてもゾクゾクとそそる。ディンドに口説かれるときの赤いスリップ、ミネルヴァに意地悪をうける屋敷内でのすらっとのびた脚がみごとな超ミニスカのほか、アレクサンダーを誘惑の下着姿が、浮きでるヒップラインといい、さすがのお色気をムンムンとさせる。雑誌用の宣材撮影で、雑誌のほうにはちゃんと水着が載っているにもかかわらず、ドレスばかりでオイオイと落胆を招いたが、二度目の撮影のところではしっかり五タイプものセパレーツやビキニの水着を披露してくれる。しかもすべてに全身のプロポーションやヒップラインがうかがえ、小さめのバストもキュートで、まさにロルナのボディーはこのなまめかしい曲線が絶品。
　ほかにジャネット・ボードンがセパレーツの水着をみせてくれるし、同僚のダンサー役のミヤ・モンテメーヤーがステージでブラをほどき、トップレスのうしろ姿で迫ってくる。赤いパンティーのお尻への貼りつきがおいしそうだった。