ＫＡＴＡＳ
（ジュース）
　
03年：ヴィンセント・フィルムズ
監督：セザール・ＳＢ・アベーリア
主演：メエ・トンコ
　　　 ジョン・アパシーブレ
　　　 ラジャ・モンテロ
　　　 マーク・ディオニショ
　　　 ライアン・ムーニョス
　　 　ヤニ・ガルシア
　ケソン州プラリデル周辺を舞台に繰り広げられる愛欲劇で、深みを欠くストーリーよりも、地域性がもたらす要素に興味を感じる。
　メエ・トンコ、ラジャ・モンテロ、ヤニ・ガルシア演じる三姉妹が主人公で、両親がなく、長女のメエがカカニンという地元特産のスナックをつくり売りし、次女のラジャがバー勤めによって生活費を稼ぎながら、まだ学生の三女・ヤニを卒業させようとしている。ヤニにはポール・ゴンザレス演じるボーイ・フレンドがいて、公園で愛撫行為におよんだために警察へ補導されるなどあるも、基本はいい子。メエはジョン・アパシーブレ演じる貧しい労働者と恋仲で、ノノン・デ・アンドレス演じる知恵遅れ気味の初老男にもホレられている。エルニー・フォルテ演じるホームレスにカカニンを恵んであげるやさしい性格。Ｇ．Ｒ．Ｏ．のラジャはライアン・ムーニョス演じる店の客をボーイ・フレンドにするかたわら、マーク・ディオニショ演じる客からも口説かれている。との人間関係で、マークがヤニを殺して死姦する。そんなの精液を調べれば犯人なんてすぐに割りだせるだろうと思うも、科学捜査とは縁遠く、目撃者と名のりでたノノンが嫉妬でジョンを指し、トニー・マナロ演じるメエと親しかった弁護士が助けるとの流れ。ノノンがウソを告白し、マークから脅されていた本当の目撃者であるエルニーの証言で一件落着。
　ラジャがマークから麻薬を預かり、メエがマークにカネとともに返す展開はまったく生かされないうえ、後半にポールがからまなくなるなど、ホント紙芝居程度の筋立てにはあきれが走る。ノノンがメエへ求婚に向かう前に、アバ演じるニュー・ハーフから素っ裸にされて体を洗われるエピソードがちょっと笑えるくらい。
　では、どこが地域的面白さかというと、まずココナッツを削るところから始まるカカヤンの調理過程が、さながらレシピをみているよう。移動方法に鉄道線路を勝手に利用するディーゼルのトロッコを用いているのが、今や有名になった交通手段。小さな部屋でテーブルを囲って行うテス・オリアス演じる裁判長を中心にした審議が示談にしかみえず、それって殺人事件を裁く法廷なの？　弁護費用を払えないメエが、ウタン・ナ・ロオブでトニーと結婚を決めるツメで、フィリピン人の思考回路の一つにも代表されるウタン・ナ・ロオブの実行に妙な納得を呼び起こす。釈放されたジョンがトロッコで式場の教会へ駆けつけると、愛の存在を悟ったトニーが花婿を譲るのだが、バロン・タガログを脱いで渡すあたり、この礼服の持つ意味がうかがえる。などといった具合。
　もっとも、最高に楽しませてもらったのは三人の女優のセクシーさで、映画開始15分ほどまでにあるヌード・シーンがほぼ昇天のパワーを含む。メエのカカニンづくりと並行してヤニが水浴びする冒頭おいて、濡れたシャツから乳首がスケ、貼りつくパンティーに手を入れて陰毛のあたりを洗う。シャツを脱ぐや、小さめのかわいいオッパイが全開。タオルを巻いてパンティーもとり、部屋へ戻ってタオルをほどくと、全裸のうしろ姿がバッチリ。黒いパンティーをはくポーズで、お尻の割れかたがややイマイチかな。続いてラジャが店から朝帰りし、就寝する前にワンピースを脱いでＴバック一枚に。肉感的なお尻に食いこむＴバックの迫力といい、鏡の中にオッパイが映っている構図といい、実に刺激的。しばらく経って起きあがり、今度は水浴びでギュッと食いこんでいたＴバックをズリさげ、惜しげもない全裸の挑発にキャーッ。オッパイのドアップが歓喜なものの、ややタレてるし、乳輪が大きいかな。メエの水浴びはノノンがのぞく視線で真っ暗の中、ほとんどみえなくてイライラのあと、部屋へきてローブを脱ぐと白いパンティー一枚。トップレスで横からのオッパイが張りよく、ヒップラインもみごとで、一番美人だし、さすがメエと鼻息が荒くなる。
　セックス・シーンでもヤニがオッパイを丸だしにし、ラジャがライアン相手にイヴニングの肩紐をほどいてオッパイをポロリとこぼしたうえ、黒いＴバック一枚のボディーをたっぷり堪能させるだけでなく、乳首のウルトラ・アップまで披露。メエはピンクのブラをはずして正常位で抱かれ、上向きになっても形の崩れないオッパイをおがませてくれる。さらにラジャはカネの必要からマークに体を許すセックスで、再び乳首をこれでもかと大写しで迫って驚異的モロみせながら、乳輪の大きさだけでなく、上向きになるとオッパイがグニャッとしおれるあたりが減点。やはりジョンとのセックスを回想する中で、メイのオッパイが圧倒的な魅力にあふれ、とにかくもんでみたい。
　大満足には違いないヌード攻撃なれど、ヤニの殺害シーンでシャツから乳首がハミでる寸前どまりなうえ、レイプするマークのお尻があらわでゲーッだったり、ヤニやラジャのセックスで二重映しになるなど、セザール・ＳＢ・アベーリアが画面づくりに余計なちょっかいを加えて残念。とくにトロッコに乗って海岸やジャングルを新婚の二人が進むラストは、周囲の風景描写だけでも十分にヴィジュアルの豊かさを感じさせるものなのに、初夜のベッドのようすがダブって、どっちつかずというか、両者ともの焦点を殺している。もちろん、直後に初夜はちゃんとオッパイを露出したメエがでてきてウハウハなのだが、セザールは映像感覚に相当なダメさぶりを露呈したようだ。