ＫＡＮＡＮＧ　ＫＡＭＡＹ　　ＩＴＵＲＯ　ＭＯ…　ＩＴＵＴＵＭＢＡ　ＫＯ
（右腕　あなたを導き、私を倒す）
　
99年：リーガル・エンターテインメント
監督：ホセ・Ｎ・カレオン
主演：モンソール・デル・ロサリオ
　　 　アイリーン・ダミレス
　　　 アスンタ・デ・ロッシ
　 　　ラモン・クリストファー
　　　 エミリオ・ガルシア
　　 　レヴィー・イグナシオ
　黒いビキニのダンサーたちが踊るバーの店内。カメラはステージの彼女たちをなめるように撮り、股間のアップまであるからウワーッ。期待できそうな作品だな、と感じたのだが…
　あまりにも単細胞なアクション映画だった。
　モンソール・デル・ロサリオ演じる主人公は犯罪シンジケートのボスの右腕で、対立しているシンジケートのボスの弟を射殺する。それでラモン・クリストファー演じる相手のボスから狙われ、エミリオ・ガルシア演じる自分のボスから身を隠すことをすすめられる。
　ラモンとエミリオが和解したので、双方から処分の対象となり、モンソールは単独で生き残りの戦いを展開するわけである。
　拳銃一丁でモンソールが大人数の雑魚たちをやっつけていくガン・ファイトの連続は、ただただアホらし、とあきれるのみ。都合よく弾がですぎるピストルの扱いは、戦後まじかの『多羅尾伴内』シリーズと同レヴェルの内容。
　唖然。
　エミリオをやっつけると突然、友情がよみがえって、瀕死のエミリオの援護でラモンにとどめを刺すクライマックスもくどく、とにかくテンポが悪い。いつまでバンバンやっているんだ、と声をだして文句をいいたくなる。
　また身を隠した先がアスンタ・デ・ロッシ演じる妹の紹介による孤児院で、モンソールが雑用したり、子どもたちと交流ｆで人のよさを表わす部分はまあまあだが、暴力を伴ってからが説得力を欠く。子どもたちを車に乗せているときにシンジケートのメンバーから襲われ、銃撃戦のチェイスになったりするから、かえって疫病神じゃないか、と首をかしげる結果。こんなヤツがいなけりゃ最初から危険はないわけで、さっさと追いだせよ、って感じ。
　孤児院に勤めるアイリーン・ダミレス演じる女性とのロマンスもイマイチ。市場でバカどもにからまれたアイリーンをモンソールが助け、アイリーンが頼もしく思うシーンなど、ほかの作品も含めていつも同様のシチュエーションのときにもたげる印象だが、壊した店や商品は一体誰が弁償するわけ？　その日の売りあげで暮らしている庶民ばかりだろうに、補償してくれなきゃ、泣くにも泣けないだろう。
　こういうごまかし描写が大嫌いだ。
　アスンタはまだセクシー女優に転身する前で、清純なイメージだからよいものの、アイリーンに色っぽいシーンがないのも残念。せめて一緒に泳ぎに行って、水着になるくらいはほしかった。
　ようは、みどころなしのダメ作品。タコの入っていないたこ焼き、子がいない子持ちシシャモのようなもの。
　ときにＢ級なりに楽しめる演出を披露してくれるホセ・Ｎ・カレオン監督だが、しょせんこの程度の実力なのね、というがわかると、悲しいよ。