ＫＡＮＡ　２
　
99年：エル・ニーニョ・フィルムズ／シャンテン・フィルムズ
監督：セザール・ＳＢ・アベーリア
主演：ダニエラ
　　　 サブリナ・Ｍ
　　 　レイ・ＰＪ・アベリアーナ
　　　 フェルナンド・モンテネグロ
　　　 ジェーゴ・サルヴァドル
　　　 テン・テン
　ビコールにある北カマリネス州ダエト市の風景が興味を引く。
　ピンキー・ローセス演じる中年女性が病気がちを強調しながら、ボディコン衣装でバーへと入る。スシン・サイソン演じる太ったおばさんのホステスもいて、場末にもほどがあると思うのだが、とにかくピンキーが顧客と行ったホテルで死んでしまうのが物語の発端。
　ジェリー・アルベルトとエリシャ・マリー・エンカルナション演じる種違いのピンキーの娘の仲のよさが強調され、姉妹愛のドラマが基調になっていることがわかる。ときが流れてサブリナ・Ｍとダニエラが演じるようになると、父親がアメリカ人との設定なので、ダニエラは金髪に染めている。いわゆるＧ．Ｉ．チャイルドだろうが、映画はこの社会問題には踏み入っていない。
　姉のサブリナがレイ・ＰＪ・アベリアーナ演じる地元の有力者の家で家政婦となって働き、妹のダニエラを学校へ通わせているも、レイはアルレン・プート演じる妻のほか、マリベト・マラルアン演じる前妻とも切れていないしょうもないヤツに描かれていて、当然ながらサブリナを犯す。それでサブリナがレイを殺してしまうという展開。
　ダニエラにはフェルナンド・モンテネグロ演じる恋人がいるのだが、人はよいものの無力で、選択肢なくダンサーとなってサブリナの弁護費用を稼ぎ、さらにはジェーゴ・サルヴァドル演じる、ずっといいよっていた男に身をまかせる。ジェーゴの姉がロルナ演じる弁護士だったから、サブリナが釈放されて終わり。
　それだけの話。
　サブリナの殺人がとっさの衝動ではなく、ひと呼吸おいてからなのが、まず説得力を薄めている点。
　海へ入っていく誰かわからない女性を挿入したりといった意味なしショットなど、気になる要素が多いのも困惑を招く。
　でも何よりも期待はずれだったのは、ヌード・シーンが最後まででてこないこと。サブリナが犯されるシーンは二度あるものの、ともに抵抗したなと思ったら、肝心の部分を割愛し、終わって黒い下着姿になっている。脱がなきゃ魅力ゼロの女優なのに、とは失礼な発言だが、実際そうだもん。
　ダニエラは大ファンだし、サブリナより美人でプロポーションがよいから、頼みますよー、とかけ声がでそうだが、ノノン・デ・アンドレス演じるスケベ男に水浴びしようとしたところをのぞかれるシーンは服を着たまま。フェルナンドと山へ泳ぎにいくシーンでは、濡れて下着が白い服からスケているはずなのに、あまりに遠景で撮っているからうかがえない。ジェーゴとのセックスは描かれずじまいで、そりゃないよなー。
　さすがに二回あるうちの、最初のステージ・シーンはやってくれる。光沢素材の紐ビキニで挑発的に身体を動かし、ウハウハ・ビンビンもの。踊りの途中にやたら風景ショットをはさむのは余計だが、とにかく興奮を抑えられない。
　弁護士に会うときの水色のピタパンもセクシーで、実にナイス・ボディーだ。
　ところが二度目のステージでは、ローブをはおり、ブーツをはいた脚がセクシーなうえ、きっとローブの下は裸かなあ、とワクワクさせておいて、脱ぐ寸前で中止。
　おーい、ちょっと待てよ。
　またも踊りの最中にいらない風景を挿入する演出にも怒り心頭で、セザール・ＳＢ・アベーリア監督の能力を疑ってしまう。
　ひょっとしてヌードはダメよ、という制約でも課せられていたのだろうか。
　どっちにしてもウルトラ駄作だが、光沢ビキニのダニエラがおがめただけで、まずは満足としておこう。
　なお、エル・ニーニョ・フィルムズの作品にはときどき製作総指揮の名前がシャンハイとテン・テンになっているのだが、シャンハイはたまに俳優として顔をだしている人物のことだと思うが、テン・テンのほうはここでもサブリナの息子役でラストに出演している子役なのだろうか（シャンテン・フィルムズという共同のプロダクションの名前はシャンハイとテンテンをあわせたと推測される）。まったく小学生くらいの子どもが製作総指揮とは、家内制手工業に近い形態だとしても、どういう会社なんだと首をかしげたくなる。