ＫＡＮＡ
　
95年：エル・ニーニョ・フィルムズ
監督：セザール・ＳＢ・アベーリア
主演：ジャニン・バレド
　　　 ジョン・レガラ
　　　 トビー・アレハル
　　　 ジョージ・エストレガン（ジュニア）
　　　 ビン・ダヴァオ
　Ｂ級アクションというのは、ときに女性を主人公にしたほうが面白かったりするものだ。この作品も、いかにも気性の荒そうな顔だちのジャニン・バレドのキャラクターによって、それなりに楽しめる作品に仕上がっている。
　まず人質をとって立てこもる犯人グループを警察が包囲すると、銃を置いたジャニン演じる女警官が、たった一人で犯人の説得に向かうところから始まる。制服スタイルが決まっていて、なかなかカッコいい。入り口でシャツをはずしてブラをみせ、丸腰であることを示す。建物の中へ入ると、一瞬のスキをついて太ももから拳銃を取りだして犯人の一人を射殺する。
　オープニングとしては、まずまずである。
　主人公にはマリエル・サルヴァドルとクリスティーヌ・サブランが演じる二人の妹がいるのだが、家に暴漢のグループが侵入してきて、無残にレイプされてしまう。このあたりのシーンはシャワー・ルームとベッドでのレイプ描写に迫力があるものの、カットのつながりがいい加減で、三人の女性の位置関係に混乱が生じているのが残念である。
　二人の妹は廃人同然になってしまい、主人公の怒りは法律の手続きを踏まず、犯人たちをリンチにして撃ち殺すという形になる。正義としてそれがよいかどうかではなく、少なくとも映画では、このほうがカタルシスが解消される。
　主人公はさらに恋人の警官を殺されて、犯罪組織と単独で対決することになる。次から次へとアクション・シーンが展開していくので、あきさせることがない。しかも主人公がシャワーを浴びているところを襲われ、裸で銃撃戦を繰り広げるというサーヴィス・シーンもあり、作り手の意欲を感じとる。セザール・ＳＢ・アベーリア監督の小気味よい演出は、けっこう評価していいのではないか。
　もっとも悪党たちがいかにも異常者風に描かれていて、顔つきやファッションなど、どこからどうみてもワルで、類型的すぎるかもしれない。このほうが単純なアクション作品なのだから、わかりやすくていいともいえるが…
　女優としてのジャニン・バレドは銃を撃つ姿がカッコいいだけでなく、クンフー・アクションのようなものもみせてくれて、ただ一人ヒロインを謳歌している。妹たちと泳ぐシーンと、恋人とのラヴ・シーンで二度水着姿をみせてくれるのだが、さすがに強さが前面にでているせいか、うっとりするような女性的魅力は感じさせない。水うち際で抱き合って恋人とキスしていても、ロマンティックなムードのようなものは生まれてこない。でもシャワー・シーンではほどよい大きさの乳房をみせてくれて、相当なセックス・アピールである。欲をいえば、鏡にうしろ姿を映しながら脱いでいくところで、ブラをはずし、パンティーに手をかけてお尻がみえる寸前でカットが変わってしまうのは不満である。銃撃戦が始まると、シャワー・ルームのドアを開けたり閉めたりしながら撃つのだが、早い動作でドアが開くたびに中にいる彼女の裸身がのぞく。その際、上半身だけ乗りだしたときに、乳首にニプレスをしているのがみえてしまう。しゃがんで撃つ全身がみえるところでは、ごく薄の身体にフィットした薄い肌着をつけているのがわかる。 撮影テクニック的にはもっとうまく撮れよという感じだが、みているぶんには、このほうが全裸よりもずっと色っぽい。
　ジャニンにすっかり悩殺された。