ＮＡＧＭＵＭＵＲＡＮＧ　ＫＡＭＡＴＩＳ　　ＫＵＭＡＫＡＳＡ　ＰＡ！
（気持ちはトマトのように若いからまだ何でもできる！）
　
96年：プレミア・エンターテインメント・プロダクションズ
監督：ルシアノ・Ｂ・カルロス
主演：エディー・ガルシア
　　　 ブーツ・アンソン・ロア
　　　 ウェンデル・ラモス
　　　 ボブ・ソレル
　　　 シタ・アスタルス
　　　 シャーメイン・スアレス
　　　 ミシェル・パートン
　　　 ヴィア・ヴェロソ
　　　 クリセルダ・ヴォルクス
　　　 デニス・ホアキン
　　　 テレサ・アルデア
　ナンセンス・コメディーをつくらせたら、その徹底的なくだらなさはフィリピン映画の独壇場である。社会風刺を入れようとか、ヒューマニズムを盛りこもうといったテーマ性のまったくない、志の低さがよい。ジーンと感動させようなんて意図はゼロで、最後までバカをまっとうしてくれる。あくまで観客を楽しませること優先で、作者側のナルシズムが関係ないのだろう。
　とはいってもギャグのレヴェルが初歩的で、それほど笑えない作品が多いことも事実。吉本新喜劇のほうがまだ面白いと思うのは、国民性とか感性の違いだろうか…
　主演のエディー・ガルシアはアクション・スターでもあるが、コメディアンとしてのセンスがイマイチのように感じられる。ロック・グループのヴォーカルとしてサイケデリックなファッションをしても、さっぱりおかしくない。相手役のブーツ・アンソン・ロアもコメディエンヌとしての実力をそれほど発揮しているとは思えない。かといって中年女性としての色気を感じさせないから、これは二人の魅力の引きだしに失敗した監督のルシアノ・Ｂ・カルロスの責任でもあるだろう。
　金銭トラブルから以前の職業である社交ダンスのインストラクターに戻ったエディーが、たちまち人気を博す設定は、ちょっと無理がある。いくらなんでも年齢がいきすぎているし、それほど女性を虜にするような魅力があるとは思えない。若いギャルをナンパするシーンで「ハンサムよ」というセリフが聞かれるのだって、説得力がない。エディーのパトロンとなる、実は麻薬組織の女幹部だったエキゾティックな容貌のシタ・アスタルスとのラテン・ダンス・シーンは、ステップをちゃんとみせようとしているのか、笑いをとろうとしているのか、中途半端な印象になっている。
　まあ中年同士での恋のさやあて合戦だから、これでいいのかもしれないが…
　突然にエディーがはぶりのよくなったことに疑問を抱いたブーツが、探偵気どりで調査を始めて、間違ってテロリストのアジトへ入ってしまうシーンは、ドタバタの展開としてまあまあである。しかも踏みこんできた警察から仲間だとの勘違いを受け、連行されるのだが、フィリピン映画はよくテロリストの存在をギャグに使うことが多いもの。このあたりに自虐性みたいな傾向がうかがえて、ニヤリと苦笑いが起きる。
　デニス・ホアキン扮するエディーの次女と、ウェンデル・ラモス扮するブーツの甥とのサブ的なラヴ・ストーリーは、新人のデニスに魅力が乏しく、残念ながら興味の対象にならない。長女に扮するもう一人の新人のテレサ・アルデアも、まったく見せ場らしいものがない。
　役者の力量不足ということか。
　もっとも女優陣は脇の小さな役に粒がそろっている。ほとんどストーリー的には必要性のないビーチのシーンで、三人のギャルがセクシーなビキニ姿を披露してくれる。中でもクリセルダ・ヴォルクスが青いブラに包まれたオッパイをゆらゆらさせ、視線を釘づけ。あとの二人はシャーメイン・スアレスとヴィア・ヴェロソで、やはりみごとなボディーが目の保養になる。サーヴィス精神に感謝。
　エディーがナンパする三人の女性、ミシェル・パートン、ララネ・エドソン、パメラ・デロス・サントスは、いずれもハッとするような美女。とくにミシェルはもっと眺めていたいと思わせるだけの魅力の持ち主なのだが、「ビーチへ行こう」のエディーのセリフにＯＫしているものの、実際に行くシーンがないのが残念に終わる。