ＫＡＬＡＢＩＴ
（指先の感触）
　
03年：ヴィンテージ・プロダクションズ
監督：ニール・“ブボイ”・タン
出演：アラ・ミナ
　　 　レーモンド・バガチング
　　　 カルロス・モラレス
　　　 アルマ・ソリアノ
　　　 インダイ・ガルタイ
　　　 ウィルソン・ゴー
　　　 アルヴィン・ベルナレス
　　　 ジャン・マリニ
　愛欲のもつれのすえに殺人へと発展する、もうフィリピン映画が猿のオナニーのごとく、あきもせずに繰り返すワン・パターン・ドラマ。本当にマジで脳みそが単純なのか、と疑いたくなるほど。まったく、こんなヘボ内容にアラ・ミナを使うなんて、もったいない限り。猫に小判、とはちょっと違うか。アラは『ＭＡＬＤＩＴＡ』で一度、ニール・“ブボイ”・タンと組んでいるものの、もっとちゃんとした監督と仕事してほしいなあ、との嘆きが盛りあがる。
　レーモンド・バガチングとカルロス・モラレス演じる友人が工場の守衛で、レーモンドが夜勤、カルロスが昼勤との構図。一人がくると、もう一人が帰るため、二人は工場以外で会うことがない。アラはレーモンドの妻を演じ、疲れてすぐに寝入り、サッサと早漏ぎみに自分がイクだけの一方的なセックスしかしないレーモンドに対し、性的不満を抱いている。それでカルロスと関係を持つとの物語。レーモンドが暴力夫で、どうしてこんなノータリン・バカのもとから家出しないのか、みていてイライラ。アラが兄弟を探している設定とはいえ、とどまっている理由が何もないじゃないか。とにかく顔にアザができまで妻を殴る夫というのは、どうせ死んでもいい人物だから、カルロスとアラが共謀でレーモンドを毒死させるラストで、衝撃というよりも、むしろせいせいする。カルロスのほうもアラへ手をあげるシチュエーションがあって、こちらも勝手な奴だけに、射殺されて当然。
　嫌になるくらい平凡な結末にガクーッと落胆が走る。
　デロン・ガンボア演じる隣人が妻をボコボコにするのをアラが目撃のシーンもでてきて、ドメスティック・ヴァイオレンスがフィリピンでも問題になっているのだろう背景をうかがうも、実際は夫婦ゲンカすれば妻のほうが強いケースが多いだけに、ワン・サイドからの誇張表現ばかりが説得力を欠く。
　まあ、仕事のない男どもがヒマに酒ばかりくらっている光景は、確かに現実のままだが…
　ウィルソン・ゴー演じるレーモンドとカルロスが勤務する工場のオーナーに、アルマ・ソリアノ演じる出入りの女性がカネをせびっていて、カテリン・ショートなどが演じる女子工員たちと仲が悪い。アルマがアラと旧友とのサブ・ストーリーや、カテリンがレーモンドとカルロスを誘惑のるエピソードも中途半端。メインとのからませかたに失敗したのか、最初から彩りとしか考えていないのか、どっちにしてもヘタっぴ。
　ひどいながらも、アラさえ輝いていれば問題ないところ。そもそもがアラしか目的じゃないんだから、あとの要素はどうでもいい。日常に飽きた人妻役だけに、頭にカールを巻いたりで生活感をにじませ、演技的にはさすが。ファースト・ショットと、ラストで再びでてくる歩く姿のバックだけでも、背中の演技ができるようになったかとの賞賛を送りたい。
　セクシーさに関しては、もちろん炸裂が嬉しい。カルロスを引きこんだセックスの翌朝、普段着のまま寝転んでいるかっこうからして、スカートの裾に黒いパンティーがのぞき、それが陰毛のハミでそうなハイレグだからゾクゾク。カルロスが通うようになって以後は、立位でワンピース、パンティーと脱がされ、素っ裸になったアラのうしろ姿が全神経を刺激。アラのお尻は世界一とあらためて確認する。ベッドへ倒れこむや、豊満なオッパイから乳首がみえるか、みえるか…　睡眠中のアラのイメージでは、カルロスとのセックスで、オッパイ丸みえのパンティー一枚が素晴らしすぎる。お尻を突きだした姿勢でカルロスに抱かれ、オッパイのアップにキャーッ、イキそう。ただし浮気してるんじゃないかとレーモンドが心配する悪夢を含め、ほかに四回あるカルロスとのセックスで、やや露出イマイチなのが、ちょっと残念。せっかくトップレスなのに、バストを隠して寝転ぶうえ、カルロスが乗っかったあともグレーのパンティーをはいたままなのは、いかにも不自然じゃないか。レーモンドとのセックスも三度だが、バックからアラが痛がるレイプふうのものなど、いずれもアラのオッパイがみえずじまい。それどころかレーモンドのお尻が迫ってきて、ウワー、やめてくれー。もっともレーモンドがワンピースの上からオッパイをもむときのムギュッとした質感のほか、薄い生地のワンピースでしゃがむカーヴに浮かぶヒップライン、ウィルソンが警察につかまって仕事が危うくなり、カルロスが「エージェントへ行こう」と訪ねてきて、レーモンドが準備で水浴びする間にカルロスの愛撫を受ける際の前ボタン・ワンピースがはだけ、オッパイがこぼれそうに顔をだすバストの谷間といった、チラリズムでもアラはビンビンをくれる。やっぱり女神だ、と拍手喝采。欲をいえば『ＭＡＬＤＩＴＡ』と比べて、圧倒的な全裸のモロ立ちショットを欠くのが惜しい。
　共演女優では、アルマがそろそろヌード要員としてヴェテランの粋と思うも、ウィルソンをマッサージするシーンを二回もうけ、黒いワンピースで胸の谷間を強調したり、ミニスカからパンティーがみえる脚あげポーズのみだから期待はずれ。勝ち気な性格の反面、アラに「妊娠した」と打ち明けながらタバコを吸って哀愁とバカっぽさを表現し、演技的には頑張っている。
　女子工員役でカテリン、ジェンネル・クワン、リン・ジョルダンの新人がデビューしていて、アルマとのつかみ合いでシャツがまくれたり、ホット・パンツが食いこんだりの色っぽさを披露。とくにカテリンはカルロスへの挑発でスカートをまくりあげ、黒いパンティーで視線を奪ったあと、レーモンドとのセックス終わりでシャツを着る背中にドキドキ。カルロスとセックスになると、いよいよ上向きオッパイの全開に、ウハウハよだれものじゃないか。でも激しくもだえるにもかかわらず、紐パンティーをはいているのは、またも不自然。セックスって、常識的に全裸でするだろう、と指摘したくなる。
　あとカルロスがインダイ・ガルタイ演じるオカマがママの売春宿へ行くシーンで、そこそこにかわいい子が座っていた。