ＫＡＫＡＩＢＡＮＧ　ＫＡＲＩＳＭＡ
（奇妙なカリスマ）
　
95年：ＣＶＨプロダクションズ
監督：ブボイ・タン
主演：カルラ・エストラダ
　　　 ダン・フェルナンデス
　　　 サブリナ・Ｍ
　　　 ペルラ・バウティスタ
　　　 レイ・ＰＪ・アベリアーナ
　　　 レイ・“ラヴェン”・ヴェントゥラ
　　　 ジョン・ナイト
　　　 バンジョー・ロメロ
　ウルスラ（ペルラ・バウティスタ）が難産のあと、産婆が落雷で死ぬこけおどしっぽい出だし。レイプによって歓迎せざる状況で産んだ娘のクララ（シェリー・アン・マドリッド）をウルスラが暴力も辞さずに厳しく育てる。そして年ごろに成長したクララ（カルラ・エストラダ）は、ウルスラから鍵のかかる貞操帯をはめられる。隣人のリコ（レイ・“ＰＪ”・アベリアーナ）は妻のロレン（サブリナ・Ｍ）がいながらもクララを狙う。リコの従兄弟のヘクトル（ダン・フェルナンデス）が住むようになると、やはりクララに気持ちを奪われ、リコ宅に住む初老のカノル（レイ・ヴェントゥラ）もクララに欲望を抱く。またロレンはヘクトルを求めるとの図式で、クララの部屋へ忍びこんだものの、貞操帯で犯せなかったリコは、睡眠薬でクララを眠らせて鍵を奪い、レイプのあとに殺される。クララが傷ものになったのに気がついたウルスラはヒステリックにクララを折檻し、そのようすをガラス越しにヘクトルとカノルがみる。クララにヘクトルが「愛している」という。
　いわゆる女性版『サイコ』のごとき殺人ドラマであり、ウルスラの顔がみえない位置から揺り椅子の座っているショットで、もうウルスラが死んでいるのがわかる。ひとりで自由に外を歩けるようになったクララに、かつて教会前でからんでいた三人組の男が襲い、そのうちの強姦魔が殺される。残りのふたりもチンポを切られて亡くなる。またクララがロレンの長男のバドン（ロイス・ロセロ）を部屋に入れて童貞を奪い、ロレンが五人の子どもを連れてでていく。クララが車にひかれ、たまたま運転していたのが医者（ジョン・ナイト）だったので、クララの二重人格が明らかになる。医者のもとを抜けだしたクララがヘクトルのところへきて抱かれると、ヘクトルに軍隊時代の戦場の記憶がよみがえり、目つきが変わる。
　ニール・“ブボイ”・タンはちょくちょく、この手の異常心理による犯罪劇を手がけるながら、いずれも意外性の乏しい内容にとどまる。発想の原点が過去のハリウッド作品の模倣によるためだろう。おそらくウルスラのミイラでショックを与えたかったに違いないが、バレバレでしらける。ヘクトルがリコの家へやってきたときのあやしいムードの旋律など、音楽の使いかたもヘタ。
　まあドラマとしては失格でも、美人のカルラ・エストラダをながめていれば、そうそう退屈もしない。ただしセクシーさは中途半端に終わり、子どものクララの背中を風呂でウルスラが軽石でこするショットが大人のクララにダブるとき、思わずハッと息をのむが、お尻のみえる寸前でとどまる。リコからのレイプではブラの露出までで、処女喪失はシーツを巻いたボディーのお股に血がついているのが妙にリアル。白い服を破られる強姦のあとにシャワーを浴びるも、服の布で胸をおさえたままと満足感を高めてくれない。
　リコとロレンのセックスを子どものクララと大人のクララがのぞくシーンが二回あるが、いずれも大胆さを欠き、ヘクトルの愛撫でもロレンがパンティー一枚以上に脱がず、サブリナ・Ｍのハダカもイマイチになる。医者の車に同乗している恋人のモニカ役のウルスラ・オルティスは、ただいるだけで挑発のそぶりもなし。
　やっぱりサブリナぐらいは、ちゃんとオッパイをみせなきゃね。