ＫＡＩＬＡＮ　ＳＡＳＡＢＩＨＩＮＧ　ＭＡＨＡＬ　ＫＩＴＡ？
（いつ愛してるって言うの？）
　
85年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：エディー・ガルシア
主演：クリストファー・デ・レオン
　　　 シャーロン・コネータ
　　　 エディー・ロドリゲス
　　　 チェリー・ヒル
　　　 アルミダ・シギオン・レイナ
　　　 リザ・ロレナ
　　　 ジョエル・アラノ
　　　 パラルマン
　またまた特殊な状況をたくみに考えだしたロマンス劇。ヒルダ・オルヴィダッドのフィリピノ・コミクスによるストーリーをもとに、オルランド・ナドレスが脚色していて、ホント、シチュエーションの置きかたに感心するほど。
　これを俳優のエディー・ガルシアが、いかに映像化したかだが…
　前半は快調なテンポでみせる。
　二組の幸福そうなカップルが提示され、セブに住むシャーロン・コネータとジョエル・アラノ演じる若い二人は、ジョエルが無理やりシャーロンをラヴ・ホテルへ連れこみ、シャーロンが拒否して逃げる。この事実をエディー・ロドリゲスとリザ・ロレナ演じるシャーロンの両親が知って、エディーがシャーロンを折かん。ロミー（ロベルト）・リヴェラとデリア・ラゾン演じるジョエルの両親のところへ怒鳴りこみ、絶好状態に陥る。一方でマニラに住むクリストファー・デ・レオンとチェリー・ヒル演じる大人の二人は、既に肉体関係をもち、婚約指輪を贈っている。たまたまクリストファーがトニー・カレオンとヴァージニア・モンテス演じる叔父叔母夫妻を訪ねてセブへきたとき、家族の友人であるエディーの娘がスキャンダルの危機にあると聞く。シャーロンの素直さに引かれたクリストファーが、一時的にマニラへ避難させ、アルミダ・シギオン・レイナ演じる母のすすめで産婦人科医から処女のチェックをうけさせる。ところがエディーがその証明書をみても娘を許さなかったため、クリストファーがチェリーに「しばらくの間だけだ」との許しをえて、シャーロンと結婚する。
　となれば後半はシャーロンとクリストファーに本当の愛が芽ばえ、チェリーとの三角関係はどうなるに話は決まっているから、いたって退屈。同じ部屋でベッドと長椅子に別れて寝るクリストファーに、あんたは聖人君子かといいたくなる。チェリーからの誘いにクリストファーの気分が乗らず、チェリーが荒れる展開も、普通だったらかえってムラムラがたまっているはずで、激しく抱くだろう。ジョエルが追いかけてきて何度もシャーロンへ迫る部分は、やや悪役ふうの位置づけながら、こういう一途な男のどこがいけないわけ、といった気にもなってくる。
　まあ、チェリーとジョエルが会って話をする時点で、そういうオチにするのねと感じたものの、そうならないのが意外だったかな。
　とにかく、まずエディーの単細胞な頑固親父ぶりがバカっぽく、シャーロンをベルトで鞭打ちにしたり、娘への愛情表現が皆無。偽装結婚から帰ったとき、ちょうど鉈で作業中で、シャーロンを斬りつけるのではとの暗示が、セコいサスペンスと失笑を誘う。ヴィク・ディアス演じるシャーロンへ欲望を抱く中年の醜男がマンガっぽいのも、リアリティーをそぐポイント。最初は肩身のせまさから気持ちを抑えながらすごし、チェリーにはっきりとクリストファーを「愛してる」と告白のあと、身を引く決意をするシャーロンや、適度なあてつけからマジな嫉妬へ変わっていくチェリーなど、そこそこ描けているだけに、くだらない人物像を盛りこんだのが惜しいといわざるをえない。クリストファーは可もなく不可もなしで、揺れる男の心理を表わしきっていない。
　エディー・ガルシアの演出は、キャラクターづけがイマイチなようだ。
　もっとも、ちょっと風俗的に引かれる点を含み、シャーロンとジョエルのデートが高級ディスコで、クリストファーとチェリーのデートが弦楽室内楽の生演奏を呼んでワインを飲んでいるのが、世代の異なるカネ持ち趣味をうかがわせる。クリストファーが日本旅行の話を切りだしたり、スキューバ・ダイヴィングに行ったり、エディーが農園主なのも同様。アルミナがシャーロンを責め、処女とわかると母のように守ってあげるあたり、お嬢さま社会では処女信仰が根づよいよう。
　それに一番嬉しかったのは、チェリーの水着姿につきる。クリストファーとのセックスでほとんど露出がなかったため、ガッカリだったのだが、ガウンをはおったプール・サイドでの黒いワンピースに視線釘づけ。ガウンを脱がないままなのに不満は残るも、小さめゆえにキュートな胸元や、股間の切れこみが放つ誘惑がただものじゃない。ファンのチェリーだけに、もーうカッカ興奮。
　欲をいえば十九歳の設定のシャーロンも水着になってほしかったな。
　でもチェリーの魅力さえあれば、みたかいがあったというもの。
　大好き。
　なお、チェリーの従姉妹の役でデボラー・サンとエンカル・ベネディクトが出演している。