ＫＡＩＬＡＮ　ＭＡＨＵＨＵＧＡＳＡＮ　ＡＮＧ　ＫＡＳＡＬＡＮＡＮ？
（罪はいつ洗われるのだろうか？）
　
89年：ヴィジョン・フィルムズ
監督：リノ・ブロッカ
主演：ロルナ・トレンティノ
　　　 リチャード・ゴメス
　　　 ヘレン・ガンボア
　　　 ピラル・ピラピル
　　　 ダンテ・リヴェロ
　　　 エディー・ガルシア
　　　 ジーノ・アントニオ
　　　 ラファエル・“アパ”・オンピン
　自分たちの関係に気づかず、娘が母を糾弾する裁判劇。
　ダンテ・リヴェロとヘレン・ガンボア演じる新婚夫婦に女の赤ちゃんができる。ダンテはエディー・ガルシア演じる上流のカネ持ちの運転手で、麻雀などの負けがこみ、ピラル・ピラピル演じる妻との間に子どものいないエディーに売りわたす。しかも銀行強盗に参加して逮捕。スザンヌ・ゴンザレス演じる友人とヘレンはカインデリャを開いて生活費を稼ぎながら、消えたわが子を探す。ときが流れ、ロルナ・トレンティノ演じる成人になった女の子は司法試験をパスし、弁護士に。リチャード・ゴメス演じる同時に受かったライヴァルと法廷でバトルを繰り返しながら、プライヴェートで恋愛関係に陥る。ヘレンはエディーと知り合い、メイドに雇ってもらう。ロルナはヘレンを嫌うとのシチュエーション。
　エディーとピラルが不仲でケンカが絶えず、ジーノ・アントニオ演じる男とピラルの浮気をヘレンが目撃なんてあたり、家政婦はみたのような展開か。なんて思ったが、パーティーであわててジーノが逃げたあと、血まみれのピラルをヘレンが発見し、犯人との誤解を受けるところから話を転じる。リチャードがヘレンの弁護につき、恋人対決も含んで、はたして無実の証拠は…　とグイグイ興味を盛りあげる。
　ジーノ殺害のエピソードは、安易なご都合主義とはいえ、ちょうどダンテが出所し、ヘレンに娘がロルナだと教える。それからというもの、厳しく攻めるロルナをみるヘレンの目が変わり、ダンテが証言台につく。ヘレンが「言っちゃダメ」と静止するも、ダンテが親子の真実を口にするか、とのサスペンスはなかなかのもの。エディーの告白による逆転も無理がなく、まあ、よくできた内容といえるだろう。
　それ以上ではないが…
　複雑な心理を表現するヘレンのほか、主要な出演者の演技合戦がみどころで、芝居の映画だといえるかもしれない。いずれにしてもリノ・ブロッカにすれば、テーマにこだわらず、純粋に語り口のテクニックに徹したようだ。
　ロディー・ラカプが撮影を担当しているものの、現存のプリントの状態が相当に悪く、この点は非常に残念。
　もっとも、ロルナがリチャードとのデートで水着を披露していて、個人的には嬉しいポイントになっている。ビーチでワンピースが実にキュート。ただしプールでは、水からザバッとあがるのがリチャードで、みたくもないお尻に海パンを貼りつかせているから、なんでロルナじゃないのよー、と怒鳴りたくなるのが惜しい。
　あとピラルがジーノとのベッド・シーンで、熟女の色気を漂わせた。