（たとえどこでも… もしできるなら）
97(98)年：セイコ・フィルムズ
監督：フェレン・サルンビデス
主演：マルガリータ・ミラン
セリア・ロドリゲス
リッキー・ベルモンテ
レアンドロ・バルデモール
ジーノ・イルストレ
イザベル・レイエス
ナターシャ・レデスマ
アントン・ベルナルド
フェルナンド・モンテネグロ
ビリー・ワイルダーの『麗しのサブリナ』は大好きなんてレヴェルを超え、生涯のベストとして指折り数える一本に選びたい作品。それゆえにシドニー・ポラックがジュリア・オーモンドというイモ女優をヒロインにリメイクしたときは、初恋の女性のヴァージンをレイプ犯に奪われたがごとき怒りを覚え、あえてみなかった。まったく、ポラックも地に堕ちたものよ。
となれば、フィリピン映画が『麗しのサブリナ』をソフト・ポルノに変えたのだから、作者に殺意すら抱いても当然の流れだが、さしてムカつかないのには自分でもあきれる。
オードリー・ヘプバーンにあたる役がマルガリータ・ミランで、ハンフリー・ボガートがジーノ・イルストレ、ウィリアム・ホールデンがレアンドロ・バルデモールというキャスティング。おそらく製作年度から推測して、ポラック版のほうを下敷きにしたと思うも、途中までみていて、レアンドロがお尻のポケットにワイン・グラスをはさんだまま座り、バリバリバリッと割るギャグがでてくるまで、うかつにも『麗しのサブリナ』だと気がつかなかった。
それにしても、恥ずかしげもなくギャグのネタまで猿マネだから、いただき作品だと丸わかりなわけで、頭を使え、アイディアをひねれ、と脚本のサルヴァドル・ロヤレスにハッパをかけたくなる。
まあ、できは月とスッポンのスッポンであったとしても、ところどころにフィリピンっぽい要素がうかがえて、好奇心をあおる。
カネ持ちの家長がセリア・ロドリゲス演じる母親で、まずは女性が頼もしい社会をそのまま暗示しているよう。主人公のマルガリータがいったんマニラへでるのはイザベル・レイエス演じる友人から「仕事がある」と誘われたきっかけにより、イザベルが最初は「モデル…」と言葉を濁していたのに、いざとなったら「Ｇ．Ｒ．Ｏ．、売春婦、コールガール」とあっさりいってのけ、罪悪感のかけらもないから、若い女が都会で生きていくには体を売るのが主流とうかがわせる。マルガリータが田舎にいる間、ブスとの設定なのはメガネをかけることで表わし、フィリピンには知的美人の概念が欠落しているのかと疑いたくなる。マニラの美容院などで磨かれると、マジで娼婦の厚化粧に変身するのだが、故郷へ帰り、それまで見向きもしなかったレアンドロが夢中になっているから、ベタベタ塗りたくり顔が容貌の基準なのにあきれ、フィリピン男性の娼婦タイプ好きを裏づける。再会の当初、レアンドロがマルガリータと気がついていないのは、さすがに別人と驚くほど大胆にチェンジしたわけじゃなし、マヌケな展開と落胆するも… マルガリータやレアンドロからアメリカ合衆国へ行く話題が聞かれ、あの超アホ国へのあこがれは相変わらず。ジーノが乗りだしてマルガリータとデートし、モーター・ボートの故障で流された島でバナナをとったり、投石で野の鶏をしとめ、焚き火で丸焼きにしたり、小川のせせらぎをすくって飲んだり、ケガをして薬草をつけたりのサヴァイヴァル術がさすが、といった具合。
マルガリータのセクシーさに関しては、惜しみなしのウハウハが嬉しい。濡れたシャツをスケスケにして泳ぎ、シャツを脱いでオッパイをベロンの冒頭に始まり、レアンドロに抱かれるイメージの中でのお尻だしや、囲いの浴室で身体を洗う際のオッパイみせみせパンティー一枚など、ほとんどよだれタラタラ状態を招く。もっとも個人的な趣味でいうと、レアンドロのバースディー・パーティーへまぎれこむときの乳首がスケたシー・スルー衣装にドキドキの興奮。リッキー・ベルモンテ演じる父親に「どう？」と聞いているも、娘が乳首を半露出しているのに怒らないのはヘンよ、と指摘したくなる。パーティー会場でレアンドロたちが乳首に視線を奪われないのだって不自然じゃないか。階段の拭き掃除で前かがみになってノー・ブラの胸元がそそったり、乳首とパンティーが完全に浮きあがった黄色いワンピースも挑発的で、どちらかというとチラリズムがたまらないんだよな。エステで改造した自らのボディーを鏡に映す下着姿や、イザベルたちと行くビーチでのオレンジ・ビキニといった水着姿もキュートさがすごく、全裸よりもイマジネーションを刺激し、ムズムズのウヒャヒャヒャヒャ。アントン・ベルナルド演じるイザベルの恋人がフェルナンド・モンテネグロ演じる友人を連れてきて、マルガータへあてがい、フェルナンドがビキニで横たわるマルガリータのボディーにローションを塗るとき、さりげなくパンティーに手をつっこんだり、海へ入って全身が濡れるとパンティーがピタッとお尻に貼りついたり、初めての酒を飲まされて酔い、テントの中で三角ブラの紐をほどかれ、オッパイがポロンでイキそうになる。いやあ、シチュエーションの素晴らしさです。流された島に滝ツボの池があり、男もののシャツを着せてもらったマルガリータがつかると、またもペタペタのスケスケのうえ、パンティーをおろされて陰毛がみえるか、みえるかで興奮が頂点に達する。ジーノが愛を告白にくるシーンでも乳首バッチリのシー・スルー・シャツで、１００％降参宣言。
欲をいえば“サブリナ”を演じているだけに、もっと美人の女優を起用しろよ、ともいいたくなるが、そこそこ及第点にかわいいし、多くを望むまい。
イザベルはシャワーでオッパイをモロだしにしたあと、ビーチで酔ってのテント内でセックスになり、ビキニのブラをとられてオッパイが顔をのぞかすエロっぽさに生つばゴクリ。『麗しのサブリナ』のマーサ・ハイヤーにあたるレアンドロの婚約者を演じるのはナターシャ・レデスマで、トランジスタ・グラマーの体型をくるんだミニスカ・ボディコンから先にブラとパンティーを抜きとり、ガバッと上半分をまくってオッパイを全開に生っぽくもだえる騎乗位のセックスを繰り広げ、レアンドロと二回目でパンティーを半ケツにズラすポーズや、オッパイをドバーッの全裸を真上の正面からとらえたショットにヘロヘロ。ただしイザベルはアントンに浅瀬で持ちあげられ、赤いビキニ水着がこれ以上なく食いこんだヒップラインや、波打ちぎわで抱き合うときのパンティーが貼りついたお尻のアップ、ナターシャはプールでの今にもハミ乳になる寸前の前開きワンピース水着にドキドキだから、素っ裸よりも、妄想フェチの自分を再確認する。
さすがにレアンドロ、アントンなど男のお尻がやたらでてくるのは余計で、とくにジーノはチンポのつけ根がみえそうなショットがあって、ゲゲゲのゲーッだった。
なお、ストーリーの語り口としては後半に著しくつまらなくなり、演出のヘタさを痛感せざるをえない。フェレン・サルンビデスはセイコ・フィルムのフミルデ・“ミーク”・ロハスの監督作などで編集を担当しているものの、監督としての手腕はまだまだなようだ。
