ＫＡＡＧＡＷ
（ライヴァル）
　
99年：タウルス・フィルムズ
監督：ロリー・ベルナルド、ロベルト・デロス・レイエス
主演：リタ・マグダレナ
　　　 イネス・ヴェネラション
　　　 カトリナ・パウラ
　　　 ポッポ・ロントク
　　　 ヴォン・セラ
　　　 ライラ・ロレナ
　　　 エルウィン・モンテス
　　　 ニック・アラディン
　　　 アリエル・レイエス
　　　 デニス・コロネル
　　　 ジュリー・アン・リー
　　　 ジョセフ・デ・レオン
　女性の対立と友情のドラマが型どおりに展開する。それだけの作品である。
　とはいえ対立する二人を演じるのがリタ・マグダレナとイネス・ヴェネラションだから、これはちょっと期待せざるをえない。しかも開巻と同時にイネスが下着になって着がえるシーンがあるから、イネスはごひいきスターでもあり、もしやと思わせてくれる。
　でも結果は満足のいくできにはなっていない。
　バコロドで全面ロケしていて、街の光景がスケッチ的に描かれていくところは好感が持てる。マンブカルの滝がでてくるシーンでは観光的要素を感じさせる。
　ところが肝心のドラマとなると、だらだら一向に盛りあがらない。男性問題をめぐってリタとイネスが対立するわけだが、リタが勝気な女性で、イネスが内気な女性とキャラクターづけされているものの、イネスもけっこう自己主張して、このあたりフィリピンの女性全般に共通する性格が現れているよう。ライラ・ロレナとジュリー・アン・リーが演じる二人の母親もしっかりしているが、それに比べて男たちの情けないこと。強い女と弱い男というフィリピン社会の構図がうかがえるようで興味深い。
　ただそうした背景に面白さはあるものの、取っ組みあいのケンカをしたあとに友情が芽ばえるという典型的な枠を一歩もでていないから、安易という感じが否めなく、一つぐらいオリジナルなアイディアを盛りこめなかったのだろうか。
　また設定としてリタが女学生というのは、いくらなんでもイメージ的に無理。ディスコで踊るシーンなど、さすがリタらしいエネルギッシュな動きをみせてくれるが、セクシー・ダンサー役ではないので衣装の露出がなくてつまらない。プールでたわむれるシーンでは、光沢のＴバック水着でやっぱりリタと感嘆させるものの、ブラの紐をほどいたところで終わりだから、いつになくサーヴィス精神に乏しいとも感じてしまう。もっとも滝のある池の岩の上に、豹柄のハイレグ水着で立つ姿はいかにも堂々としていて、リタの貫禄にあらためて圧倒されるが…
　イネスのほうは池の中でたわむれるシーンで、せっかく濡れたＴシャツ状態になっているのに、腕がジャマをして乳首のポッチがみえない。上半身裸になっても、手で乳房を隠したまま。どうしたイネス…
　ラストでリタとイネスが滝にうたれてはしゃぐシーンがあり、ここでやっと濡れたＴシャツから乳首がのぞくものの、遠景で撮影しているだけでカメラが寄らないので、かえってイライラを招く。
　それとリタの友人役でカトリナ・パウラが出演しているが、まったく見せ場がなくてもったいない限り。
　すべてが中途半端な作品である。