ＪＥＡＮＮＩＥ　　ＢＡＫＩＴ　ＮＧＡＹＯＮ　ＫＡ　ＬＡＮＧ？
（ジニー　どうして今だけなの？）
　
02年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：アイク・ハルレゴ・ジュニア
主演：ロビン・パディーリア
　　　 ジュディー・アン・サントス
　　　 アシ・タウラヴァ
　　　 タニャ・ガルシア
　　　 ジャンゴ・ブスタマンテ
　できそこないファンタジーほど、つまらないものはない。
　ロビン・パディーリア演じる主人公がサウジ・アラビアの出かせぎから帰ると、タニャ・ガルシア演じるあこがれの女性にアシ・タウラヴァ演じるプロ・バスケット・ボール選手の恋人ができて、ロビンへの気持ちがすっかり冷めている。いわゆる海外就労の長期不在がもたらす社会問題を題材にとるようでいて、そんな重い視点にはまったく関心がないようす。ロビンがコミカルに自殺未遂を試みるところで早くも駄作の予感が走る。たまたまアラビアで買った壷をみつけ、アラディンのごとくこすると、中からジュディー・アン・サントス演じる魔法使いが煙とともにでてくる。なーんだ、低レヴェルなファミリー・ピクチャーかよ、とあきれる。
　タニャの気を引くため、ジュダイのマジックで空を飛びながらのシュートを決めるアクロバットでロビンがバスケット・ボールのプレーヤーに。みごとティームを優勝へ導くながら、アシのための情報収集で接近したタニャにロビンが舞いあがり、ロビンに恋心を抱いたジュダイが姿を消すとの物語。
　とにかくおもしろいのは、ロング・メジアなどが演じる迎えの友人たちが遅れたため、ロビンが空港で荷物を騙しとられる冒頭くらいで、あとはいたって退屈。とくにロビンがジュダイへの思い出に浸る後半が、ただただイライラ。アイク・ハルレゴ・ジュニアは編集出身だというのに、このテンポの悪さはどうしたものか。
　マンディー・オチョア演じる親友の息子で、ロビンが名づけ親になっているキング・アルカラ演じる少年だけ、ロビン以外にもジュダイがみえる設定はそこそこ生きたものの、ジュダイが妙な料理をつくったり、選手の着がえをのぞくとき、男たちが脇毛を剃っていたりのギャグが冴えない。
　ホント、コメディーにも失格。
　ただしチラッと興味深いところがあって、帰国したロビンの荷物がやたら大量なのが、いかにもフィリピン人。タニャにチョコレートをわたしにいくのも定番といえる。ジュダイに頼んでビリヤードに勝つシーンでは、ロビンがワン・ショットで難しい角度を沈め、練習のあとをうかがわせる。アシが二メートル近い長身で、女性ファンがサインほしさにむらがり、フィリピン民衆のバスケット・ボールへの熱狂ぶりはいわずもがな。
　まあ、再びアラビアへ出発したロビンが飛行機の中でジュダイに会うハッピー・エンドに、やっと終わったかという感じ。それほど長い映画じゃないに困ったものだ。
　本来はちょっと美人のタニャがみたかったのが目的。性格が最低の女を演じて頑張るながら、あまり魅力がでたようには思えない。ほかに女優陣ではタニャの友人を演じるカチャ・サントスが単純にいるだけの印象で、ロビンがジュダイと夜の空中散歩をするとき、ついデバガメを起こす高層アパートの部屋でバス・タオル一枚から着がえる女を演じるジェニー（ジェン）・ロセンダールが唯一、ドキドキのときめきをくれる。マンディーの妻を演じるアリシア・レーンは中年になったとはいえ、美人の片りんを残す。ロビンに空港でレイをかける歓迎係の娘と、ジュダイに服を買う店の売り子が無名のエキストラとして、なかなかかわいめだった。