Ｉ　ＷＩＬＬ　ＡＬＷＡＹＳ　ＬＯＶＥ　ＹＯＵ
　
06年：リーガル・エンターテインメント／ＧＭＡネットワーク・フィルムズ
監督：マック・Ｃ・アレハンドレ
主演：リチャード・グチェレス
　　　 エンジェル・ロクシン
　　　 ベアウィン・メイリー
　　　 ジェームズ・ブランコ
　　　 ビアンカ・キング
　　　 チューズデー・ヴァルガス
　　　 アーミー・オーストリア
　　　 ジーン・ガルシア
　　　 ロイド・サマルティノ
　　　 エーラ・マドリガル
　　　 カレン・デロス・レイエス
　リチャード・グチェレスとエンジェル・ロクシンのコンビによる青春ロマンスで『ＬＥＴ　ＴＨＥ　ＬＯＶＥ　ＢＥＧＩＮ』に続いてマック・Ｃ・アレハンドレが監督している。前作でリチャードが苦学生、エンジェルがお嬢さまだった関係を裏返し、今回はリチャードがお坊ちゃまでエンジェルが庶民の娘との設定になっている。まあ、似たような題材をくり返す単純さはファンのレヴェルを考慮したものだろうが、わざわざアメリカ合衆国までロケしながら、もう少し意欲的な要素を盛りこんでほしい気がしないでもない。
　幼い少年のジャスティン（ナッシュ・アグアス）と少女のセリア（ミシェル・アボラク）がお互いにイマイチの感情を抱くのが、まず定番の出だし。大学生となってセリア（エンジェル・ロクシン）が演劇にきょうじ、公演のステージへ同級生のアンドルー（ジェームズ・ブランコ）が花を持ってきて、主人公へライヴァルをおく構図もおなじみのもの。セリアにほれるジャスティン（リチャード・グチェレス）のほうにも、横恋慕から二人の恋をじゃましようとする意地悪な美女が用意されている。また主役を引きたてる脇のうるさ型としてベアウィン・メイリーとチュズデー・ヴァルガスが演じるコメディー・キャラを忘れていない。ホント、型通りの人物配置といえる。
　一方、アンドルーがセリアの自転車をパンクさせ、新しい自転車を買って返し、今度はセリアがアンドルーのスポーツ・カーのタイヤをパンクさせて仲直りとのきっかけが、相手の迷惑を考えない行為として印象をさげ、あまり評価できない。もっと粋なアイディアが浮かばなかったのか。二人の愛のシンボル的にラヴバードを飼っていて、カゴの中で死んでいるなんて展開も共感を遠ざける。
　ジャスティンの母アデル（ジーン・ガルシア）へジャスティンを好きなカネ持ち仲間のお嬢さまドンナ（ビアンカ・キング）が「セリアは貧乏だ」と告げ口し、アデルがジャスティンをアメリカ合衆国へ留学させるあたりは、フィリピン映画の常道のみならず、フィリピンの国民性をうかがわせるように思われる。セリアが勉強を頑張って自分も留学の資格をえて、母のエスカ（アーミー・オーストリア）が費用面で反対するも、親戚の受け入れで実現とのシチュエーションだって、アメリカ合衆国に親戚が誰かいるフィリピンの特殊性と指摘できそう。
　舞台がサンフランシスコに移ってみれば、ジャスティンが豪邸に住み、セリアがアパートをルーム・メイトとシェアーに違いを際だたせながら、アルヴァイトで生活費をかせぐセリアに、ジャスティンも余裕をよそおいつつも隠れてアルヴァイトでセリアを経済支援するまではまずまず。セリアの誕生日のパーティーのためにローレックスを売るのもありがちでうなずけるも、アデルとセリアがメールでやりとりしているごとくみせかけ、ジャスティンがセリアの喜ぶように内容を細工はいささかリアリティーを欠く。アデルがドンナとともにやってきて事実を知り、セリアに「息子の将来のために別れてほしい」と頼み、わざとジャスティンへセリアが傷つく言葉を口にするのは『椿姫』かと苦笑いを誘う。セリアがフィリピンへ帰ったあともジャスティンがアルヴァイトを続けているのは、もう必要性がないわけでヘンだぞと感じさせる。
　三年後にセリアがアンドルーと再会でプロポーズを承諾し、大学を卒業ですぐに結婚がフィリピン人なのかと疑いつつも、サンフランシスコで大学を卒業したジャスティンが帰国でセリアの婚約を聞き、落ちこみにアデルが「実は私が頼んで別れてもらった」と告白は、ハッピー・エンドへと向かわせるアイドル映画の平坦さ。結婚式場へジャスティンが駆けつける十八番のオチに、しょせん大衆向けねとの妙な納得がこみあげる。
　バカにしちゃいけないけど、だったらオッとうならせる要素が一つぐらいあれば、といった結果だろうか。
　ジャスティンが魚を食べられず、エスカの家ですすめられて無理やりゴクリがカネ持ちは肉好きで魚を「貧乏人の食べもの」とさげすんでいる現れとみれば、じゃかん興味がわくかもしれない。
　個人的には、それほどエンジェル・ロクシンのファンでない点が弱い。ビアンカ・キングはキュートだが、グラビアでヘソピーをしているのを知っているから、こちらもタイプをはずれる。ドンナの友人役で登場のエーラ・マドリガルとティラ・クルースはそそる容貌で、とくにエーラは『ＦＨＭ』のグラビアで大胆なビキニを披露していて色っぽいシチュエーションがほしかったところ。もっとも美貌が一番魅力的なのは熟女のジーン・ガルシアにつきて、下半身にキュッとタイトにフィットしたパンツ・ルックがビビッと興奮を呼ぶ。エンジェルも本作のあとに制作されたＴＶシリーズ『ＡＳＩＡＮ　ＴＲＥＡＳＵＲＥＳ』ではボディーにぴったりと貼りついた黒いエナメルのパンツでアクションを演じていて、もうビンビンの勃起を招いているので、セクシーな衣装があれば満足度がもっとあがったように感じる。