06年：セイコ・フィルムズ
監督：ホセ・ハヴィエール・レイエス
主演：エディー・ガルシア
ダイアナ・スビリ
グロリア・ロメロ
チェリー・パイ・ピカチェ
ジョーイ・マルケス
クリスチャン・ヴァスケス
アルフレッド・ヴァルガス
ロデル・ヴェラヨ
ケアンナ・リーヴス
ジェニー・ミレル
ルー・ヴェロソ
マリッサ・デルガド
ジェーソン・アバロス
アルウィン・ウイティンコ
ミシェル・マドリガル
ジョン・イグナシオ
テレンス・バイロン
レンス・ジョイス・フアン
マデリン・ニコラス
ソリマン・クルース
ホセ・ハヴィエール・レイエスが描く家族の群像劇で、いつものごとく巧みにまとめたドラマ。さすがにうまいながら、その破綻のない構成が反対につまらない印象を与える。
中流より上の、いわゆる金銭的に困らない層をあつかう。金婚式をおえたばかりのコルネリオ（エディー・ガルシア）とマメン（グロリア・ロメロ）の老夫婦は、突然にコルネリオがマメンを追いだし、いさかいに陥る。コルネリオは友人のデルフィン（ルー・ヴェロソ）と夜遊びをはじめ、水商売のクリスティー（ケアンナ・リーヴス）を屋敷に住まわせる。友人のメリー（マリッサ・デルガド）の家に移ったマメンはメリーとジムへかようばかりか、海外へ住むからと自分の財産のうちの二百万ペソを要求し、弁護士のバーニー（ローランド・Ｔ・イノセンシオ）をクビにする。そんな両親にジュン（ジョーイ・マルケス）、オーロラ（チェリー・パイ・ピカチェ）、パトリシア（ダイアナ・スビリ）の三人の息子と娘があたふたの内容。
コルネリオは歯医者、マメンは看護婦だったようで、医者のジュンはターディー（ジョン・イグナシオ）とメイナルド（ジェーソン・アバロス）の二人の息子をもつも、男やもめだけに、とりわけ両親のトラブルに振りまわされる。主婦のオーロラは夫のジョージ（クリスチャン・ヴァスケス）に仕事の部下（ジェニー・ミレル）と浮気の疑惑がおきる。ウェディング店を経営のパトリシアは恋人のケン（アルフレッド・ヴァルガス）と結婚を考えるが、カメラマンのケンがシンガポールの出版社と契約で、一緒にいきたくないと別れ話に発展。などと各自に問題が生じ、ターディーとメイナルドに、オーロラの娘のカティー（ミシェル・マドリガル）と息子のレオ（アルウィン・ウイティンコ）の年ごろに孫たちはコルネリオの日曜日の食事会のあと、マメンに会いにでかけ、祖父と祖母の騒動に困惑を隠せない。オーロラの娘のまだ幼いモニク（レンス・ジョイス・フアン）は大人の身勝手に疑問を抱く。
でもコルネリオがケガで入院し、マメンが病院へきて絆をとり戻す、実にありがちなドラマ。オーロラやパトリシアの悩みも無難に片づく。冒頭に少女時代のパトリシア（サンディー・タラグ）が登場で、子どもの夢と現実のギャップを描く人間劇かと思ったが、かなり違っていた。
後半はテンポの悪さで退屈を招き、ホセ・ハヴィエール・レイエスにすれば、ややイマイチとの評価がわきあがる。
もちろん興味深いポイントを含み、参加者が自分の悩みを語り、オーロラも発表のドーグラス神父（ソリマン・クルース）が主催の告白の集まりや、家族の食事会でジョージに電話が入り、コルネリオが「日曜日にまで」というのが宗教の浸透なら、オーロラが三名の家政婦を使って料理にこりまくるあたりにカネもちの食事情がうかがえる。画面の絵づくりとして、やたらテーブルの上にフルーツを並べてもいる。カティーが携帯電話の通話料金のカードを買うために二百ペソをねだってオーロラが「（安い）メールにしなさい」とぼやいたり、レオの所持品にコンドームをみつけて「まだ十六歳なのに」と騒ぐのは、一般的な母親像。パトシリアが共同経営のジョン（ロデル・ヴェラヨ）とプラスティックのテープを伸ばし、人工のバラの花飾りを編む。マメンの孫たちが「おばあさん」と呼ぶのをメリーが「おばさん」に直させて若さ気どりを示せば、コルネリオの投げた鍋のふたがメリーに命中がギャグ。出戻ってきたオーロラが実家でクリスティーを発見もコメディー要素で、オーロラとパトリシアが巨大スーパー・マーケットで買いもののとき、ジョージが不倫相手らしき部下といるのにバッタリのドタバタはとくに盛りあがる。マメンが結婚指輪をはずそうと抜くも、やっぱりやめるシーンは情感がうまく伝わる。
ホセ・ハヴィール・レイエスの定番のオカマが登場しないながら、ジョンにホモっぽい雰囲気をにおわせる。
まあ、コルネリオの家政婦役のアルマ・レルマや告白会のリーダー的な女性役のマデリン・ニコラスなど脇も入れてヴェテランと中堅の役者がみせて、配役陣の芝居を楽しむ映画といえるかもしれない。
セクシー女優のダイアナ・ズビリとケアンナ・リーヴスとジェニー・ミレルはさすがに脱がず、ケアンナのバストを強調の衣装とジェニーのヘソだしのミニスカがちょっと色っぽい程度だが、屋敷のプールでダイアナが泳ぐ水着のシーンくらいはほしかったところ。
ミシェル・マドリガルのキュートなかわいさに引かれる。
