Ｉ　ＴＨＩＮＫ　Ｉ’Ｍ　ＩＮ　ＬＯＶＥ
　
02年：リーガル・エンターテインメント
監督：マリオ・Ｊ・デロス・レイエス
主演：ジョイス・ヒメネス
　　 　ピオロ・パスクアル
　　 　グロリア・ロメロ
　　 　ルイス・ゴンザレス
　　 　ロセル・ノヴァ
　　 　ジャム・メレンデス
　　 　ミシェル・バイレ
　　 　ナンシー・カスティグリョン
　脱がないジョイスはクリープを入れないコーヒーのようなもの、と形容したいが、ヌード・シーンがなくたって素敵じゃないか、と思わせてくれた。予告編であまりにもセクシーなビキニ姿が映ったので、どうしても我慢できなくてみたわけだが、とにかくこの水着シーンだけで十分に満足。もう全裸を何本もの作品でおがませたというのに、大切な部分のみをほんの少し隠した姿にうっとり。
　さすがジョイス。
　プールから濡れてあがるポーズを含む黒い大胆なビキニのほか、花柄のハイレグ・ワンピースや青い上がキャミ形ものなど、三タイプを披露の水着は彼女が専属モデルのブランドである“プライヴェート・ジョイス”の提供で、似合って当然とも感じるが…
　ベッド・シーンでも胸を隠したままのジョイスの魅力をうまく引きだしたのは、マリオ・Ｊ・デロス・レイエス監督の功績といえるだろう。
　ストーリーはいたってシンプルで、しかもプレイボーイが賭けで接近の女性に本気になるとの、ルネ・クレールの『夜の騎士道』じゃないが、よくあるパターン。ピオロ・パスクアル演じる主人公の女ったらしはポルシェに乗っていて、裕福階級のお遊びを扱っているんだな、という前提がわかる。セックスと切り離し、真の友情を女性と結べるかどうかとの兄の提案にそのポルシェを賭け、友情の対象に選んだのがジョイス・ヒメネス演じるデパートの化粧品売り場のセールス・レディー。彼女は自分の女性へのダラしなさを既によく知っているため、恋の相手にはみてくれまいというわけなのに、海へダイヴィングに行った際に冒頭で述べた水着姿を目にし、ピオロのほうがイカれてしまう、との展開。
　映画は職場におけるジョイスがやや軽薄にみえるのが欠点ながら、グロリア・ロメロ演じる祖母の扱いなどジョイスの家庭描写や、老人ホームでのパーティーといった生活部分がうまく、けっこうあきさせない。ロセル・ノヴァ演じるジョイスの親友が、ジャム・メレンデス演じる真面目がとりえの青年とくっつけようとお節介を焼く設定にも無理がない。ただロセルがコメディエンヌ的な容姿なのに、うまく個性を生かしきっていないのが残念。
　結局、肉体関係をもったピオロが賭けに負けるも、「どうやら恋に陥ったようだな」と兄がポルシェの鍵をわたしてやるところからがクライマックスで、ジョイスがジャムと結婚するのではと引っ張っておいて、ピオロが教会へ駆けつけると、実は…　とのオチまで、ほどほどにうまい。
　細かいカメラ・ワークやカットのつなぎもしっかりしていて、そんなの当然だといえば当然だが、丁寧につくりましたねと素直に認めたい。
　確かにだからどうなの的内容だとは感じるし、アーチー・カスティーリオのハリウッド調の耳ざわりのよいライトな音楽もあって、デート・シーンなどのムードづくりもまずまずで、よくアメリカ映画を勉強しましたねえ、というのが正直な印象。だと単なる猿マネじゃないかとの批判もでてきそうだけど、こうした手抜きしない作品が増えることによって、フィリピン映画全体の底あげにつながればいいな、と思わせる。
　またジョイス以外にも、ピオロのイチャイチャの相手を演じる二人の女優がセクシーなのがよろしい。バカっぽいタイプを巧みに表現のミシェル・バイレは、超ミニのスラッとした脚線美にそそる要素がある。雑誌に載ったセミ・ヌードがキュートなこともプラスし、けっこうファンになる。性格の悪いタイプを好演のナンシー・カスティグリョンは新人で、こちらも今後が楽しみなカワイコちゃん。
　あと冒頭の香水のＣＭシーンの中に登場のジェイゼル・アボが気になる美女といえ、あんたはマジで性的対象のタイプのことしか興味がないのね、と観客側にピオロが演じる映画の登場人物と同じくらいにどうしようもない自分がいるのは、我ながらあきれるばかり。
　女性のみなさま、すみません。