ＩＳＰＩＲＩＴＩＳＴＡ　　ＩＴＡＹ，　ＭＡＹ　ＭＯＯＭＯＯ
（霊能者　パパ、モーモーがいるよ）
　
05年：リーガル・エンターテインメント／ＡＰＴエンターテインメント
監督：トニー・Ｙ・レイエス
主演：ヴィク・ソット
　　　 シンディー・クレート
　　　 ＢＪ・“トリッツ”フォーブス
　　　 ロベルト・アレヴァロ
　　　 ジュニー・ガンボア
　　　 ホセ・マナロ
　　　 ウォリー・バヨラ
　　　 ジーン・サブリッツ
　　　 イサ・カルサド
　　　 ジャッキー・ウー
　　　 ディック・イズラエル
　　　 マリッサ・デルガド
　　　 マエ・アキズキ
　トニー・Ｙ・レイエスとヴィク・ソットのコンビのよるコメディーで、ホラーを踏まえた快作といえる。
　いきなり「あなたのせいよ」という日本語からはじまり、騙されて幽霊屋敷を買った日本人カップル（ジャッキー・ウー、マエ・アキズキ）が凶悪な亡霊のドクトル（ロベルト・アレヴァロ）に散々なめに合わされるエピソードが置かれる。案内人のコーラ（ジーン・サブリッツ）と一緒にきたジョジョ（ディック・イズラエル）が鶏を殺して血をまく妙な儀式にきょうじれば、首がねじのようにクルクルクルっとまわり、日本人が空手のポーズをとれば手が膨張など、なかなかのスラプスティックになっていて本筋への期待をふくらませる。
　主人公のヴィクトル（ヴィク・ソット）はインチキ降霊師で、助手のジョージ（ホセ・マナロ）とウォリー（ウォリー・バヨラ）と組んで詐欺の除霊をおこなっている。霊を呼びだすふりをするヴィクトルが耳にマイクをしこみ、あれこれ依頼者のデータをチェックしたジョージが外からしゃべり、これをヴィクトルがお告げのようにつぶやく偽まじない師の典型。亡くなった夫のベルナデ氏（ルディー・メーヤー）の霊から本当の気持ちを聞きたいとのベルナデ未亡人（マリッサ・デルガド）がクライアントの際、水晶球の代わりなのか、ハゲ頭のウォリーが金魚蜂のようなものをかぶってタコ顔の宇宙人をよそおうギャグがおかしい。ヴィクトルの家では妹のサルヴェ（クラディス・ゲヴァラ）がいつも大声でバカ騒ぎし、テロイ（レッドフォード・ホワイト）という男の幽霊がでるのに息子のトムトム（ＢＪ・フォーブス）だけ気がついているのが伏線。かくれんぼのときにトムトムの同級生のジェニー（ジョイ・アキノ）が女の子の幽霊をみてトムトムの通う小学校が呪われているとわかり、除霊のプロを頼もうとヴィクトルに依頼がくるも、さすがに息子の学校ではまずいとなったとき、ジェニーの姉のラレイン（シンディー・クレート）が現われ、その美貌に引かれたヴィクトルがカッコをつけて承諾とのストーリー。寄宿舎を営むラレインの家にも幽霊出現で下宿人の女教師たち（セックスボン・ガールズ）がおびえ、ヴィクトルによる退治がはじまるが、当然ながらウソがばれてラレインの失望をかい、追いだされてトムトムからも軽蔑をうける。
　小学校で両親のことを話すスピーチでトムトムがヴィクトルを「コンサルタント」と自慢の前置きで、歯の悪い子が「お父さんは歯医者です」といっていたり、父親がいないらしい女学生のクッキー（エンジェル・サイ）が「お母さんはじゃぱゆきでした」と嬉しそうなのにフィリピンの家庭事情が皮肉られる。ヴィクトルのでまかせにベルナデ氏が怒っていて、ヴィクトルたちが訪ねたビルのエレベーター係に化けて存在しない十三階へ誘導し、そこの部屋で脅かすほか、ラレインの家の幽霊たちがオカマ三名（アラン・Ｋ、テリ・オノール、ソクシー・タパショ）とラレインに抱きつくモサ男（アントニオ・アキタニア）の四人で、やはりヴィクトルのインチキにプンプン状態。四人とベルナデ氏が共同でポルターガイストを起こしてヴィクトルを非難に、トムトムが父親のウソを知って傷つく。ビールを飲んで全身から吹きだすひょうきんな幽霊のテロイと会話など、実は本物の霊媒の能力をもつトムトムがオカマやモサの幽霊の悩みを相談で感謝され、ヴィクトルもベルナデ未亡人へ謝りにいくことにする。
　クライマックスはラレインの伯母のコーラがかかえる問題を解決のため、冒頭の屋敷へ全員で乗りこんで強力な亡霊と対決になる。首領のドクトルがすさましいパワーを発揮し、女性の亡霊（メリッサ・‘パヤトラー’・アギレ）、少女の亡霊（ディンディン・リアレナ）、少年の亡霊（ステーヴン・クロード・ゴロ）と入り乱れ、ラレインやヴィクトルに乗りうつっての定番劇やゾンビが襲ってくるドタバタがけっこうみせる。同行した神父（ジュニー・ガンボア）が完全にボケ老人で、オロオロ動くのがサスペンスに笑いをプラスする。
　トムトムに母親願望があるのを示しながら、ヴィクトルも若くして突然死した妻のリンダ（イサ・カルサド）が忘れられないシチュエーションでトムトムが小学校にでた同年齢の女生徒の幽霊であるディディン（アビゲール・アラソ）と交流し、その母（クークー・ゴンザレス）と会うあたりにさみしさをにじませる。夢の中でトムトムが母と会って雲の上を散歩し、ヴィクトルとラレインの再婚を認めるとのオチに、まずまずヒューマン・コメディーにもなっている。
　まあ、外国人は土地所有ができないので、日本人が屋敷を買った設定に無理があるのはご愛嬌。
　女優の魅力ではシンディー・クレートが好みのタイプの美人だから、うっとりと魅了されまくる。できればエクササイズのオリジナルＤＶＤ『Ｓｅｎｓｕａｌ　Ａｅｒｏｂｉｃｓ』でみせたようなボディーにフィットする衣装がほしかったところ。イサ・カルサドも同様にコスチュームの色っぽさを欠いて残念。熟女のジーン・サブリッツはジーンズのプロポーションがよだれを誘い、マエ・アキズキの白パンに萌えないのは、日本人なせいで個人的な人種偏見か。あとクッキーの母親役がセクシーな容貌でときめかせ、ジーンズのホット・パンツ姿がおいしそう。教師役のオルガ・バウティスタもメガネをかけた顔がいける。ビルの入り口にいるエキストラのピタピタな白パンがオッと視線を奪う。
　また、スーパーマンのＴシャツを着た幽霊役でケンペー・デ・レオンがゲスト出演している。