ＩＳＫＵＬ　ＢＵＫＯＬ　　２０　ＹＥＡＲＳ　ＡＦＴＥＲ　　ＴＨＥ　ＵＮＧＡＳＩＳ　ＡＮＤ　ＥＳＣＡＬＥＲＡＳ　ＡＤＶＥＮＴＵＲＥ
（学校の腫れもの　２０年後　おマヌケで足もと不安定な冒険）
　
08年：オクトアーツ・フィルムズ／Ｍ−ゼット・ＴＶプロダクション／ＡＰＴエンターテインメント
監督：トニー・Ｙ・レイエス
主演：ティト・ソット
　　 　ヴィク・ソット
　　　 ジョーイ・デ・レオン
　　　 ライアン・アゴンシーリオ
　　　 ジミー・サントス
　　　 ジャッキー・ウー
　　　 ベンジー・パラス
　　　 ホセ・マナロ
　　　 メリー・タガサ
　　 　ロベルト・ヴィリアール
　　 　カーリン・アギラー
　　 　シャーロン・コネータ
　『ＩＳＫＵＬ　ＢＵＫＯＬ』は1977年から1989年の12年間にわたって放映された人気ＴＶ番組で、すでに映画版も1977年、1980年、1987年の三作がある。その20年度との設定の本作は、主役がティト、ヴィク＆ジョーイとだけクレジットで、いかにこの三名が人気だったかをうかがわせる。途中でＴＶシリーズの舞台となったウォンボル大学の学園祭へいき、レッドフォード・ホワイト、リッキー・ドホルシー、ビベット・オルテサ、アリエル・ヴィリアサンタ、ケイ・トレス、アントニー・Ａ・ラケルにシャーロン・コネータまでがやってくるゲスト出演に、ＴＶのメインやゲストのキャストを再結集のファン・サーヴィス。モノクロームのＴＶの映像を挿入で、レギュラーの故人になったビン・アンヘレスをみせる。この映像の中にいるメリー・マサッブもレギュラーのようだし、映画はビン・“マン・テミ”アンヘレスとＴＶシリーズの演出のエマヌエル・“ボーイ”・ガトゥスに捧げている。またティトとジョーイの使用人であるビック・Ｊ役のジミー・サントスや、ティトとジョーイにティームの再結成をいいにくるミス・タピア役のメリー・タガサもＴＶシリーズのレギュラーになる。ウォンボル大学の教授役で顔をだすジャッキー・アキノとテッシー・ヴィリアラマがＴＶシリーズにでていたかどうかは、よくわからない。さすがにＴＶシリーズをみたことがないので…。
　ビベット・オルテサの脚本により、ヴィク・ソットと名コンビのトニー・Ｙ・レイエスが演出にあたる本作は、ヴィク・ソットがメインでインディアナ・ジョーンズばりに活躍の内容。ラプラプから伝わるという謎の刀と棒とメダルを組み合わせる考古学的な出土品をめぐり、ひとり占めをたくらむ日本の強欲ヤクザのシバタ（ジャッキー・ウー）がからんでくる。
　最初にヴィクがインディアナ・ジョーンズをまねたかっこうで岩に掘った顔の像がくわえる棒をとりにいくとき、原住民の部族たちが処女を捧げる儀式をおこなっていて、クレジットに名前がないが、酋長役にルディー・メイヤーと儀式の指導者役にノノン・デ・アンドレスがいる。ほかにクレジットに載らない役者では、シバタの手下役にジェラルド・エヘルシト、ダニー・ラブラ、ディンド・アロヨなどが確認できる。ジョーイの携帯電話の壁紙にセクシーな水着写真の女性の間にバカっぽくあらわれるマダム・アウリンとルビー・ドミンゲスは写真のみの登場。太腿をあらわにセクシーな処女の犠牲者を演じるのはイワ・モトで、美人女優陣の豪華な配役が本作の最大の魅力をなす。作戦失敗でシバタに刀で刺し殺される愛人のブレンダ役のフランシン・プリエトにはじまり、空港でヴィクを待ちかまえ、記者会見でインタビューのアリス・ジャンという苗字のほうがギャグの女性レポーター役のカーリン・アキラーと、同じくレポーター仲間のマラ役のマラ・ソット、ヴィクの息子であるヨヨ（オヨ・ソット）の恋人であるフェー役のクリスタ・ラニーリオ、ジョーイの息子であるウィンピー（ケンペー・デ・レオン）の恋人であるパティー役のポーリン・ルナ、ティトの息子であるジャンニ（ジャン・ソット）の恋人であるテッサ役のニコール・ウイテンス、シバタと密かに内通するヴィクの研究員をつとめるガーリー役のビアンカ・キングのほか、ヴィクとジョーイの屋敷でダーリン・ヘルパーと呼ばれてお世話を担当の女性たちと、学園祭でティトとヴィクとジョーイの歌のバックで踊るダンサーと、謎が解明の洞窟が隠れるエリアに住む原住民の族長であるダトゥ・ピタン（バヤニ・カシミロ・ジュニア）の娘たち役にザ・ＥＢベーブスなどが脇をしめ、ダンサーにはセックスボン・ガールズのアイラ・ベルムデスが加わり、ダトゥ・ピタンの娘にはブラック・ビューティーのパタニ・ダニョがまじって、もう、かわい娘ちゃん好きにはたまらない。ヴィクの秘書役も気になるところ。とくにフランシンのミニスカや、ダーリン・ヘルパーのザ・ＥＢベーブスのローライズぎみのジーンズの短パン、ダトゥ・ピタンの娘たちのザ・ＥＢベーブスとパタニの民族ふうの脚がでたかっこうがよく、ビアンカのヘソだし迷彩服に悩殺。ポーリンの黒パンにも視線を奪われる。ジャンニとウィンピーをら致のヘソだし衣装の三名がザ・ＥＢベーブスかは不明だが、シバタの部下のキララ（レヴィー・イングナシオ）が屋敷を襲撃のときの数名と、ヨヨとビッグ・Ｊがティトとジミーを助けにきたときに屋敷で蹴りを入れる二名のザ・ＥＢベーブスの短パンがそそるなら、ダンサーたちが短パンのお尻を突きだすのにぞくぞく。やはりシバタに内通するヴィクの研究員のジニー（ベンジー・パラス）に撃たれ、倒れたガーリーに浮かぶビアンカの腰のラインは、まさに勃起ものに色っぽい。
　ストーリーはといえば、大学でアルフォンソ博士（トニー・マベサ）に発見を報告のあと、学会に出席で助手のジュード（ホセ・マナロ）とヴィクがプノンペンに入り、カンボジア・ロケになる。最近、カンボジア政府がプノンペンを国際会議都市化とのバカな提案をしているので、さもありなん。会議ではパン太平洋とインド洋各国の民族衣装の出席者がみえる。せっかくだからか、アンコール・ワットへもいき、ちゃんとタ・プロムも撮っている。このカンボジアでフィリピンからきている少年のオーン（ロベルト・ヴィリアール）をヴィクが偶然に保護し、オーンが謎を解く鍵の人物とわかる展開。オーンの両親が握る資料を奪おうと襲撃の悪党たちと戦ってオーンを使用人のサムナン（ラゴン・アゴンシーリオ）と逃がすと、オーンの両親が銃弾で亡くなる。今度は口のきけないサムナンも壮絶に手榴弾で爆死で、ヴィクとジュードが女装で敵を煙に巻くコメディー主体のはずが、あまりにもリアルな残酷さに、かなりいただけない。シバタのブレンダ殺害や、ジニーのガーリー殺害も同様で、およそ理解に苦しむ。オーンがワンワン泣いて悲しむ心情が伝わり、まったく演出意図をはかりかねる。ちなみにオーンの父のフェルナンドを演じるのはジョング・ヒラリオで、母のアウンを演じる女優は名前がわからない。
　ウンコしたオーンの尻をフェルナンドが洗わされるときにアザのあるのを示し、そのアザが暗号らしく、隠された洞窟の入り口へきてオーンの尻を岩の取っ手っぽい部分に当てると岩の扉が開く。尻を露出の際にオーンがいつも屁をこくキャグは、ありきたりなパターンになる。洞窟の内部が『レイダース　失われたアーク《聖櫃》』と『インディ・ジーンズ　魔球の伝説』と『インディ・ジョーンズ　最後の聖戦』のいいとこどりというか、ディズニー・ランドのアトラクションみたいなのは、模倣なので当然。そういう意味ではオリジナリティーの欠如があきらだし、日本のヤクザのカリカチュアも成功とは指摘しがたい。日本人のジャッキー・ウーはさておき、レヴィー・イグナシオの日本語がけっこううまく、意味不明の日本語の台詞がない点はよいものの、シバタがすぐに刀を振りまわし、シバタの部下には日の丸のはち巻きを締めるものがいるうえ、ダニー・ラブラが演じる手下はナイフで腹を切る。おそらく確信犯的な間違いながら、もっと笑いを誘わないとシラけるばかり。カンボジアのワーイにあたる上座部仏教のあいさつをうけてジュードが日本と同じと感じたのか、ペコペコおじぎで日本語を口にするのは、どこまでが風刺なのかの疑問がおきる。シバタがヴィクとのチャンバラに負けて命ごいし、タガログをしゃべったのにヴィクが「話せるのか」というと、シバタが「ちょっとだけ」と返すやりとりは、いかにもフィリピン・パブからはまった日本のフィリピン・オヤジで、確かにおかしいかな。
　結局はニセのメダルをスティング（ウォリー・バヨラ）の仲介でブレンダがティトとジョーイに高額で買わされるマヌケさや、赤目で光線を放ってシバタを消したサルが仙人ふうの老人（ジュニー・ガンボア）にかわってミステリーが解決の本筋に興味が集まらず、イマイチと評価せざるをえない。そもそもＴＶシリーズを知らないものには半分しか楽しめないのかもしれず、しょうがないだろう。
　キュートな女優陣をながめて、満足としよう。