ＩＳＡＮＧ　ＬＩＮＧＧＯＮＧ　ＰＡＧ−ＩＢＩＧ
（ある日曜日の愛）
　
93年：セイコ・フィルムズ
監督：エマヌエル・Ｈ・ボルラサ、ロメオ・Ｖ・ヴィトゥグ
主演：グレッチェン・バレート
　　　 ガルド・ヴェルソザ
　　　 フリオ・ディアス
　　　 チャンダ・ロメロ
　　　 イザベル・リヴァス
　　　 シルヴィア・サンチェス
　　　 リチャード・レイノソ
　婚約者の浮気に怒ったお嬢さまのロマンス劇。どうってことない内容ながら、グレッチェン・バレートの魅力でみせる。
　トニー・マベサ演じる大会社のオーナーの娘がグレッチェンの役で、ベヴァリー・サルヴィエホ演じるメイドと一緒に結婚式の準備に忙しい。でもフリオ・ディアス演じるフィアンセがイサドラ演じる女性とイチャついている現場をみつけ、フリオがトニーのお気に入りだったので結婚式を強行になったため、ベヴァリーと家出する。紺碧の海の地方にある島まできて、アーチー・アダモスがオーナーを演じるリゾートでウェイトレスの仕事をえる。そこでガルド・ヴェルソザ演じるフォーク・ソングの歌手に出会い、お互いに引かれ合っていく。
　トニーとエルニーが連絡をとり、グレッチェンのようすを確認していて、つまりは監視下におかれた冒険もどきのようなもの。しばらくしてヘリコプターでフリオがやってくると、婚約者の存在を知ってガルドが荒れる。フリオがシャブをしのばせ、警察にガルドを逮捕させる。トニーもヘリで現われ、ガルドに弁護士をつけるため、グレッチェンが帰宅に同意する。落ちこむ娘にトニーがエルニーから事件の詳細を聞き、フリオを退け、グレチェンとガルドの結婚を認める。まあ上流階級の層が庶民を受けいれるわけがなく、しょせんは映画ならではのおとぎ話。
　でも脇に素敵な人物を配し、なかなか好イメージをつくる。ガルドにはイザベル・リヴァス演じる精神を病んだ姉がいて、無残に男に捨てられたのが原因のよう。ガルドがイザベルをロバに乗せて運んでいるのが田舎のムードを醸す。いつまでも過去を振りきれないイザベルにガルドがビンタを加え、すぐにしっかり抱きしめる姉弟愛がよく伝わってくる。自らが傷つくことで、ガルドが姉の心の傷に気がつく。チャンダ・ロメロ演じるグレッチェンと寮で同室の女性は夫を亡くし、リゾートで働いている。大人の雰囲気が漂い、悩むグレッチェンの相談に乗ってあげる。リチャード・レイノソ演じるガルドの友人は、グレッチェンとの交際をあたたかくみまもる。エルニーはオカマだが、ガルドを留置場からうけだしたり、外見とは違ったやさしさをもつ。反対にシルヴィア・サンチェス演じるガルドにほれるバック・ダンサーはグレッチェンへ嫉妬を抱き、ステージでケンカが単純なキャラかもしれない。
　リッキー・リーとエマヌエル・ボルラサの脚本は竹細工の城のような鳥かごをガルドからグレッチェンにプレゼントさせ、グレッチェンがそこで小鳥を飼うことで、彼女自身がかごの中の鳥と比喩するなど、細部の表現がうまさをひめる。エマヌエルとロメオ・Ｖ・ヴィトゥグの演出は分担がさだかでないながら、最初のフリオがイサドラをクローゼットに入れて隠すエピソードではフリオのろうばいぶりがオイオイ吉本新喜劇かよ、みたいな印象を与えるも、ガルドにガーシュウィンの『サマー・タイム』を歌わせたり、けっこうムードづくりに納得。
　まあまあじゃないか。
　とにかく嬉しいのはグレッチェンのセクシーさで、寮にいるときの下着が貼りつきタイプと違うのが残念とはいえ、ガルドと釣りをする船でのスク水、海に潜ってデートでのパレオがめくれるワンピース、ラストで再会のセパレーツといった水着が実にキュート。ブスのコメディエンヌのベヴァリーが下着の上にビキニのパンティーをはくのは余計だし、ビキニのブラにパレオのウェイトレスの衣装でパレオが落ちてあわてるのがグレチェンじゃなくベヴァリーなのはオイオイオイ。欲をいえばシルヴィアにもそそるシチュエーションがあれば、などの不満は多いも、とりあえずは興奮に浸れる。
　やはりグレッチェンあっての作品なようだ。