（ひとつの夜 三人の女）
(92)年：リーガル・フィルムズ
エピソードⅠ
ＡＫＩＮ ＫＡ
（あなたは私のもの）
監督：メル・チョングロ
主演：クリスティナ・ゴンザレス
ロレンソ・マラ
パオラ・サロンガ
エピソードⅡ
ＫＡＬＩＷＡＴＥ
（左きき）
監督：エルウッド・ペレス
主演：テッチー・アグバヤニ
マンジョー・デル・ムンド
エピソードⅢ
ＳＡＹＡＷ，ＮＥＮＥＮＧ，ＳＡＹＡＷ
（踊れ、乙女よ、踊れ）
監督：マウロ・ジア・サモンテ
主演：ルッファ・グチェレス
ガビー・コンセプション
シルヴィア・サンチェス
クリスティナ・ゴンザレス、テッチー・アグバヤニ、ルッファ・グチェレスを主演にした三話構成のオムニバス。三大女優のセクシー共演でもある。リッキー・リー、イシュコ・ロペス、マウロ・ジア・サモンテが脚本を書き、それぞれがオリジナルだろう。
第一話はホラー・タッチの恋愛劇で、ロレンソ・マラとクリスティナが演じる恋人同士が心中を試みる。でもロレンソだけが亡くなり、とっさに怖くなったクリスティナが助かる。それ以来、クリスティナがロレンソの亡霊を目にし、あらたにクリスティナを口説いた男が交通事故で死ぬ。ローズマリー・ヒル演じるロレンソの母へクリスティナが謝罪して、一緒に霊媒へ交霊の儀式を頼むと、どこかでマウロのそっくりさんが異常な刺激を受ける。ルシタ・ソリアノ演じる母からそっくりさんのロレンソが本当の息子でないと聞かされ、双子の兄がいたと知る。弟のロレンソが奇妙な偶然でクリスティナの前に現われて、クリスティナが弟のロレンソに引かれるや、兄の代用じゃないと思っていた弟もクリスティナの愛を本物と感じるものの、兄の霊が許してくれない…
メル・チョングロが無難に描き、可もなく不可もない小品といえる。
いきなりセックス・シーンでクリスティナがオッパイをギリギリまでチラつかせ、全裸でシーツをかけたポーズで寝ているとき、風で窓が揺れる怪奇現象が起きる。かわいいクリスティナが、さっそく色気を漂わせるのにウハウハ。とりつかれたように海へ歩いていく豹柄セパレーツ水着のお尻のアップや、弟のロレンソを兄と勘違いする海岸でのワンピース水着はボトムにパレオを巻いているのが惜しいが、弟と手をつないで海を歩くワンピースのお尻のアップがキュート。ビーチでうつ伏せに寝ころんで弟にオイルを塗ってもらう豹柄セパレーツのバックがそそり、海へ走っていくハイレグの股間が大胆なら、水中撮影での泳ぎと、溺れそうになって弟に抱きかかえられるボディーに悩殺される。ただし弟とのセックスでスリップからパンティーを抜きとられる以上の露出がないのに不満が起きる。弟の恋人を演じるシャーマイン・センテネラ（たぶん）がパンティー一枚で乳首をだすのに負けている。
いずれにしてもクリスティナの魅力が核なのは間違いない。
第二話は田舎の漁村の不倫劇で、マンジョー・デル・ムンドとテッチーがバロット用のアヒルを育てている夫婦を演じる。マンジョーを誘って酒を飲んでばかりのジュン・ラカバ演じる友人をテッチーが嫌っている。ルシタ・ソリアノ演じるサリサリ店のオーナーが「いい服が入った」とテッチーに持ってくると、マンジョーが「そんなカネがあるか」とバカにする。テッチーがデリカシーのない夫に涙を流し、反省したマンジョーが服を買い、喜ばせようとテッチーのもとへ帰れば、ジュンと全裸で愛撫の真っ最中。とっさにキレてマンジョーがジュンを殺す。
実にシンプルなエピソードで深みがないながら、テッチーの好演もあって、エルウッド・ペレスが女心の機微を簡略に表したようだ。
ルシタの配役が第一話とダブるのは、いささか配慮の足りない点。
テッチーはパレオを巻いただけのかっこうでかまどの鍋を炊いて食事の準備をし、ルシタが服を試着させようとパレオをまくり、パラッと落ちそうになる。蚊帳の中で眠ろうとするや、マンジョーが全裸で入ってきてセックスを始め、赤ん坊が泣いたのでテッチーがあやしに全裸のまま蚊帳からでてくる。ここはマンジョーのハダカがはっきりみえるのに、テッチーのほうは暗くてオッパイも陰毛もボヤけているのが残念。でも川の奥にある滝の池へマンジョーがきて、滝つぼの向こうにテッチーがいると思って全裸になり、近寄るとお尻丸だしのテッチーが現われる。もうみごとな素っ裸にうっとりのうえ、プロポーションにほれぼれ。取っ組み合うマンジョーとジュンのチンポがみえそうなのは気持ち悪いが、テッチーのヌードに視線が釘づけ。
それにしても川では女たちが洗濯し、横では子どもたちが水遊びにきょうじ、ほんの少し先の滝ですっぽんぽんになってイチャイチャだから、簡単にのぞこうと思えばのぞけるわけで、プライバシーの低さがいいじゃないか。
第三話はダンサーの純愛もの。シルヴィア・サンチェス演じるダンサーがうまく客をあしらえず、マリオ・エスクデロ演じるオーナーに「クビだ」と放りだされる。部屋で寝ていると、となりの夫婦がケンカで家を飛びだし、ルッファ演じる娘だけが残る。シルヴィアがルッファの美人ぶりに気がつき、ダンサーに推して、ルッファがあっという間に店のスターとして評判を呼ぶ。マリオが自分のバーへ引き抜きにくるや、シルヴィアが追い返す。そこでマリオがガビー・コンセプション演じる息子にルッファの誘惑を頼み、ハンサムなガビーにルッファがとりこになる。シルヴィアが怒ると「私の人生よ」と答えるルッファだが、ガビーも本気になったものの、ポチョロ・モンテス演じるガビーの恋人の父がピストルで脅して婚約の実行を迫ったので、あっさりガビーが結婚を決める。
絶望のルッファが身体をこわし、病院へ収容されたのに、看護婦を激しい狂気の威嚇によって逃げる。アル中のように酔ったシルヴィアがからみ、マリオの店のステージに立ったルッファにガビーとの思い出が脳裏によぎると、踊りながら倒れて息を引きとるのがいかにもバカバカしく、マウロ・ジア・サモンテのマイナスな通俗性が明らかに前の二作よりも低レヴェルに終わっている。はっきりいって、くだらない。
もっともルッファの美貌は三度のステージでキラキラと輝き、白いワンピースの一回目はお尻の部分に布がたれているのがイマイチだが、網タイツに白いワンピースの二回目は全身のラインがくっきりでよだれがたれてくる。三回目の白いワンピースも挑発的だけど、やや生地が厚めかな。ガビーとのデートでいくビーチでの黒いワンピース水着のほうがピタッとフィットしていて、下半身を元気にしてくれる。
さらに驚いたのはシルヴィアで、ルッファよりも容貌が落ちるとはいえ、ステージ衣装が光沢のワンピースなのに萌えてくる。お尻に貼りついた形など、文句なしの絶品。部屋でルッファにダンスを教えるときのパンティーがスケたスリップも色っぽい。
ルッファとシルヴィアが、みどころのすべてと断言できる。
なおルッファに「連れだすなら五百」「一晩なら千」と聞いてシルヴィアがため息をつき、マリオが引き抜きに「一万」といっているのに、当時の相場がうかがえた。
