（お前に弾丸は一発だけだ… 第二部）
(93)年：ＦＰＪプロダクションズ
監督：ロンワルド・レイエス
主演：フェルナンド・ポー・ジュニア
ナネット・メドヴェド
ザンドロ・ザモラ
ズバス・ヘレロ
ベルナルド・ベルナルド
先にパートⅡからは意にそぐわないながら、色っぽいナネット・メドヴェドに引かれ、みてしまった。いつものとおりフェルナンド・ポー・ジュニアの自作自演によるヒーローもので、娘を殺されたらしい回想シーンに前作をイメージさせるが、まったく独立した話のようだ。
一線を退いた刑事がＦＰＪの役どころ。地方でアウグスト・ヴィクタ演じる市長のボディー・ガードをしていて、マニラの警察で内部の汚職警官がからんだ麻薬事件が頻発し、信用のおける人物が必要だと呼び戻される。市長の対立候補が攻撃をかけてきて、ライフルで応戦のあと、ＦＰＪがマグナムをとりだし、片手で豪快に撃ち、どことなく『ダーティハリー』を連想させる。あとで至近距離の二人を一発の弾丸でしとめたり、盾にしているドアを破って命中させるなど、マグナムの威力を活用するシチュエーションも登場する。市長に見送られてヘリコプターでマニラへ発つとき、彼がいなくなって市長は大丈夫なのか、みたいな不安を残すのがご愛嬌。
マニラではザンドロ・ザモラ演じる警察が麻薬ディーラーだと暴くほか、ラニローズ・オテイサ演じる少女のレイプ事件を捜査したり、ホールド・アップ強盗を逮捕したりと大忙し。ナネット演じる婦警との出会いが悪く、最初に嫌われるのがパターンの構成で、イヤイヤながらのナネットと夜の公園で恋人のフリをしてホールド・アップ強盗をみごとつかまえ、以後ふたりがロマンスに陥るのだから、まったく予想を裏切らない。
ズバス・ヘレロ演じる議員がレイプ犯と判明し、ザンドロがズバスの部下とわかって二つの軸が一つに結びつき、クライマックスへ。ジョニー・ヴィカールなどが演じるズバスの部下たちが病院へラニローズを殺しにやってきて、たまたまナネットが訪問中だったため、ナネットが窓からラニローズを逃がし、自分がら致されるのだが、まるでラニローズが窓をでたタイミングをみはからったかようにジョニーたちがドアを蹴破る段取り芝居など、本当にヘタな演出だなあと実感する。
近所のオカマがＦＰＪにほれ、自宅を襲撃のときに巻き添えを食いそうになって大騒ぎといったコメディー要素を含み、全体から浮いていないのは感心ながら、ザンドロをつかまえて映画の看板に吊るすシーンで、映画の題名がジェット・リー主演のものだからしゃれっ気がなく、楽屋落ち的なおもしろさがほしかったところ。ＦＰＪがジョニーの銃を奪うアクションはサンボのような素早い動きの護身術でみせるのに、銃撃戦の最中でマグナムに弾丸を入れかえる動作がやたらのろく、いろいろな部分で一長一短。
やっぱりイマイチな作品だ。
それに最大の不満はナネットにセクシーな見せ場を奪った点で、ズバスからレイプを受けそうになり、誘惑に転じて脱出を試みるとき、脱がされる前にＦＰＪが現われ、ドンパチが始まるのが残念。もう、ナネットの挑発を心待ちにしていたのに。
ルシタ・ソリアノ演じる市長へ猛烈に苦情をいうおばさん、ヴァンジー・ラバラン演じるナネットに告げ口する太った婦警、ナティー・サンチャゴ演じるラニローズの母など、おばさんが目立つのは余計。マルー・マルティン演じる看護婦やスバスが事務所でイチャつく秘書、数名の婦警仲間の中に一人、かわいい子がいるも、小さな役すぎてオマケ程度など女優陣の魅力も失格といわざるをえない。
ホント、イマイチ。
なお、ホールド・アップの出現を待つＦＰＪとナネットに『リリー』の『ハイ・リリー・ハイ・ロー』をダブらせるのは、音楽を担当したハイメ・ファブレガスの遊びセンス。ラストの公園デートのオチに、またホールド・アップがでるギャグがほしかった気がしないでもない。
