ＩＮＴＲＵＳＩＯＮ　：　ＣＡＭＢＯＤＩＡ
　
83年：キナヴェサ・インターナショナル
監督：ジュン・ガリアールド
主演：ヴィク・ヴァルガス
　　　 リチャード・ハリスン
　　　 アントニー・アロンソ
　　　 ロバート・リー
　　　 ディック・イズラエル
　　　 ジェームズ・ゲーンズ
　　　 ドン・ゴードン
　　　 テッチー・アグバヤニ
　　　 ベンボル・ロコ
　　　 ロマノ・クリストフ
　アメリカ合衆国向けにつくられたジュン・ガリアールド監督のフィリピン映画で、合作になる。IMDbによれば、フィリピンと西ドイツで劇場公開が確認できる。
　ヴェトナム戦争の後半、戦場がラオスやカンボジアへ拡大した時代を舞台にとるアクション。
　ヴェトナム軍から重要な書類を奪う作戦を実行のため、リチャード・コーマー少佐（リチャード・ハリスン）が精鋭部隊の指揮をまかされる。デラ・クルース中尉（ヴィク・ヴァルガス）など部隊の兵士たちは少佐が前のラオスの作戦で部下をすべて失い、自分だけが生き残った事実に警戒心をおぼえる。現地の女性教師のロサ・テヴィ（テッチー・アグバヤニ）が故郷の村民を残酷にヴェトナム軍が皆殺しにあわせたうえ、父が重傷をおったトラウマでアメリカ軍側の協力者につく。書類を手に入れた部隊は、なんとか帰還の経路にとカンボジアへ踏みいる。
　部隊に黒人や新入りのヴェトナム人がいて、途中で仲間同士の対立を盛りこむも、さほど人種偏見をモティーフに使わない。ヴェトナム軍の村の虐殺現場に遭遇でも作戦の遂行を優先の少佐が助けようとせず、ほかの全員やロサから軽蔑の視線を浴びるのがもっともドラマに思える。
　とはいえ、捕虜になったさいにロサが拷問をうけるシーンを含む非人間的な描写は娯楽作の見せ場要素にすぎず、実際に残虐行為が目だったのはアメリカ軍のほうでしょ、とあきれ感がもたげる。まあ、アメリカ合衆国の観客を意識にしくゆえん。
　『七人の侍』じゃないが、七名の部隊、ロサを加えると八人だが、のメンバーが一人一人と亡くなるのでなく、最後の戦闘で一気にやられる構成が凡庸とも指摘できる。これは脚本のロドルフォ・ダバオ・ジュニアとドン・ゴードンの責任だろう。中尉のみが助かり、少佐をおきざりのラストにもっと説得力がほしかったところ。出発前に中尉がパラワンで仕入れた毒矢をもっていたのに、それを活用のシチュエーションを欠くあたりも肩すかし。
　でも一時間半ほどを緊張感で引きつけるジュン・ガリアールドの演出は高評価にあたいし、退屈なく語りきる力量がさすが。テディー・チウの名が助監督に読めるが、一枚タイトルのあつかいから考えるに、Ｂ班をまとめたのだろう。
　フィリピンのスターのヴィク・ヴァルガスとイタリア出身のＢ級スターであるリチャード・ハリスンの顔合わせに、フィリピンの個性派のアントニー・アロンソ、ディック・イズラエル、フィリピンの脇役のロバート・リー、アメリカの俳優のジム・ゲーンズ、ドン・ゴードンによる精鋭部隊陣は、いずれも実戦をへた兵士っぽい容貌がよく内容に溶けこむ。この部隊の派遣を提案の少佐役でロマノ・クリストフが導入部に出演。クレジットにはベンボル・ロコの名前が読めるが、どこにいるのかわからなかった。たぶんロサをかこい、セックス中に襲撃をうけ、お尻丸だしでつかまるヴェトナム軍のダップ少佐と推測も、顔がちょっと違う。
　とにかくファンにとって嬉しいのはテッチー・アグバヤニの活躍につきる。ダップ少佐にベッドで抱かれ、全裸でオッパイを吸われて乳首がモロみえ。起きあがって服を着るショットでは横にある鏡にお尻やオッパイがうつる。拷問でシャツをビリビリッと破られるや、乳房をもみもみは乳首が隠れたままも、全編にスリットの入ったパレオで太腿をあらわに動く。準主役級の出番で存在感を放ち、視線を奪いっぱなし。
　テッチー、いいわ。
　あと村の殺戮シーンでレイプの犠牲者の女性が乳首をさらす。

※　この作品は『地獄の特攻隊』の題名でヴィデオ発売されたことがある。